医療崩壊か?・・・医師の自重を求める | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

医療崩壊か?・・・医師の自重を求める (2/26)



「被曝は健康に良い」、「1年100ミリまで被曝しても良い」、「被曝を心配するより心理的ストレスが問題」などの医師の発言が続き、はっきりと違法行為を勧める本を医師が書いている。



さらに、被曝による疾病が医師によって隠されているとか、被曝の疾病について週刊誌の記事が問題になったり、混乱が続いている。日本の医療はTPP問題どころか、医師の人格の欠落と倫理違反よって崩壊の危機に瀕している。直ちに正しい医道にもどる必要があるので、ここで医師の倫理の解説と医師の自重を求めたい。

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このブログで再三、指摘しているように「医師」は「医学者」ではない。特に、社会に対して医師が情報を発信する場合、「治療行為を行い得る特別な職」であること、医師は「聖職」であることを明確に認識していただきたい。




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社会には正義を保つために法律を定め、裁判官はそれを執行するが、場合によっては他人の命を奪う決定をすることがある。このような職にある場合、「自らの価値観や判断」をできるだけ後退させ、法律や判例など確たる根拠をもった言動が必須であり、かつ職は聖職であり、人は高い人格を求められる。



医師の場合、「治療行為」は他人の身体を傷つけることもあり得る特別な行為であり、それが医師に許されているのは、医師が社会との約束を厳密に守ることが前提である。医師は「関連法を守ること」、「医師会などの公的な機関の同意がある治療を行うこと」などが前提になる。



また、もちろん場合によって人の体を傷つけるので、職は聖職であり、医師は高い人格が求められるのも、当然である。医師と医学者を兼務している人は、医師としての社会的な責任と制限に十分な配慮が必要であることもまた当然である。


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被曝は、大きく分けて、1)自然放射線によるもの、2)人工放射線によるもの、3)医療行為によるもの、の3つに分かれていて、2)と3)は厳密に区別される。医師は3)について医師会などの合意の元に全権をもって社会に対することができるが、2)については法律の規定を守るのは当然であり、また一般的な指導を行う場合は、法律にそって社会の規定にそった「安全側」の言動に制限される。




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一般人の被曝の法律の1つで昨年(事故後)10月に改正された厚生労働省の「電離放射線障害防止規則」を示す。この法律は放射線の障害を防止するために厚生労働省が定めている法律だから、医師は社会との約束という点で、「医師免許を返納しない場合」、この法律の規定に反する言動をすることはできない。





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第一条に「被曝をできるだけ少なくする」ことを事業者のもっとも大切なこととして定めている。このように明確に厚生労働省の規則に書いてあるのに、医師が「被曝して良い」とか、「外部被曝、内部被曝の合計の限度は1年1ミリシーベルト」を否定することは医師の社会的責任からいって「不可能」である。




また、任意団体であるICRPや「政府の暫定基準値」などより「国内の法律や規則」を尊重しなければならないのも、先に示した裁判官、医師など社会において特別の仕事を任されている人の社会との約束であり、倫理であることを再認識すべきである。



また、この法律が「事業者と労働者」の関係を規定しているから、一般人には無関係であるとの見解をとってはいけない。ここに示されているのは「被曝」と「健康」に関する社会の規定であり、医師がこれに反する言動をすることは禁止される。もし厚生労働省の規則に反するのが医師本人の信念である場合、医師免許を返納し、医療行為を止める必要がある。



規則に違反する医師が存在すると、国民は安心して医療をうけることが不可能になる。医師のもとに行くと、その医師が「いくらでも被曝しても良い」という信念のもとに1日中、レントゲンやCTスキャンなどで診察や治療をされる可能性があるからである。



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また、第28条に基づき、1平方メートルあたり4万ベクレルを超える地域に居住している患者については、「直ちに退去するよう」勧告を行うべきである。医師は、自らのもつ独自の「被曝と健康」の見解を患者に適応してはならない。



さらに、第42条に基づき、1年15ミリシーベルト以上の被曝を受ける可能性のある成人について、直ちに居住地および職から離れるように勧告する必要がある。また、医師が「成人より子供に対する影響が3倍程度ある」と判断する場合、1年5ミリシーベルト以上の被曝を受ける可能性のある場合、その保護者に対して生活環境を変えるように強く求めるべきである。



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医師は社会において自由な活動を許されていない。医師は人の健康に関して万能な治療行為、もしくは言動を許されていない。そして、法を守る誠実さ、お金や待遇、社会的名誉に影響されず、出身医局や指導教授の脅迫に屈せず、ただひたすら患者と社会の健康のために誠心誠意、奉仕するべきである。



「法律の規定を守るよりストレスを減らす方が有効」などと言う権利は医師に与えられていない。各医師会は日本の医療を守るために、医師に対して警告、除名などを行うべきである。



また、これまでの医師の違法行為によって発生するであろう一般人の疾病について、その補償を医師会にて積み立て、準備をしておく必要がある。違法なアドバイスや治療によって発生した疾病に関する全責任は医師にある。



(注) 記事には書いていませんが、音声の方で「札幌の医師」とした方はよく調べてみると医科大学の教授ではありますが、物理の人のようです。はっきりわかりませんが、ネットを見る限り医師免許は持っておられないようです。テレビでご一緒したときに「福島の人の発症の状態」をお話になったので、医師以外に病気の診断はできないので、医師とおもいました。間違っていたらお詫びして訂正します。




(平成24年2月26日)



--------ここから音声内容--------



ええと、このところですね、お医者さんの被曝に関する、かなり問題な発言が続いてるわけです。例えば、「被曝は健康に良い」と言ってる人もいますし、「1年100ミリまで被曝しても良い」って言ってるお医者さんもいるし、「被曝を心配するより、心理的ストレスの方が問題だ」と言うような医師もおられます。





えー、これはですね、非常に大きな問題で、やはり医師会か何かがですね、少し乗り出さんといかんのでしょうね。というのはですね、このブログで再三、指摘してますけども「医師」というのは「医学者」ではないんですよね。「治療を行い得る特別な職」であり、「聖職」であるわけです。








例えばここに、いつも私が出す表を出してますけども、社会には正義を保つための法律を定めて、裁判官がそれを執行するわけです。場合によっては死刑判決もあるわけですね。このような職にある人はですね、「自らの独自の価値観とか判断」で、判断してもらっちゃ困るわけですね。それを後退させて、法令とか判例、もしくは聖職である、人格が高いってことが求められるわけですね。








もちろん医師もそれに準じておりまして、「治療行為」っていうのは、外科手術ですともう直接的に他人の身体を傷つけますし、それ以外に検査だとか投薬なんかもそうですね、ある意味では身体を傷つけるわけです。しかし、それが医師に許されてるのは何かっていうと、もちろん「関係法令守る」、つまり国民との約束を守るってことですね。それからまぁ「治療行為はやはり、医師会とかそういうとこのですね、同意の得た共通的なもの」ですね。例えば先生ですと、自分独自のことを生徒に教えるんじゃなくて、やっぱり定説となったものを教える、ということが大切なわけですね。もちろん医師は聖職であります、高い人格も求められております。








こういう下で被曝というのを考えますとね、被曝っていうのは、1.自然放射線による被曝、2.人工放射線による被曝、3.医療行為による被曝もありまして。えー、人工放射線と医療被曝は厳密に区別されております。つまり、医療被曝は医師に任されておりますが、人工放射線による被曝は医師に任されておりません。これまず第一に意識して欲しいですね。今度の原発の事故による人工放射線による被曝はですね、医者は口を出せないんですよ。えー、大きな意味での健康では出せますが、直接的には出せないんですね。








2については、つまり人工放射線については法律の規定があるわけですね。だからその規定を、医師は指導しないかんのですよ。ここにですね、よく私が示します厚生労働省の「電離放射線障害防止規則」というのを示しました。これはまぁ、厚生労働省であるという点から言って、もちろん医師はこれを知ってるわけでありますが。これは国民と厚生労働省との間の約束というか、規則ですからね。だからこれにもちろん、これに異議を申し立ててもいいんですが、そのときにはですね、医師はやっぱり「医師免許を返納してから」ですね。医師という立場じゃなくて、自由に発言するのは、ま、若干問題ではありますが一応許されるでしょう。しかし医師はダメですね。








で、この昨年の10月に改正された、つまり事故後に改正されたものにですね、第一条に「被曝をできるだけ少なくしなさい」とこう言ってるわけですね。だからこれはもう、ハッキリとした国民との間の人工放射線の被曝の制限を言ってるわけです。で、限度はもちろん「外部被曝、内部被曝合わせて、1年1ミリシーベルト」ですから、1年に100ミリまで大丈夫なんてことを言うことはできないですね。








えー、もちろんその任意団体であるICRPはいろんなこと言ってますし、「政府の暫定基準値」なんかもありますけど、やっぱそれよりかですね、やっぱり明文化された、ちゃんとした法律というのを尊重せんといかん。これは裁判官とか医師とかですね、そういう人のまぁ役割ですね。








もう一つ、あの非常につまらないことですが、言い訳をする人がいるんですよ。この法律は「事業者と労働者との間だから関係ないよ」と言ってるのがいるんですよ。そんなことないんですね、つまり医者というものはですね、「被曝」と「健康」に対する実質的な判断をする人なんですよ。実質的な判断をする人ですから、国がですね、「放射線の被曝はできるだけ少なくしなさい」と言ってるということはもう、医者の判断がどうであれ、やっぱり守らなきゃいけないことですね。








こういうふうなこと続きますとですね、私は医療崩壊しちゃうんじゃないかと思うんですよ。ていうのはですね、もしも医者が「いくらでも被曝して良い」ってなことをやるとですね、例えばお医者さんのとこ行くと、一日中レントゲン撮ってるとか、CTスキャンものすごく撮られる可能性が、患者側から言えば出てくるんですよ。








だから、やっぱり私はですね、産婦人科とかいろんなとこ声明出してますが、ちょっと慎重さに欠けると思います。つまり、医療用の被曝に対して、医者が自由な診療を行うことができるためにはですね、人工放射線…原発の被曝についてはですね、やっぱり医師会はノーコメント…せめてね。それ以上のことを踏み込むことはできないと思います。








それから更に言えば、ここに示した第28条ではですね、一平方メートル当たり4万ベクレル超える地域については、退去するように医者がですね、その患者さんに勧告しないといけませんね。「法律では、あなたの住んでるところは退去しなきゃいけないところなんですよ」と。ま、これはですね、いわゆる健康に関する医師のアドバイスですよ。あの「タバコを吸うの止めなさい」よりか、ハッキリとしてます。これは国民の合意ですからね。








それから下には42条。これは1年15ミリシーベルト以上の被曝を受ける可能性のある成人については、職を離れなさいとなってるわけですから、これもやっぱり勧告しなきゃいけませんね、今の福島。それからまぁ「成人より子供に対する影響が3倍ある」というふうに、普通お医者さん言っておられますが、そうしますと1年5ミリシーベルト以上の被曝を受ける可能性のある場所から、小学生とかそういう人が来たらですね、その保護者に対しては「生活環境を変えなさい」と指導するべきでしょうね。








えー、それはですね、医師が社会においては自由な活動を許されてはいません。これは、私なんか教師ですが、教師でもそうです。裁判官もそうですね。それはやっぱり法を守る誠実さ、それはお金とか待遇とか、社会的名誉に影響されないでですね、また、あの我々にはどうしても、学校の先生もそうですが、やっぱり閥だとか先輩後輩なんかありますけど。ま、そういうのに屈せずですね、ひたすら患者と社会の健康のために誠心誠意、奉仕するべきであると思います。








例えば、「法律の規定を守るよりか、そんな法律の規定、厳しすぎんだからそんなの緩めていいよ」と、「ストレスが減らす方が有効である、健康に良い」と…いうようなこと絶対言っちゃいけないんですよ。これねあの、そういう考えが心ん中にあっても…まぁ家族で団欒するときにそういう話してもいいけど、公に発言しちゃいけません。








えー、そしてですね、私はここで警告をしとかなきゃいけないと思いますね。これは脅すとかなんかじゃないですよ。医師が違法行為、もしくは違法行為を誘発する発言をして発生した、一般人の疾病っていうのはですね、やっぱり医師会で補償しなきゃならんでしょうね。








つまり医師というのはですね、あの健康を守る方向の発言は良いわけですよ。少し過剰なこと言うときもありますね。「まぁ、少しお酒を控えて下さいよ」とか、そういうこと言うわけですよ。それは患者さんとしてどう受け取るかつったら“お医者さんは自分の健康を守ってくれる”とこう思ってるわけですね。もちろん、法律に沿ってるとは思ってますよ。








ですから私はですね、この問題は相当早急に・・・医師は、具体的に発言しておられるね、札幌のほうの方とか東大の方なんかがすぐ発言を止めて、本を回収せないかんでしょうね、ええ。これはね、他の自由人が(発言や出版を)やってもいいかもしれません…違法行為だから難しいんだけど、ま、やってもいいかもしれません。医者は絶対ダメですね。これ(発言の停止、出版物の回収を)、やってもらいたいんですよ。どうしてかって言うと、裁判官とか医師とか、私たち教師はですね、やっぱりここの倫理は極めて厳重にやらなきゃいけないと思うんですね。








ま、そういうことで、ぜひお医者さんの自重を求めます。私はお医者さんを非常に尊敬しておりますし、友人もいっぱいいますし、みんな立派な方です、ええ。えー、まぁちょっとね、集団でものをやるということに慣れておられませんから、ちょっと出にくいんでしょうね。だけども、私はこの際、日本の医療というのを守るために、やっぱりですね、もう違法行為の活動は止めて、国民に違法行為を呼びかけるということはやっぱり止めて欲しいと、こういうふうに思います。


(文字起こし by danielle)