まともな日本に03 その年暮らしの年金制度 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

まともな日本に03 その年暮らしの年金制度 (2/13)


年金問題はのどに刺さった骨のようなものですが、これを明るく解決することができます!!



1970年代の記憶をそのままにして役人が「社会保険庁の不祥事」を起こし、「後期高齢者なる言葉」を使ったために、年金問題は大混乱に陥ってしまいました。現在は、その混乱を整理することなく「高齢化社会は必然だ」という変な理屈のもとで増税が叫ばれています。

しかし、この問題は将来の日本社会の根幹に関わるので、役人の悪さに引きずられないでしっかりした考え方を作ることが大切です。


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人間は集団性の動物ですから、平均寿命が43歳(今から90年前の1920年の日本)の場合も、現在も、そして平均寿命が100歳になるころも、「教育専業年限」も「引退後期間」も一定で、その比率は若干の議論があるでしょうが、教育専業比率が20%、引退後期間が20%、働く期間が60%というのが常識的でしょう。




平均寿命が70歳の時には、15歳で働きにでて、55歳ぐらいで定年を迎えるという感じですし、寿命が100歳になったら、20歳まで勉強、80歳で引退するということで合意が得られると思います。健康状態によっては25歳まで勉強し、85歳まで働くということになる可能性もありますが、5歳ぐらいの差をあまり過度にいわずに、おおよその概念を決めておく方が大切でしょう。




今後は女性のほとんどが仕事に参加するでしょうし、電子化も進みますので、60%の就労率なら、「年金問題での増税」はまったく不必要なことがまず判ります。そして、80歳で引退ですから、「高齢者問題」などは存在しません。




繰り返しますが、「ある年齢を区切って「高齢者」と決める」のではなく、「平均寿命に合わせて仕事を引退しても良い年齢を決める」ということで「どんなに平均年齢が伸びても高齢化社会は来ない」ということになります。従って、「増税」も「高齢者」の問題も存在しません。



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もう一つ、年金の問題を解決するために、決定しておかなければならないことがあります。それは「年金に役人を入れない」ということと、「日本人なら誰でものたれ死にしない」という原理原則を決めておくことと思います。その理由は拙著「国債は買ってはいけない(東洋経済新書)」に載せています。



年金が破綻する理由が3つあります。一つが役人が悪さ(中間マージン、運用失敗を含め)をすること、二つ目がインフレが避けられないこと、三つ目が国民が甘い夢を見ることです。



一つ目は当然ですから説明をはぶくとして、二つ目は「インフレにならないこと」もありますが、「インフレになったら俺の老後は破綻する」と思っていると、気が気ではないからです。現在の政府はインフレをコントロールすることができませんので、弱いインフレが来ると、50歳までの年金の積み立ては無意味になります。このことは過去の実績から前出の拙著に詳細に解析してあります。



三番目は政治家が国民に甘いことを言うから、それに期待して失望するということです。この3つを克服するには、わたしはたった一つの方法しか無いと思います。それを下に示します。ここから先は「年金」という文字が消えますので、頭を少し切り換えていただく必要があります。


1) 現在の65歳から将来の80歳まで、「年齢比率」に合わせて、定年と無条件生活保護資格年齢をスライドする。



2) 生活保護費はすべて「税金」でまかない、無条件生活保護資格年齢に達した人で生活保護の申請があった人に支給する。



3) すべての生活保護費はその年の内に決算する(積み立てゼロ)。同時に、20歳から仕事をするべき人も含めて「人生はできるだけ生活保護を受けないように自分で計画する」という教育を20歳までに行う。



4) 生活保護費の上積みは「銀行預金」などで個人がしておく。

「役人がタッチしない」、「その年の内に決算してインフレの危険を避ける」、「よりよい生活は本人の貯金で」というのが基本的な考え方で、要するに「年齢に関係なく、何かの事情で働くことができなくなったら生活保護費を貰う」ということです。



病気(心の病気も含む)、体力などの理由で自分で生活ができない人について、国家が生活保護をするというのが原理原則で、そのうち、「無条件資格取得年齢」を決めて、それ以下の場合は生活保護の審査を、それ以上の年齢の人は無審査というだけの違いです。



「老人は尊敬し、いたわるが、社会の一員である」というハッキリした立場をつくり、合わせて「働ける内に生活保護を受けるのは恥だ(乞食は恥だ)=国民の誰かは働かないと日本は成立しない」ということを学校で明確に教育しておくことが良いとおもいます。



幸い、憲法には「勤労の義務」があり、それを免れるのは20歳までだけで、20歳になると親も扶養を止め、本人が勉学したい場合は、返済しなければならない奨学金や生活費の支給を受けるという制度を念頭に置いています。

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このような社会を実現するためには、役人の数を減らし、補助金を止め、**財団などの建造物を民間に売り渡すなど「自分で働いたお金で自分が生活する」、「非常時は必ず国が助ける」という二つの基本思想を明確にするということです。


私はエコポイントや太陽電池のような「乞食政策」をすると、年金も破綻するという考えです。これについてはまた機会を見て詳しく説明したいと思います。


(平成24年2月13日)

--------ここから音声内容--------


ええと、年金問題ってのはいわば、その喉に刺さった棘(骨)みたいなものでですね、何となく厄介なわけですね。まぁ歳を取って長く生きる、ってことで厄介なんですけども。暗くなるんですけども、しかしこれを明るく解決することはできます!






ええと、実は日本のこの年金の暗さっていうのはどうして出てきてるかって言うと、1970年にだいたい役人が決めたこの日本のシステム…っていう後にですね、「社会保険庁の不祥事」が起こります。続いて「後期高齢者なる言葉」ができまして、ま、年金問題が大混乱に陥るわけですが、それをそのまま引き継ぎながら、実は「増税」ともうなるので、もうとにかく暗くなっちゃうわけですね。しかし、これは役人が考える、まぁ浅はかなって言いますか、考えなので、これをもう少し基本的に考え直して、私たちの社会を作っていかなきゃいけないと思っています。





えー、人間っていうのは集団性の動物ですからですね、平均寿命が43歳だった1920年、ま、たった今から90年前なんですが。それとですね、それから今100歳になろうとこれからしてるわけですが、100歳のときと、ま、教育を行う年齢とですね、引退後の期間というのは、大体まぁ決まってるわけで、比率でですね。






簡単に言うと、教育を受ける期間が人生の20%、引退後の期間が20%、100%からそれを差し引きますと、働く期間が60%と、まぁいうのが大体常識でしょうね。そうしますと、平均年齢(寿命)が70歳の頃には、15歳で働きに出て、55歳で定年を迎えると、これが標準的だったわけですね。えー、寿命が100年になりますと、20歳まで勉強し、80歳で引退するとこうなりますね。ま、妥当ですね。ま、健康状態によっては25歳まで勉強して、85歳まで働くというのもありますけど、ま、これぐらいはあまり過度に言わずにですね、ま、いろんな人が、いろんなことを少しずつ言うと思うんですね。






それから、まぁ女性はほとんど仕事をするということで、電子化も進みますので、60%の就労率だったら、「年金の増税」なんかまったく必要ないですね。それから80歳で引退ですから、「高齢者問題」など存在しません。つまり、繰り返しますけども、「ある年齢を区切って“高齢者”と決める」んではなくて、「平均年齢(寿命)に合わせて仕事を引退しても、まぁいいという年齢を決める」、ということですね。そうしますと、「どんなに平均年齢を伸ばしても、高齢化社会は来ない」ということですから、「増税」と「高齢化」の問題はない、ということですね。





えー、国はですね、「タバコを吸うのはやめろ」 「メタボはダメだ」つって、それからまぁ健康を気をつけるってのはいいですよ。健康に気をつければ長寿になるんですから。それが長寿になったら、今度は高齢化社会はダメだって、そう言うこと言っちゃダメですね。ちゃんと見通しをつけて、統一した政策をしなきゃいけません。






えー、そしてですね。年金の問題を解決するために、私の本の「国債は買ってはいけない」という本に詳しく書いてあるんですけども、まず「役人を年金に入れないってことですね、参加させない」ってことです。そうすると、ろくなことないんです。それから「日本人なら誰でも、のたれ死にしない保障がある」というこの2つを原理原則を決めとかないけないですね。






ところが、年金が破綻した理由はですね、まず役人が悪さをするんですよ。中間マージンをごそっと取るとか、デラックスな設備作るとか、運用失敗するとか、こういうのあるわけですね。2番目が、どうしてもインフレが避けられないってことですね。3つ目が国民が甘い夢を見る、という3つですね。






えー、2つ目なんですけど、「インフレにならない」っていうのはね、これはどうしても無理なんですよ。ええとですね、20歳から働いてですね、60年間働くうちには、どうしてもインフレ来るんです。従って、「インフレになったら俺の老後は破綻する」っていうことになると、ほとんど全員が破綻しちゃうんですよ。それはもちろん気が気じゃありません。えー、インフレにならないようにすりゃいいだろ、そりゃすりゃあいいんですけど、必ず来ます。弱いインフレでもダメになりますね。私の計算でも載せてありますが、50歳までの年金はほとんど無駄になります、積み立てがですね。ですからこれはダメだ、と。それから、3番目。国民が甘い夢を見るのは、政治家が国民に甘いからなんですが、これは政治家はどうせダメだと思えば、一応これは克服できます。






そこで私が考える、まぁ一つの方法がありますが、こっから先は、もうガラッと考えが変わりますから。実は年金という言葉は出てこないんですよ。これで頭を少し切り換えて、お読みいただいたらいいと思うんですが。





えー、現在の65歳の年金支給から将来の80歳まで、「年齢比率」に合わせて定年と無条件生活保護資格年齢をスライドする。これ何言ってるかって言いますと、えー、平均寿命が80歳なら65歳から、100歳になれば80歳からということで、そこまで定年はですね、原則として保障する、と。






それから、無条件生活保護資格年齢っていうのは、今まで言われてる年金支給年齢ですね。年金じゃないんです。生活保護なんです。で、生活保護費ですから、全て税金で賄いまして、生活保護貰う人、2通りいるわけです。働けるのに働かないで生活保護を貰う人は、申請が必要ですね。それで審査を必要とします。ただ、80歳なら80歳になって生活保護受ける人は、無条件生活保護資格年齢ですね。この2つに分けるってことです。





年金はもう全部無いんです。生活保護しかないんですね。ですから当然、生活保護費はその年の内に決算します。積み立てゼロです。それまで80歳まで積み立ててこなきゃなんない、ということはありません。





えー、20歳から仕事をする人、どの人も含めてですね、人生はできるだけ生活保護を受けないように自分で計画する、ということを教育します。老人になったから、生活保護を受けるということはありません。生活保護は無条件で受けられるっていうことですね。で、そうしますと生活保護ってのは最低の生活ですから、上積みしたい人は銀行預金などで個人がしておく、ということですね。





こうしますと、役人がタッチしないという原則、この年のうちに決算してインフレの危険を避ける。役人がタッチしないというのは積み立てをタッチしないということですよ。税金を処理するのは、役人の役目ですけどね。えー、より良い生活は、本人の貯金でやる、という基本的な考えが定まります。




もう一回言えばですね、えー、年齢に関係なく何らかの事情で働くことができなくなったら生活保護費を貰うってことですね。たとえば、若くても病気、ま、心の病気も含めますが体力とかそういう理由で、自分で生活できない人が出てきます。これはもうしょうがないんですね。これは、国家が生活保護をする。この中に老人も入るってことですね。で、老人の場合は無条件資格取得年齢を決めておいて、それ以下の場合には審査のある生活保護、それ以上の人は無審査の生活保護というだけの違いですね。






えー、「老人は尊敬していたわる、しかし社会の一員である」ってことをハッキリしたい、っていうふうに私は思うわけですよ。要するに、老人だから年金を貰うっていうんじゃなくて、老人も普通の人と同じように働けなくなったら、生活保護を受ける。しかし、「働けるうちに生活保護を受けるのは恥だ、乞食は恥だ。」 何故かって言うと、「国民の誰かが働かないと日本は成立しない」んですから、それをしっかりと学校で明白にしておく。これは幸い憲法にも「勤労の義務」として書かれておりますので、大変に素晴らしいっていうことですね。





えー、そして20歳になったときには、子どもについても原則としては親は扶養を止めてですね。もしもそれ以上25歳ぐらいまで勉強したいときは、まぁ奨学金とか、それこそ生活費の支給を受ける、というようなシステムにすると、まぁいうことですね。





しかし、そのためにはですね、自分で働いて自分で生活するということを社会の基本的理念にしないといけませんので、役人の数を減らすということ、補助金を止めるということ、何とか財団とか天下り財団の建造物をどんどん民間に売り渡す、ということで、日本社会全体に、「自分で働いたお金で生活をする」と、しかし「非常時、働けなくなったら必ず国が助ける」という2つの基本的な思想を明確にする、ということが必要だと思います。





私はこれまで、エコポイントや太陽電池のような「乞食政策」ってのは反対してきたわけですね。まったくの乞食政策ですよ、ええ。別にね、大義名分はなんか、国がそこに支給して経済活動がどうのこうの、そんなことする必要はありません、ええ。国がそういうことに携わっても、悪いことばかりですからね。そういうことすると結局、貰った方が得という社会ができますから、子どものためにもなりませんし、年金も破綻すると、ま、いうことですね。





ここでお話したのは、お分かりになったと思いますが、今まで年金というのは権利であるというふうに思ってましたが、そうではないっていうことですね。えー、生まれてから死ぬまで、基本的には全員が働かなければならない。しかし働く能力の無いとき、つまり20歳までは一生懸命、勉強してもらう。働き出したら死ぬまで本来は働く、と。しかし、歳取ってくると自然に働けなくなるので、無条件生活保護支給年齢っていうのを決める、と。もちろん、現在の生活保護も生きるんですが、できるだけ国民には自分で働いて下さいね、ということをもう基幹にして、日本というものをつくる、と。






このことをやっぱりすることによって、みんなも健康になりますよ。今、生活保護を貰ってる人もですね、生活保護を貰えばいいやってことになると、働く気力も無くなりますが、やはり働かなきゃいけないんだ、と。自分の額に汗したことで生活するんだ、と。補助金とかそういうの当てにしないんだ、ということがハッキリ分かれば、健康にもなりますんでね。心身共に健康になりますので、私はいいんではないかと、まぁそういうふうに思います。


(文字起こし by danielle)