原発・エネルギー・環境の重要テーマ(前半、すべて、音声です)
音声はお聞きになりにくい方と、音声の方がわかりやすいとか車の中でお聞きになれるなどの方もおられますので、現在の重要なテーマを音声でいれました。今回はジックリお話をするために長さは長くなっています。
(平成24年1月27日(金))
--------ここから音声内容--------
(1) 福島原発が爆発した原因と対策(1/27)
ええと、原発の再開問題はですね、私たちの子どもの安全といいますか、日本の国土を失わない、といろんな意味があって非常に大切なわけですね。今度、福島の原発の事故があったということは、結果的にはですね、私たちが原発の安全性について真剣に考えてなかったと言ってもいいわけですね。これは原子力の人に責任はあるんですが。ま、国民もですね、これほどのことが起こるわけですから、やっぱりもっと真剣に考えなきゃいけなかったというふうに言えるでしょうね。
で、今、再開問題が起こってるわけですね。まずはあの、電気が必要かということと、原子力発電所が安全かというものを分けて考えなきゃいけないと、こう私思いますね。「安全第一」というのは、私も昔、化学工場で叩き込まれました。最初のうちはですね、お客さんもいるし…とかいろいろ思ってましたが、結局、危険なものはやってはいけないということがですね、体験・経験によってですね、分かってまいりました。
今、福島の原発が何で爆発したかっていうのを、冷静に考えてみますと、やっぱり、第一には地震なんですね。地震で壊れたか、津波で壊れたか、とこういう問題をですね、保障とか政治問題に絡めて議論するんではなくてですね、まぁやっぱり、純粋に技術的に考えてみるべきだと、私はこう思うんですよね。
そうしてみますとですね、震度6の地震で壊れた原子力発電所は、石川県の志賀原発、柏崎の刈羽、そいから今度の地震では青森県の東通、仙台の女川、そいから福島第一・第二、それから茨城の東海第二と、7つの発電所がいずれも壊れたと、いうふうに私言ってるわけですね。これについては異論もあります。違うと言う意見もありますが、私はですね、こういう安全問題っていうのは、きちっと厳密に考えなきゃいけないんですね。例えば、原発がそんなに壊れた、というのは「危険を煽るためだ」とかですね、そういう「ため」というのを止めてですね、本当に真剣に考えなきゃいけないですね。
地震で壊れる、っていうのはですね、これはあの、私が「壊れる」っていうのはですね、例えば緊急停止をしてですね、震度6っていうのは一応耐えられるようになってるわけですよ。なんでかって言いますと、日本では震度6の地震が毎年一回ずつ来ますからね。それに対して、原子力発電所の安全性というのは一応ですね、一万年に一度か十万年に一度ぐらいは仕方がないという、まぁ見通しがあるわけですね。これが事故の可能性がゼロってことになりますと、もう何もできませんので、一応見通しとして、一万年に一度、もしくは十万年に一度、とこのくらいを目安にするわけです。ですから毎年起こる震度6の地震なんていうのはですね、これはもう絶対に壊れてはいけないんですね。
壊れてはいけないってことはどういうことかって言いますと、地震が起こったら制御棒がぐあっと入って、原子力発電所が止まりますね。そしてよく点検をして、そして制御棒を抜けばまた運転が再開できるっていうのをこれ、「震度6での耐震性」って言うんですね。もちろん、見回ってて壊れたらいけないんですよ。
でまぁ例えば、棚の上の何か物が落ちるとか、まぁほんとはこういうのも良くないんですけどね、一応そういうことがあってもこれはしょうがない、と。だけども、そういうのを全部片付けるとしますね、一ヶ月掛けて片付けて、そして運転が再開できるって言うのが、実は「震度6の耐震性」ですね。日本の場合は震度7が、やっぱりこれ50年とか100年のうちに一回来ますから。そういう意味では、震度7の一応耐久性を持ってて、震度6だったらですね、やっぱり一ヵ月後には、普通通り「何もありませんでしたから、再開します」ということでないといけないわけですよね。ところが、私が言いましたこの発電所は全部、一ヶ月で回復したんじゃないんですよ。やっぱり設計上壊れたんですね。
ですからこれはやはりですね、はっきりと我々は認識しておいた方が良い。電力会社がどう言おうとですね、これは国民の問題ですからね。そういうふうに認識してた方が良いと思います。
そいからもう一つは、津波も大きな影響がありました。しかし、津波でやられたかどうかっていうのはちょっと違うんですね。これはまぁあの、政治的に「それは津波と言うんだよ」なんていうのはありますが、やっぱりそうじゃなくて、これも真正面からしっかりと考える必要ありますね。そういう点ではですね、15メートルの津波が来ました。それで5.7メートルといわれる防潮堤を超えて原子力発電所に流れてきたんですが、実は海岸線の建物はそれでやられたんですね、弱い建物は。
ところがその後、原子炉に到達するまで、原子炉建屋っていうのは4つありますね、1号機から4号機まで。ま、5号機6号機は少し離れてますけど。その1号機から4号機の手前にですね、タービン建屋というタービンを回すとこあるんですね。そこは原則としては原子炉建屋ではないんですよ。そこに津波がどっと来ました。
ところがこの原子炉建屋は建物が大体37メートル、それにそこは標高が6メートルぐらいありますから、合計43メートルですね。そこに、15メートルの津波がバーン!と来たんです。建物は無傷です、全然壊れておりません。壊れてないと言うか、建物自体は倒れておりません。ということは、津波がそこで止まったっていうことなんですよね。もちろん、建物は1号機から4号機の前に全部カバーしてますけども、まぁ北の方から回ったり南の方から回ったりですね、中央部のちょっと隙間がありますから、その隙間をくぐって、ちょろちょろは原子炉の建物に来ました。
しかし、一般的に言われるように津波が原子炉建屋を襲ったんではなくて、ちょろちょろ漏れてきた浸水によって爆発したんですね。で、この浸水の原因は主にではですね、おそらくは建物の両側から漏れてきたものもあるし、それからですね、防潮堤っていうのはそんなに長くなくて、その建物、壊れなかったタービン建屋のちょっと南ではもう切れておりまして、普通の海岸にテトラポットを置いてあるぐらいですね。そこはもう、ゆうゆうと津波は乗り越えて、後ろから原子炉建屋を襲った、ということもあるわけですね。
つまり、原子炉建屋は津波に襲われたと言えばですね、広く言えばそうなんですが、きちっと言えば「津波は直接的には来なかったんだが、海水面が上がったことによる浸水」ということになります。原子炉建屋はですね、標高10メートルのところにありましたから、15メートルの津波が来ましたから、ま、5メートル分だけ浸水したんですね。じゃ5メートル分浸水して、何で爆発したかっていうと、原子炉建屋地下に電気系統が置いてあった。そいから、タービン建屋の下にもディーゼル発電機が置いてあったということでですね。何しろ地下なもんですからね、全部やられたわけです。
そこでですね、変な話が出てきましてですね。防潮堤を高くするって言うんですよ。それじゃ福島原発の防潮堤が30メートルだったらどうなったのか? 津波は15メートルですから、全然30メートルの防潮堤は超えません。しかし、原子炉の南側が開いてますからね、原子力発電所の。そっから津波は回ってきます。ですから津波対策をするならですね、原子力発電所の建物全部を防潮堤で取り囲まなきゃいけないんですね。
それでもやっぱりね、日常的にいろいろ使ってですね、車なんかが通過したりしますから。それがいちいちですね、いつ津波が来るか判りませんからね。だから、それはやっぱり何が間違ってるかっていうと、浸水したら爆発するっていうのが間違ってるわけですね、当たり前ですが。ということはどういうことかって言うと、電源とか非常用電源を、まぁ3階ぐらいに上げとく、ということですね。
更に言えば、海岸線に原子力発電所を造らない、ってことですね。これは例えばフランスでもアメリカでもそうですが、ほとんど内陸でしかも川の上流に割合造るわけですね。川の上流に造れば、割合と氾濫するってこともないですしね。川ってのはだいたい氾濫するときは下流ですから。上流が氾濫するってことはあんまりありませんのでね、穏やかな大きな川の上流に造る。
例えば、日本で一番良いのは木曽川でしょうね。木曽川の犬山よりか上流。それから、滋賀県の琵琶湖。これなんかも良いですね、淡水ですし、穏やかですね。琵琶湖がですね、ものすごい勢いで津波が起こるなんて事はありませんのでね。ま、湖のほとり、もしくは大きな川のほとりってことになりますね。
こういうところに原子力発電所を建てているのが、実はアメリカであり、フランスなんですね。しかもアメリカとフランスは地震がないってことです。フランスなどは地震がないのに、原子力発電所を川の上流に造ってます。海沿いにあるものも少しあるんですけども2、3基あるだけでですね、他、全部川の上流ですね。で、川の上流に原子力発電所を造って、もちろん川の下流にはですね、水道を取る所とか農業用水を取る所、もしくはぶどう園なんてのは、どんどんどんどんその大きな川の水を使ってますからね。
じゃ、「そんなの危ないじゃないか」ってフランス人に言ったら笑われちゃうんですよ。
「え、あなた、日本人は原子力発電所は危ないと思ってるんですか?」
「いえ、危ないと思ってるんじゃないんだけど・・・」って、こう日本人は口を濁しますよね。
「安全なんだから、どこに造ったっていいんじゃないの?」と。
「福島とか新潟に造っておられるけども、福島や新潟には漁民はいないんですか?」
「いや、いるんです」と。
「魚は獲ってるんですか?」
「ええ、獲ってるんです。」
「じゃ、何で琵琶湖とか東京の墨田川とか、そいから木曽川に造んないんですか?」
「いや、廃液が汚いし、万が一爆発したときには・・・」
「じゃ、万が一爆発したときは、福島とか新潟はよろしいんでしょうか?」と。ま、若狭湾もそうですね。
「あそこの国民は日本人じゃないんでしょうか?」と、こう切り込まれたらですね、困っちゃうわけですね。
原子力発電所は安全でやるしかないんですね。安全でやるしかないっていうのは、今、一旦ですね、原子力発電所を止めまして、それで、隅田川でもいいですけど、多摩川でも荒川でもいいですが。そういった東京の近くの川に東京用の発電所を、まず一個造ることですね。これは政府が東京にありますから、まずそれをやる、と。つまり淡水で、川で冷やす、と。多摩川の水道を取る上流が一番いいですね。そこに建てるかどうか、という議論をする。
名古屋ですと、木曽川の上流に造る。そいから京都・大阪ですと琵琶湖に造る。これをまず最初にやらなきゃいけませんね。そうしますと、原子力発電所は安全かどうか、何をやれば安全になるのか、ということもはっきりしてきますから。これは非常に大切だと思いますね。
今度、日本の原発が爆発したって事は、本当に日本にとっては恥ずかしいことで、通常運転時で爆発したのは、日本の原発だけですからね。チェルノブイリはわざと電源を切って、自分たちで爆発の対策をやってるときに、ほんとに爆発しちゃったっていうもんですからね。そういうものはまぁ人間ですから、あってはいけないんですが起こり得ますが、日本みたいに通常運転時にですね、爆発する、と。しかも、地震で震度6でですね、耐えられないということが判っていたということですね。
今回もし防潮堤を高くしたら、もうこれほんとにね、お笑いって言うかね。つまり、防潮堤いくら高くしても、他から水が回ってきたら地下1階にある電源はやられてしまうわけですね。ですからやっぱり日本はまず、海岸淵に作らない、川の上流に造るってことをですね、まずやらないと私たちの日本はですね、もう一回ダメになってしまう、と。福島原発のように国土を失ってしまう、ということになると思います。
(文字起こし by danielle)