2012議論を要する問題 再生可能エネルギーと持続性社会 (1/6)
~持続性社会は成立するか~
--------ここから音声内容 その2--------
学生さんの質問の第二がですね、「持続性社会は成立するんですか?」。これは実はですね、大人が大真面目に、持続性社会っていうのを言ってるんですけどね。持続性社会が成立しないってことはもう、とうの昔に判ってるんです。
歴史的にも持続性社会が成立したことはありません。農耕社会においても、どんな社会においても、持続性社会ってのはありません。持続性社会じゃないからこそ、発展してきてます。
狩猟をやってきたら狩猟が行き詰って、農耕にする。農耕が行き詰って、工業化になる。ま、現在少し工業化も行き詰ってる、とこういうことですね。ですから、もちろん持続性的社会は存在しません。
例えば、銅でも鉄でも何でもですね、使えば無くなります。どんな状態でも、回収することはできません。回収を全部しようと思うと膨大な量の別のものが必要ですから、やっぱりダメですね。
太陽光、風力・水力・地熱・バイオマスなんかはもちろん多少は使えますけども、持続性ではありません。
持続性社会を作ろうという計画が、学問的にはないと思いますね。政治的にはあるかと思います。
じゃ、もう少し具体的に、一体この場合の持続性社会とは何を言ってるか?ってことですね。例えば、石油・石炭が無くなるから、節約しようって言うのは持続性社会になりません。例えば、石油・石炭が100年もつ、というのを節約して50%にした、と。200年になるだけですから、これは全然、持続性社会になりませんね。
ところが現在、石油・石炭を使わないっていうわけにはいきません。それからもう一つ、コンクリートがありますね。これはまぁ、CO2を使うわけですが、これも持続性かどうかは怪しげです。
それから、生物の命を頂くというのはですね、どういうようにしたら持続性かって分かりませんが、例えば海で自然に増える魚を自然の範囲で獲ってると、海は魚を再生しますから、一応、この点では持続性になるわけですね。獲り過ぎると、昔のニシンとか、ハタハタのように無くなってしまうんですけども。持続性を保つことはできます。その場合は人間が使う量と、自然が発生する量の比率が非常に違う場合ですね。
ですから、陸上はもうダメなんですけども、海上ですと一応持続性が多少成立はするんです。ただその場合、先ほど言いましたように、命を頂くというのがあるんですね。これをまぁ、良しとしなければならない、ということになりますので、人間から見れば持続性なんですが、他の生物から見ればどんどん命を奪われるわけですから。これを良いというかどうかですね。これは倫理的にひとつ考えなければいけない、ということですね。
それから風力。私もずいぶん言ってますけど、風を使うってことは、現在、風を使ってる動植物が、その影響を受けて死ぬということですね。水力もそうです。地熱は、まぁ日本のような場合はですね、どっかの地熱を使いますと温泉がまず無くなりますね。それからもう一つは、地熱を使うってことはですね、地熱を使った所の地熱が、岩石が冷えますのでね。冷えた岩石から熱取れませんので、次の岩石の所に移動していかなきゃいけないんですが、その移動の仕方がまだ判らないってことで、ダメだってことですね。
これは私のいろんな本だとか、このブログにもずいぶん書いてますが、私が今度これを答えようと思ったのは、実はこの、学生さんがですね、そういうことを考えるとか、疑問に持つ、ってことが大切なんですよね。
もうひとつは技術者倫理っていう講義の中でお話を聞いたってことで、実に倫理的じゃないな、と思いましたね。ここでの技術者倫理は、人間だけが良ければいい、とかですね、言葉でごまかせばいい、ということを倫理で教えるってことはですね、ちょっとやっぱりまずいかな、と。もう少しですね、倫理問題っていうのは、深く広く考えていかなければならない、と。ま、そういうもんだからですね。ちょっと二つ試しにやってみました。
(文字起こし by danielle)