イラスト&ショートストーリー製作工場 -94ページ目

「子供の運動会で後悔しない方法を教えます」

運動会で父が走ると、みんなが笑うので、

とても恥ずかしかった。


「どうして、まさる君のおとうさんみたいに、かっこよくないんだろう」

そう思った。

太っちょで、短足。走るとお腹が出て、カッコ悪い。

おまけに、父はいつもビリだった。


あれから40年の月日が流れても、父の走る姿を鮮明に思い出せるのも、

そんな恥ずかしさせいなのかもしれない。

トラックの長距離運転手だった父は、繁忙期には休みがない。

日曜祝日関係なしに2、3日家を留守にすることも多かったが、

運動会には必ず顔を見せた。


年長組になった息子が、「運動会に来るの?」と僕に聞く。

思えばあの頃の僕と同じくらいの年回りだ。

「ああ」と僕は曖昧に答えた。日曜とはいえ、営業に休みはない。

そんな僕の生返事に息子は「はぁあ」と大きく息を吐き出した。

とうとうため息まで覚えさせてしまったかと思う。

すかさず妻が「パパは忙しいの」と息子を諭した。

最近の営業不振を汲み取っての言葉に違いない。やるせなかった。


「一生懸命やれ。そうすれば必ずいいことがある」

というのが、父の運動会での口癖だった。

僕も親父似で、走るのがめっぽう遅かったからだ。

今、本気で走ったらどうなるだろうか?

運動会に行かない方がむしろ息子のためかもしれない。

一生懸命か・・・

「何か?」妻が夕飯の膳を片付けながら聞いた。

「いや、何でも」と言葉を濁す。

一生懸命に生きた父は、癌で見るかげもなく痩せ細り、病院のベッドで生涯を終えた。

少しは報われたのだろうか?

そんな風に妻に聞きたかった。


記憶にある父との最後の運動会は、ゴールまで走れば一番が間違えなかった。

先頭のランナーが転んで、父の先を走る三人みんなが巻き添えを食ったからだ。

ところが父は走るのを止めた。

立ち上がれない見知らぬお父さんを抱き起こして、そのままゴールしたのだ。

またもビリケツ。


「会社お休みできるの?」

息子が寝静まった後で、運動会に参加することを妻に告げた。

営業の途中で保育所に立ち寄ればいい。

長くはいられないが、お昼後の2時間くらいは何とかなる。

「50メール走に参加するって、無理しなくていいのに」

と妻は気づかった。

明るい表情なのは、やはり妻も来てほしいのだ。

「大丈夫。ヤバくなったら歩くよ」と笑って答えた。


五年前の通夜、訪れた父の同僚が僕を見て懐かしんだことがある。

一度も面識はなかった。

「きみがトシ坊か。お父さんが運動会前になると、

飽きもせず、駐車場をぐるぐる走っていたのを思い出すよ」

と言った。


ゴールをしても鳴り止まない拍手。僕はそれが誇らしかった。


それから運動会までの一週間、僕はトレーニングを開始した。

営業先に出向く時に、公園があれば軽いランニングをした。

まわりの人からすれば、きっと遅刻しそうなサラリーマンに見えたに違いない。

「一生懸命って、恥ずかしいよね」

空に向かって、僕はそんな風につぶやく。


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さぁ、家まで走って帰るか、

父が見せた最高のビリケツのゴールを目指して。

「幸せマジック」

キミが笑うと、ボクもおかしくなる。


キミが泣いていると、ボクも悲しい。


キミが怒っている時は、ボクも怒っているから、

なんだか、いつも一緒だ。


家族は「幸せマジック」


だから、ボクはなるべく笑うようにしよう。



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だって、キミの悲しい顔は見たくないもの。



※「幸せマジック」について


どんな意味? どういうこと?

さて、ボクにもわかんないよ。

「新聞記事に思うこと」

2012912日、知床では痩せたヒグマの目撃が相次いでおり、

深刻な餌不足が背景にあると伝えられる。


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(古坂氏撮影より)


新聞紙面に掲載された岩場で立ち尽くすヒグマ。

数日後、痩せた子グマの死骸が定置網に引っかかったという。


同じ社会面には、幼いわが子を殺害する母親の記事。


自分の都合で生きる僕たち、人間は、

もっと彼らから何かを学ぶべきだ。