というのがかつてあったが。
靖国神社落書き男、犯行理由を処理水放出への抗議と主張 しれっと幕引き図る中国、改めて世界に不当を発信する ...
中国外務省の毛寧副報道局長は3日の記者会見で、国外の自国民に対し、「現地の法令を順守し、理性的に要求を表明することを改めて促したい」と苦言を呈しました。一方、靖国神社については、「日本軍国主義が対外的に戦争を発動した精神的な象徴だ」と非難しました。論点ずらしで収拾を図りたい思いが透けてみえます。
どうして、及び腰なのかと思っていたら、上川陽子外相は4日の記者会見で、「外交ルートを通じ、中国政府に事案の発生に対する懸念を表明するとともに、中国国民に現地法令の順守、冷静な行動をとるよう注意喚起することを要請した」と発言しました。
日中間で水面下のやり取りがあったことを覗わせました。
ところが、件の男はこの動きに冷水を浴びせます。
日本メディアの取材に、「日本政府が核汚染水の排出を許可したことを知ってから、怒りが収まらない」などと、犯行理由は福島第1原発の処理水放出への抗議だと主張したのです。
このようなことになるのも、日本政府が毅然とした姿勢を出さないからであり、それは岸田外交を任せられている上川陽子外務大臣の常日頃からの発言に如実に表れている。
幣原外交のような態度はいずれ国際紛争の種を播くことを心得るべきである。
に書いた通り、協調外交は国内に不満を生む。その不満が爆発して国外に暴走してしまうものである。したがって協調外交は強硬外交のためのポテンシャルエネルギーを蓄えてしまうのだから、上川陽子外務大臣の協調外交路線、というよりは他国の言いなりになる「なにもしない外交」というのはハト派にとっては歓迎されるかもしれないが、将来のタカ派台頭の種を作っているのである。
まずなにより、こんな抗議行動をしたところで、ALPS処理水が科学的にダメだというのであれば、その理由を明らかに示すべきである。それをせずに「科学的に危険」という言葉のみを繰り貸している中国政府には、まったく論理性はない。国際的に認められたものをそうではないと覆すにはそれなりの科学的根拠が必要なのは当たり前だろう。
このような問題がいつも生じてしまうのは、これまでの日本が謝罪外交に徹してきたからであり、それについて中国や韓国は謝罪によって寛容になることはなく、ますます付け上がっていくというのは、戦後外交では示されてきたところだ。
そこで故・安倍晋三元首相は「戦後レジームからの脱却」ということを言ってきたわけだが、それが果たして脱却だったのだろうか。戦後においても、「あの戦争は侵略ではなかった」とか「日本は太平洋戦争で良いことをした」と発言したことにより失脚した閣僚が何人かいた。
そのような考えをする国民というのは戦後に一定程度いたわけで、公人だったから閣僚であると追放されてしまうが、国民の中にも普通にそう考える人はたくさんいた。また、それに反対する左派勢力もいたわけで、それ自体が戦後レジームだったのだ。安倍元首相の言う戦後レジームの脱却は単に右派勢力の味方をするというだけであって、ちっとも脱却ではない。
第一、原子力発電所の事故に伴うALPS処理水の排出と靖国神社に眠る英霊とは全く関係がない。共通点は日本であるというだけだ。このような暴挙に対して、何もしない外務省はどんどん外国に好き勝手にされるだけである。外務大臣がしっかりしていれば変わるのかもしれないが、現状の上川陽子外務大臣では話にならないことは確かである。