平成29年度予算案の公聴会●教育国債・無償化・天下り根絶 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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2月21日の予算委員会は、新年度予算案

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についての公聴会。

公述人から意見を聴取し、質疑を行いました。

 

公述人は午前と午後に分かれメンバーは以下の通りです。

 

(午前)

熊 谷 亮 丸 株式会社大和総研執行役員、調査本部副本部長 チーフエコノミスト

今 井 高 樹 特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター、人道支援/平和構築グループマネージャー

小 林 雅 之 東京大学大学総合教育研究センター教授

高 橋 洋 一 嘉悦大学教授

 

(午後)

中 空 麻 奈 BNPパリバ証券株式会社投資調査本部長

逢 見 直 人 日本労働組合総連合会事務局長

手 塚 加津子 昭和電気鋳鋼株式会社代表取締役社長

小田川 義 和 全国労働組合総連合議長

 

この中で高橋洋一氏が公述人として参加していますので、その意見と質疑を以下に取り上げます。質疑はいずれも教育関係予算についての配分についてのものが多くありました。なお、民進からは高橋氏への質問はありませんでした。

 

●高橋洋一公述人の意見

高橋洋一 公述人意見陳述【国会中継 衆議院 予算委員会 中央公聴会 ..

 

結論を先に申し上げれば、

一つ目は、最近のマクロ経済学から見て、財政事情というのは統合政府、この統合政府というのは政府と中央銀行を会計的に一体と見る考え方でありますけれども、これで見るべきであるということ。

二番目は、教育支出、これは未来投資として捉えるべきだ。

三番目は、予算の無駄遣い批判というのがありますけれども、これに対しては天下り根絶を徹底的に行うこと。

この三つが結論であります。

 

【高橋洋一公述人への質疑】

●門博文委員(自民)

・教育・研究への投資を含め財政政策を積極的に展開すべきだと考えるが、高橋公述人の見解を伺いたい。

▽高橋洋一公述人

いろいろな支出というときに、消費性のものと投資的なものがあるんですね。

 

 投資的なものというのはどこでも別に、ちゃんと投資の効率というか、BバイCとか、そういうようないろいろな採択基準を持って、それでクリアすれば、実は幾らやっても構わないというのが原則です。ですから、全く無駄な話ということになりますと、その採択基準が要するにひどいということですね。投資しても全然効果がないというのはだめなわけです。

 

 それで、物への投資ですと、物的な投資なのでかなりわかりやすく、BバイCとか、そういうのがあるわけですけれども、実はそれは無形固定資産で全く同じにできるんですよね。だから、無形固定資産でも同じような基準でちゃんと投資効率のあるものがいい。

 

 それで、これを経理するとどうなるかというと、無形資産ですから、今までの会計はちょっと変えないといけないんですけれども、ただ、物的なものについては公債対象経費になっていて無形はならないというのは全くロジカルじゃないと私は思っているんですよね。ですから、無形資産の形成になるような投資であって、かつ、今の物的投資と同じレベルの投資採択基準があれば、私は可能だと思います。

 

 そういうものというのはすごく多いと思うんですけれども、今までは、それは形式的に、無形固定資産ですから公債対象経費じゃないですよというんですね。そういう形でいいますと、ほかの税財源からこの支出をカットしなさいとか振りかえなさい、そういう話になるんですね。もちろんそれも無駄カットの中でできる範囲はありますけれども、そういう範囲で考えるのか、無形固定資産として投資採択基準を満たせばそれを全ていいと思うかで大分違うと思うんですよね。

 

 これからは無形固定資産にやはり投資すべきだと思うし、GDPなんかも、最近、無形固定資産の研究開発とか、そういうのをカウントするという話になっていますよね。そうしますと、それに資するような話というのは、以前よりかは実はかなり計測可能だと思うんですよね。ですから、そういう形で、無形固定資産に対する投資というのをちゃんとした採択基準のもとでやるということでぜひ政策をやっていただいたらいいのかなと思っております。

 

 

●富田茂之委員(公明)

・教育国債を発行するためには財政法第4条の規定を乗り越える必要があるが、そのための具体的方策について高橋公述人に伺いたい。

▽高橋洋一公述人

案はたくさんあるんですけれども、一番単刀直入に言えば、財政法四条を改正すれば簡単ですね。公共事業関係費の次に教育関係費として、その細目については予算総則に書けば一番簡単でありますね。それでなければ、さっき言ったように出資金処理をして、それでやるというのが一つのパターンですね。

 

 もう一個、財源を探せと言われたら、結構簡単な話なんですけれども、私、先ほど、統合政府で通貨発行益を利用すると言いましたよね。これは結構簡単に利用できるのがあって、例えば、通貨発行益を妨げているというのは、日本銀行の方で先に使っちゃって政府への税外収入が少なくなっている要因で、一番簡単なのは、実は日銀当座預金への付利、利子をつけていることですが、〇・一%つけているんですけれども、大体、当座預金に利子がつくというのは民間でありますかという議論ですね。

 

 民間金融機関は、そもそも、普通の企業から当座預金を受けていますけれども、これは無利子ですよね。その無利子のお金をそのまま日銀に持っていって〇・一%さやがとれるというのはとんでもない話でして、これが日銀当座預金の中で二百兆円ほどあるんですけれども、そこに〇・一%くっついていますから、これだけで二千億円ほど実は税外収入が減っています。だから、この〇・一%を〇・〇五%にすれば、一千億円ほどの財源は簡単に出てきますね。

 

 ですから、こういうふうな話というのは、もうちょっと、本来であれば予算委員会で議論すべきだと思いますけれども、この話というのは結構簡単に、通貨発行益という税外収入を何に使うかという話を議論すれば、全く正当化できる理論でありますね。

 

 ですから、こんな財源がごろごろしているのにと私なんかは思いますけれども、そういう中で、百億円が大変だとかいう話を聞くと、皆さん大変なんだろうなと思って、思わず、ううんとうなってしまったんですけれども、もし簡単に財源をひねり出せと言ったら、この程度のことは実はあっという間にできると思います。

 

●宮本徹委員(共産)

・総理は、確実に経済の好循環が生まれていると言い切っているが、こう言い切れるほどの状況になっているのかどうかというのをお伺いしたい。

▽高橋洋一公述人

経済をどのように見るかということなんですけれども、二つの見方、指標があると思います。一つはGDPで見るもの、あともう一個は雇用で見るものですね。先ほど私、説明したように、財政政策の方ですと比較的GDPの方に影響があって、金融政策が雇用です。

 

 それで、どちらを見るかというと、私が官邸にいたときに、ミニマムラインをどっちに引くか、普通は雇用です。ですから、雇用がよければ実は六十点ぐらいとれて、さらにGDPがよければ、実はかなりそれの上の八十点、九十点になるというところだと思います。

 

 そこで考えますと、金融緩和しているので、実質金利が下がって、かなり雇用はよくなっています。ですから、そのところで思うと六十点の及第点はとれている。ただし、GDPの方の話、これは実は財政政策の話なんですけれども、消費増税してしまいましたので、あれは大失敗ですね。あれがなければ非常によかったと思います。その意味で、今は、消費増税の失敗があって金融政策がよかった、そういう話なので、六十点か七十点、そういうレベルだと思います。

 

 あとは、これは今後財政政策をどのようにやるかということにかかってくると思いまして、そこで財政政策を入れれば、多分これはいい方向に行くんじゃないかなというふうに思います。

 

 

●伊東信久委員(維新)

・教育国債について、高橋公述人の所見を伺いたい。

▽高橋洋一公述人

今は財政法のもとですから、この中でいろいろなことをやろうとするとなかなか大変です。ですから、一番最初のステップとしては、やはり無駄の削減というのでやるというのは、それは現実的な話だと思います。ただ、将来を見据えたときに二本立ての方がいいと思いましたので、教育国債の話をしました。

 

 それで、麻生大臣の方は将来にツケを残すという言い方をするんですけれども、そういう言い方をしますと、実は、建設国債で物的な資産があるものはツケを残すんですか、そういうふうな反論が簡単にできますね。ですから、これは無形資産の話なので、それについて将来にツケを残すという言い方はちょっと間違いというか、答弁としてはおかしいと私は思います。

 

 ですから、無形固定資産については、実は以前も出資金という形でやったこともありますので、財政出動もしたことがありますから、そういう形にしますと、その前の話は全部うそだったんですかという話で、私だったらすぐその場で、そんなことを言うとちょっと問題がありますよと申し上げたいぐらいの答弁だと思いますね。

 

 それで、私が示した資料は、実は財務省の中のコンメンタールにもそう書いてあるということを言っているわけですよね。ですから、そのコンメンタールに書いてあることは、実はあれは五訂版でして、もうずっと前から書いてあります。ですから、それを示して、これを書いたのは間違いですかと言いたいくらいですね。

 

 実は、五訂版というのはついこの間出たばかりなんですよね。ですから、それはずっと書いてある話なので、ただ単に将来にツケを残すという言い方は実は赤字国債のときの言い方でありまして、要するに、無形固定資産及び有形固定資産で残すようなものについては、将来にツケというのは答弁として普通じゃないと思います。

 

 ですから、その意味で、ここは立法府ですから、ちゃんとした制度の話をしてもらいたいと思いまして、財務省の大臣がこういうふうに言っているからというのであれば、立法でそれを乗り越えるとかいうことも考えていただいてもいいんじゃないかなと思います。

 

 ただ、今の現状のもとで考えると、それといろいろと無駄の話、それと私、先ほど通貨発行益の話で財源なんかこのくらい簡単に捻出できるという話もしましたけれども、そういうのでやるというのは物すごく具体的な話だし、最初は必要だと思います。ただ、将来を見据えたときには二本立てで、やはり国債で未来への投資ということも考えた方がいいんじゃないかなと思いまして、申し上げました。

 

 

・教育無償化の実現に向けた憲法改正の必要性について、高橋公述人及び熊谷公述人の所見を伺いたい。

▽高橋洋一公述人

私は、政策を実現するためにどのようにしたら一番確率が高くなるか、そういう非常に実践的なアプローチをとるんですね。

 

 そういう観点から立ちますと、教育の無償化を憲法でやるということは、実は非常にいいアプローチだと思います。要するに、憲法という形にしますと国の基本がはっきりしますし、それで議論も非常に深まると思います。こういう形にしますと、それに応じていろいろな法整備というのが出てくると思いますね。ですから、そういう意味では非常に望ましいと思います。

 

 逆に言うと、よく批判で、これは憲法改正なしでもできるんじゃないかと言うかもしれませんけれども、それはそうかもしれませんが、実は、では改正して何が悪いのというレベルの話であると思います。憲法改正してより進むのであればそれの方が望ましいという観点から、憲法改正して全く支障がないのであれば、何か大きな弊害があるんだったら別ですけれども、ただ単に憲法改正するというだけですから。

 

 それで、日本の憲法というのは実は非常に硬性憲法で、ほとんど、改正したことがないというので世界で有名なぐらいの話なので、少なくとも、統治機構の部分とか行政の普通の部分はもうちょっと弾力的に改正してもいいんじゃないかなと思いまして、そういう観点から思うと、この教育の無償化というのは非常にいい題材なのかな。

 

 同じ憲法でも濃淡あるんですね。ここは慎重にやるべき、それとあと行政とか統治機構に関するところというのは、どこの国でもそんなに、憲法改正しちゃいけないなんという議論はないですよね。

 

 そういう観点から思うと、より政策実施がうまくできるのであれば、あと、こういうふうに憲法の話にしますと、時の政権とか時の法律では関係なくなりますので安定性が増すと思いますし、それとあと、さらに、こういうことをやろうと思うといろいろな制度というのをよく考えて深く深掘りしますので、その意味でも憲法改正というのは望ましいと私は思っております。

 

 

・教育無償化の財源を確保するためにはまずは行財政改革を行うことが必要であると考えるが、公務員人件費削減についての高橋公述人の所見を伺いたい。

▽高橋洋一公述人

公務員の給与の話でいきますと、民間準拠というルールがあるわけでして、それで、民間準拠というときに、実は人事院が調べるんですが、それは、その抽出している先はごく一部の大企業ですね。ですから、これが果たして民間準拠なのかどうかということをチェックしたらいいと思います。

 

 それで、これは闇の世界みたいな形でなかなか難しいんですけれども、普通に計算しますと、民間給与というので大企業だけじゃなくて全部計算したというのは、実は国税庁の方の調査というのもありまして、この国税庁の調査はもともと所得調査というのがあるんですが、民間委託した調査なんですね。ですから非常に簡単にできていて、いろんな階層から全部とっちゃっているんですね。それからとってくると、大分、人事院の数字と全く違うんですね。

 

 もちろんその抽出する先が違うというところがポイントでありまして、一事業所当たり五十人とかいってほぼ大企業だけを抽出すれば、それは高くなるでしょうということなんですけれども、これは公務員の給与の決め方、民間準拠というのの具体的な話だと思います。それを例えば国税庁の調査にのっとってやれば、先ほどの二割削減というのは大体そうなっちゃいますね。二割削減ぐらいになっちゃうんですね。

 

 ですから、これは、基準をどのように決めてやるかという問題に帰着して、かなり具体的な話として、やろうと思えばできると私は思います。