税制改正案の審査 初日 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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2月21日の財務金融委員会は、平成29年度から始まる税制のための改正法案審査初日です。参考人として黒田東彦日銀総裁も出席。

 

193-閣06 税制改正案

所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第6号)

 

・麻生財務大臣兼金融担当大臣、越智内閣府副大臣、木原財務副大臣、橋本厚生労働副大臣、冨樫総務大臣政務官、馬場厚生労働大臣政務官及び政府参考人並びに参考人に対し質疑を行いました。

(参考人)黒 田 東 彦 日本銀行総裁

 

◆◆税制改正と実務の徹底対策 よくわかる 平成29年度 / 平川忠雄/編著 中島孝一/共著 飯塚美幸/共著 市川康明/共著 / 日本法令

 

 

 

この日の法案審査の中でマイナス金利について、民進党の重徳委員から質問がありました。黒田総裁が答弁しています。

 

○重徳委員 

 どんな状況でも今の一貫した姿勢を変えない、政策を変えないということでございますが、マイナス金利を一年前から導入してから、まさに一年たつわけなんですけれども、最近ちょっと気になる報道も登場してきておりまして、特に地方の金融機関、マイナス金利になったものの、そのお金をどこにやっていいのか、なかなか見当たらない中で、最近は、相続税対策ということで、更地だった土地に個人の方がアパートを建てて、そしてそれを賃貸として貸す、こういうところに資金需要が出ていると。

 

 マイナス金利ですから、当然金利も安いし、それから更地よりも建物を建てた方が相続税が安くなる、評価が下がるという意味でですね。それから、借金をこさえておくこと自体が相続税対策になるとか、それから建設業界にすればもちろん仕事になる、そして金融機関は資金を貸す先ができるということで、その限りにおいては需要と供給がマッチしているように見えるんですが、しかしながら、当然ながら、日本の人口減少局面にあって、よっぽど局所的な大都市部以外は、アパートをつくってもすぐ、アパートというのかマンションというのか、つくっても空室がちになって、家賃も下がって、結局その融資も焦げつくんじゃないか、こういうこともあるわけであります。

 

 何か、弾みがつくととまらないというのが割と、これをバブルとは申し上げませんが、そういう傾向がある中で、ここについては、そういった資金の流れについて懸念する声も上がり始めているんですが、日銀としてどのように捉えておられますでしょうか。

 

○黒田参考人 

最近の金融機関の貸し出し態度は引き続き積極的でありまして、銀行貸出残高は前年比二%台の半ばで推移しております。こういった銀行貸し出しの伸びはいろいろな分野に及んでおりまして、不動産業だけでなくて幅広い産業について、また、設備投資向けの資金も、それから運転資金も含めて、さまざまな形で増加しておりまして、特に中小企業への貸し出しもかなり増加しているというのが現状であります。

 

 御指摘の、地域金融機関を中心に貸し家業向け貸し出しが伸びていることは事実でございます。こうした動きにつきましては、一方で、郊外から市街地への人口移動などがありまして、貸し家需要が増加しているという面と、御指摘のような資産運用あるいは節税ニーズといった供給側の動機がありまして、両方相まって、貸し家の着工が増加しているということが背景にあるというふうに思います。

 

 現時点では、郊外の物件など一部に空室率の上昇などが見られますけれども、マクロ的に見た貸し家の需給バランス、あるいは金融機関のリスク管理などの点で大きな問題が生じているとは見ておりません。

 

 もっとも、貸し家業向け貸し出しというのは、当然のことながら、長期にわたりますので、金融機関に対しては、実行段階における物件ごとの収支見通しの検証のみならず、実行後における物件の状況変化の早期把握などの点で適切なリスク管理を促しておりますし、今後とも促してまいりたいというふうに思っております。

 

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【委員からの法案質疑】

 

●勝俣孝明委員(自民)

・配偶者控除等の見直しにより、「103万円の壁」を理由に就業調整を行っていたパート配偶者の労働時間はある程度増加することが期待されており、人手不足の解消に寄与できると考えているが、社会保険料の負担が生じる「130万円の壁」や企業の家族手当の支給基準等の課題への対処について、政府の所見を伺いたい。

・NISAの口座開設数は1049万口座と大きな数字だが、稼働率は約半数である。日本は欧米と比較して投資の割合が低いとされているが、積立NISAの創設により、貯蓄から投資への流れを作ることができるのか、具体的な方策を伺いたい。

・企業の収益力を高めていくことが、経済の好循環を活発にする原動力になると考えており、未来への投資として将来を見据えた種を作っていくことが重要である。IoT、ビッグデータ、AI等を活用した「第4次産業革命」による新たなビジネス開発を後押しする必要があるが、今回の研究開発税制の見直しについて、現行制度からの変更点を確認したい。

 

●山田美樹委員(自民)

・研究開発税制について、治験業務を外部にアウトソーシングした場合、受託企業が中小企業でないとオープンイノベーション型の減税を受けられないが、治験業務を受託できるのはある程度規模の大きな企業である。厳しい現場の研究環境を踏まえて実態に即した改善を検討して欲しい。

・医療機関には全国で300万人以上が従事しており、医療従事者の給与が上がれば、特に地方で大きな消費の拡大及び雇用創出効果があると考えられる。今回の税制改正で中小企業の賃上げについてはしっかり支援しているが、医療関係者の報酬の向上についてはどのように取り組んでいくのか。

・法人番号を持たない個人事業主はマイナンバーを利用して税務申告することとされたが、一度だけ取引をする相手にもマイナンバーを提出するということに抵抗感がある人が非常に多く、既に提出された支払調書の中には番号記載のないものが多数あったと聞いている。このような現状を踏まえた今後の対応について伺いたい。

 

●上田勇委員(公明)

・サービス産業は日本のGDPや雇用の7割を占めているが、小規模事業者が多いことやITの活用の遅れなどから、主要先進国に比べてその生産性はかなり低いと言われている。サービス産業の生産性向上が日本経済全体の成長力を高めていく鍵であり、今回の税制改正がその後押しになると考えるが、サービス産業を重視して支援する意義及び今回の改正で期待される効果について伺いたい。

・今回の見直しで清酒とワインの税率が統一され、ワインは増税となるが、ワイン輸出国からのクレームはないのか。また、国産ワインへの影響の有無と、影響が出た場合の支援策についても伺いたい。

・訪日外国人旅行者が消費税の免税を受ける際、多くの場合は、一旦消費税込みで購入し、後でまとめて現金での還付を受ける形となっており、店舗においても少額貨幣を大量に用意するなど準備が煩雑である。クレジットカードでの還付ならこの点を簡素化できると考えるが、現行制度は現金での払戻しを求めていないことを確認したい。

 

●古川元久委員(民進)

・パート等で働く配偶者が、103 万円を超えることのないように就業調整を行う、いわゆる「103 万円の壁」の要因は、配偶者控除を受けられなくなることによるものではなく、配偶者自身に所得税が発生することであると考えるが大臣の見解を伺いたい。

・所得再分配機能を回復させるためには、税率を上げるのではなく、控除の仕方を変えることが重要であると考えており、今後の所得税改革においては、所得控除ではなく税額控除が好ましいと思うが大臣の見解を伺いたい。

・国税庁は、我が国で国際取引が広がっていることから、その対応として国際税務専門官を各税務署に配置しているが、363人しかいない。現在の執行体制では、租税回避措置の対応をするには不十分であると考えるが国税庁の意見を伺いたい。

 

●重徳和彦委員(民進)

・働き方の選択に中立的な仕組み構築のため、所得税の配偶者控除を今後税額控除にまで踏み込んでいく考えはあるのか伺いたい。また、本改正案の配偶者控除等に係る 38 万円の控除額の適用年収の 150 万円への引上げでは、働き方の選択に中立的な仕組みへの寄与は弱いのではないか。

・中小企業経営強化税制にかかる要件、小規模法人の社会保険への強制加入及び役員給与の損金算入要件を現場の声に合わせて柔軟に運用することが必要ではないか。

・昨年1月の日銀によるマイナス金利の導入に伴い、相続税対策として、地域金融機関における個人の貸家向け融資が増加している。人口減少下の我が国において、貸家の空室率の上昇により、同融資の焦げ付きが懸念されるが、日銀の見解を伺いたい。

 

●古本伸一郎委員(民進)

・国の歳入の根幹が税収であるならば、特例公債の位置付けは何か。また、国の歳入は税収の範囲内で賄うのが原則であるが、例外措置である建設国債や特例公債の発行は、平成29年度においてどのくらい行われるのか。

・平均収入が高い東京等の都会は公共交通機関に恵まれているため、自家用車の普及台数は少ないが、平均収入が低い地方は車がないと生活できないため、自家用車の普及台数は多い状況となっている。そこで、地方の家計支援として、地方については車体課税の税率を軽減すべきだと思うが、大臣の所感をうかがいたい。

 

●初鹿明博委員(民進)

・配偶者控除の見直しにより、どの程度の人数が働く時間を増加させると想定しているのか。

 

●宮本徹委員(共産)

・利益率も高く、内部留保も積み増している製薬業界等のために、高水準型の研究開発減税制度の期限延長を行った理由について、大臣に伺いたい。また、大企業向けの研究開発減税制度そのものについて、縮小、廃止に向けた抜本的見直しをすべきとの考えに対する大臣の見解を伺いたい。

・今後の日米経済対話の中で、大臣は法人税引下げ競争の問題についてどのような姿勢で臨むのか伺いたい。

・外国子会社合算税制について、制度の適用が免除される租税負担割合を今回の改正案よりも引き上げることが租税回避への効果的な対応や税収確保につながるのではないか。