蒸れないブログ -304ページ目

ルール説明 ―小説

「ですが・・・、異界の空気が結界から漏れ出て人心を惑わし 猟奇的な殺人者が生まれるんです。

ほら、最近ニュースでやたらと殺人事件の多い土地を『異界』って呼ぶでしょ。


僕らの言うところの異界とは、定義において違いはありますが、

ちゃんと関係してるんですよ。

僕らの言葉で正確に言うなら、異界の空気に汚染された地域ってだけなんですけどね。


有名どころで言うと、青森、続いてここ京都といったところでしょうか。」


「カザト少年、もう少し手短に」


世間一般的な話はこの場合どうでもいい。


この場合ホメオスタシスのほうが問題なのだ。


「ええ、では簡単に・・・異界を結界で囲っても悪影響が出るので、異界自体を消去する必要があるんです。

よって異界ごと、その地域を消失させます。以上です。」


「まて!手短過ぎだ!誤解を解け!誤解を!」


カザト少年は、やれやれといった様子ではぁとため息をつく。


・・こいつ、実はものすごく性格が悪いんじゃないだろうか。


「一口に消滅させるといっても、おそらく、ミユさんの想像しているものとは違います。

異界は所詮は、、魔法による世界法則のゆがみでしかないので、地図から町そのものを消す必要はない。


ただ混在する世界法則から、魔法的法則だけを消滅させればいい、この場合、町ごと意味を消失させるんです。」


「意味????」


みぃちゃんは目を白黒させる。


当然だろう、僕だって初めて聞かされた時には意味が分からなかった。


「意味を消す・・・・この場合、簡単にいえば、そうですねその空間を観察できなくする」


「意味をしり観察することによって事象は初めて存在できる。そう言いたいんですか?

それ、矛盾してません?

事象は存在し観察することによって意味を理解できるんです。


観察者が。意味を知らずに観察できようとできずとも事象は存在するんです」


「いえ、観察できる人間がいなければ事象なんてありません。


あなたの言った理屈はあくまで科学的な理屈です。


魔法的にいえば、現象というのは観測者がいて初めて存在できる。


意味をもって、影響を及ぼせるんです。


例えばです、 科学的には幽霊というものはいません。


客観的に存在を証明することができませんし、存在しないことを証明できるから、


0を1にできない理由で、科学者は存在しないと言い切る。


魔法的には幽霊というものは観測者がいる限り、存在します。


観測者が主観的にいると感じ、つまり観測すれば、


それは事象として意味をもって、観測者に影響を与え、恐怖させることができるんです。


その時存在すると言い切れる。」


「つまり、実際にはいてもいなくても、観測者がいると思いこめば、居ることと同じだと、そういうんですね。」


そう、根本的に、存在の定義すら、魔法と科学では大きく違うのだ。


だが、観測者に認識させることにより事象を起こすことが、魔法の根本原理だというなら、


・・・なんだ、大したことはない、何が神の秘法だということになる。


だって、それって催眠術師や宗教家がやってることと一緒だろ?


どうやら、みぃちゃんもそう考えたらしい。


「そういう法則が、魔法というのなら、魔法使いって催眠術師のことなんですか?」


「いえ、大きく違います。

催眠術師が効果を及ぼせるのは、所詮観察者が生命体だけに限局し、

また、観察者の想像する範疇を超えることはありません。

つまり、それは観察者が夢を見ているにすぎない、

それを世界法則というなどとてもとても・・・。」


「じゃぁ、どの様にちがうんですか?」


「観察者は、生命体だけでなく無機物、

いえいえ、

空間、

時間、

運命においてまで、

科学と同じくすべてに有効なんです。

しかも、それは、観察者のみならず、術者の範疇も超えてしまう。

・・・これも、科学と同じくね。

話は戻りますが、だからこそ、町ごと消すんです、

対象地区一帯の、

時間も空間も、

無機物も、

生命体も、

もちろん人も、

有象無象の意味を消すんです。

でなければ、異界を消滅できない。

だが、同時に、それだけのこと。

安心してください、あなたの町は、科学的には消えたりなんかしません。

あなたの大切な人もね。」




「でも、観察できないんでしょう?」


「そうですね、というより、理解できなくなります・・・概念的に。」


「それじゃぁ、やっぱり消えたことと同じじゃないですか!!」


「いえ、観察できないのは、あくまで魔法的世界法則の名残があるからです。

異界として機能しなくなった後、あなたたち科学の理屈が徐々にその空間の中で再生し、科学的な形で、あなたたちは町を観察し意味を得ることができるようになります。

あなたが初めに言ったように、存在する事象を観察し意味を得るといった、

科学的世界法則が通用するようになってくるんですよ」


つまり、最終的には元通りになれるのだ。


まぁ、実際元通りになるまで観察者が意味を得るのに何年かかるか分からないけどね。


「わからない・・・」


弓端さんは、そう呟いた。理屈として分かっていても、納得がいかないのだろうか。


「なんで、こんなことを私に教えようとしたんですか?あなた。」


ああ、なるほどそう来たか。それはもちろん・・・。


「ルール説明だよ。」

神と魔法使いと異界の関係 ―小説

僕としては、みぃちゃんには、この世の事実を知っていてほしい。


それは当事者である彼女の当然の権利であるし、なにより、めんどくさいからだ。


だから、神様(カザト)から教えてもらうのが一番だと思ったのだ。



世の中に摩訶不思議なことは多い。



冗談ではなく、本当に多いのだ。


今回のことだって世の中にありふれている、


ありふれすぎている猟奇殺人よりありふれているのだ。

でも皆知らない。

こう言われたらおかしな話だと思うだろ?

そもそも、魔法などという摩訶不思議なものが、この世に存在しているのなら、

                            どうやったって、隠し通せるものではない。


人間は、異常に敏感で且、常にそれを求め続けているのだから。

皆知ってるはずなのだ。



ちょっと悪いが、「魔法と魔法使いと神」というものを先に論じよう。付き合ってほしい、愚痴なのだから。



魔法は、けして知られてはいけないものなのだ。

魔法は、あくまで神の秘法、

『人間が扱って良いものではない』から、

なにより、『人の世に災いを招く』から、絶対に知られてはいけない。

それゆえ、神は常に監視している。

僕らの隅から隅まで監視している。


けして、人が魔法と呼ばれる知恵の実を口にしないように・・・・


だから、本来、僕らは神のてにより、普段はそれを知らされないように操作されている。


だが、残念なことに一部の人間が、それを手に入れてしまったのだ。


そういった人間を僕らは『魔法使い』と呼ぶ。


魔法使いは、手に入れたその力で、『何か』をする

と、現在同時に存在している科学と呼ばれる世界法則に、矛盾した結果を残す。


それが、世界にとっては負担となるのだ。


現在、科学という世界法則によってこの世界が安定しているというのに、相反する世界法則が、安定した世界を侵食する。

そして、それが度を超すと、科学と魔法が混在する世界が出来上がってしまうのだ。

科学と魔法が混在した世界は、異界となる。

世界を蝕む癌となる。

世界にも、人体と同じく、ホメオスタシス・・・恒常性を維持しようという機能があるため、

異界となった部位を結界によって隔離し、それ以上の異界の侵食を阻もうとするのだが・・・・。

第一章自己消失 1-5 消失 ―小説

「すいません、ウーロン茶でいいですか?先輩」


「かまわなくてもいいよ」


「お連れの方は?」


「う、ウーロン茶お願いします。」



カザトは、手早くウーロン茶をグラスに入れると、目の前のちゃぶ台に置く。

と、いうか先ほどからみぃちゃんの様子が変だ

(断られたが、ココロノナカでは当然の如く使用する。)、

やれやれ、

たいていの女の人はカザトの毒に当てられるが、

みぃちゃんもその例外ではないか・・・ま、相変わらず無表情だが。
罪なやつだ、時峰(ときみね)風都(かざと)。
まぁ、問題は、この少年、これでまったく女性に興味が無いのだ。

もちろん男性がすきというわけではない。

なぜなら、こいつ、見た目こそ、身長176センチの好青年だが、

実年齢・・・。


「そういえば、ぼく、昨日の誕生日でついに五歳になったんですよ。

『大虐殺』から五年にして、生誕五周年です。」

4・・・

いや、5歳になったらしい。


あいかわらず・・・ふけてるよなぁ。


体は大人、心は子供・・・なんだか駄目な人のキャッチフレーズだ。

「で?先輩。お連れの方を紹介してはもらえないんですか?」


「ああ、わりぃ、こちら弓端さん。今回のクライアント。

             それでな、カザト、ここ最近、調律のほうはどうだ?」


「ええ、いい感じですよ。

この街に関してはほとんど問題は無いですね。

僕も、大分と力の扱いに慣れてきましたし。」

「じゃ、C町のほうは?」

「あそこは、別ですね。

     最近妙にぐらついてきて、もうそろそろ結界ができて異界になるかもしれません。」

「魔法使い?」

「ここまで、世界法則をどうこうとなればそうかもしれませんね。

         そろそろ、僕もあのあたり一体を消去しようか考えていたところです。」


ふむ、消去か、それは急がないといけないな。


とにかく、どうやら、本当に魔法使いの線が強いみたいだな・・、確認したいことは終わった。


さてと・・・。


カザトの言葉を聴いて、弓端さんは目を見開いた。


「しょ、消去・・って?」

「先輩・・この人」

「ああ、ぱんぴ(一般ピープルの略)だよ。」

「消去ってどういうことです?町を消すってことですか?

本気でそんなことができるとでも?いえ、そんなことをしてもいいと?」


弓端さんは、一気にまくし立てる。

確かに、ひどいことを言っている。科学的にはだけだけど。

「困ったな、先輩。誤解、発生してますよ?」

「うんにゃ、これはこれで予定通り。説明してやれ。カザト少年」

「先輩・・・・自分で説明するのがめんどくさくなってここにきましたね。」


ああ、まさか、こっちから切り出すまでもなく弓端さんから聞いてくるとは思わなかったけど。

「僕がするより適任だろうさ。ほら、僕が説明すると、途中で単なる愚痴になるだろ?」