自己消失 1-19 後日談ーシトイウケツマツー
その後の話を少ししようと思う。
くるみ割り人形は精神死し、要望通り死んだ。
一つ勘違いしていたことは、奴は『個』消していたのではない、奪っていたのだ。
奪われたものは元に戻る。
あいつの死と同時に、肉体的に損傷のなかった被害者は無事元に戻ることができた。
古矢さんも生き返った。
弓端さんのお父さんも生き返った。
当然のことながら、弓端さん自身も『元の自分に戻れたのである』。
事件から、二日たった今日、僕は一人の女性を待っていた。
Aliceには消して言えないが、これはデートだ。
間違い無い、デートだッ!
僕は、京都駅の大階段、建物にして三階分ほど上がったそこから入れる喫茶店で、
ひたすらパフェを待ち続けていた。
パフェはパーフェクトが由来らしい。完璧なお菓子と言う意味だ。まさしく、そのお祭り騒ぎなスウィーツのスーパーロボット大戦は、パーフェクトと呼ばれるに相応しい。洋菓子最高峰だろう。昔の人間は格も偉大と思い知らされるわけである。
「あの、すみません。」
しかし、どうせならこの概念を、和菓子に持って来ることはできないだろうか、あんみつの上に、かき氷と、じょうよう饅頭、せんべい・・・やめよう、カオスすぎる。西洋思想と東洋思想の壁の高さを如実に感じてしまった。
「ね、ねぇって」
しかし、それでも、甘さという点において、和菓子がコラボレーションできないはずがない。
決してない。
そう、必ずできるはずだ。
和菓子版パフェ、よし、さっそく家に帰って。
「ちょっと!そこのあなたッ!」
と、その呼びかけで初めて気づいた。
「・・なんちゃって」
そこには、洋装姿の女性がはにかみながら立っていた。
「二日ぶりですね。」
「そうですね。」
待っていました、パフェの10倍くらいに楽しみに待ってましたよ。
本当ですよ?弓端さん。
全快の弓端さんは、ころころと、声色に負けないくらい表情豊かな人だった。
そして、何より明るく、眩しいくらいに綺麗だ。
「それで、古矢さんはどうです?」
弓端さんは首を横に振った。
古矢さん、今回の事件の共犯者、古矢さんはまだ目を覚ましていなかった。
たぶん、あいつの言っていたことは本当だったのだろう。
古矢さんは空っぽだったのだ。
中身を与えていた人形が死滅することで、古矢さんは空っぽのままになってしまった。
「でも、古矢が操られていたとしても、古矢は今まで私たちによくしてくれていました。
古矢は、今でも大切な家族です。
いつか、目を覚ますまで、私達で面倒を見ていこうと思います。」
そういった弓端さんは愛おしそうな目をして、くるくると、ティーカップの中の紅茶に流れを作っていた。
ああ、弓端さん、やっぱりあなたは本当の美人でした。
例え、それが僕の身勝手な憧れが潰えた瞬間だとしても、
きっと、あなたの愛ほど綺麗なものは他にないのだから。
僕と弓端さんは、いろいろと話をした。楽しい会話をこれでもかと言うくらい。
弓端さんは、よく笑った。
明るく、元気よく笑っていた。
それだけで、僕は、この事件を引き受けてよかったと思った。
「さて、そろそろAliceに感づかれるので。」
「そうですか・・・ありがとうございました、本当に、なんてお礼を言っていいかわかりません。
本当にあなたでよかった。」
そう言って、彼女は微笑んだ。
「僕も、本当によかった。あなたと出会えて、こんなに萌えたのは久しぶりです。」
「萌え?ですか」
あらら、弓端さんには上級過ぎたか・・・・。
僕は、席を立ってこれ以上かっこ悪い所を見せないようにさっさと退散しようとする。
「あの・・最後にお名前教えてもらいませんか?」
「じゃあ、友愛と、出会いと、感動の印に・・」
「僕の名前は『深戒(ふかかい)櫃代(ひつよ)』。はじめまして、弓端御世さん。」
◆ ◆ ◆
もう、今後の事件顛末に気づいただろう?
そう、
この事件は、もう少しだけ続く。
それは、事件より一週間後の朝の話。
新聞紙を開いた。
―弓端さんは、殺されたのだ。
自己消失 1-18 蒼の殺人者
人形は、動く。ゆっくりと動く。
床からぐっと何かが出てくる、黒い溜まりのよう・・・。
それは顔を出し口を開いた。
「古矢さん・・」
その黒い溜まりから出てきた顔は古矢さんだ。
その口の中に、人形は落ちる。
すると、黒い溜まりはぐっと盛り上がり、人型へと変わる。
古矢さんだった顔はみるみる、くるみ割り人形の顔へとなった。
木製の顔に、大きな黒い二つの双眸と、引き裂かれた口。
「気づいているかね。私が動けるということは、つまりここはすでに異界になったのだよ。
古矢を殺した瞬間、もう君の知る世界のルールから逸脱してしまった。
もう、君は私に逆らえない。
それとも何かね?『戦闘能力』を一切持たないと豪語する君が、この場で何かできるのかね?」
ああ、できる。
それも簡単に・・・・。
「お前を殺せる。」
その言葉に、人形は笑う、笑う、笑う、笑う、笑う。
笑えばいい。
「そんなに、可笑しいか?『木偶』」
ピタっと笑いが止まった。笑いは止まりその瞳が大きく開く。
あんまり、怒るなよ。ちっせぇ器だ木偶野郎。
「私は、『人間』だッ!」
木偶の背中から、無数の人形の手が伸びる。
アレニ、フレテハナラナイ。
直観が告げる。
ぼくは、まるっきり、情けなく急いで、廊下へ避難する。
無数の手は、弓端さんの部屋の扉を破壊し、それでも、人形の手の勢いは止まらない。
「私は、もはや『木偶』ではないッ!」
おうおう、逆鱗に触れたのか?
無茶苦茶こだわってやがる。
ぼくは、廊下を全速力で駆ける。
そこに、次々と人形の手が、腕が伸びて僕を襲う。
きっと、あれ一つにでも当たれば、その時点で、『個』を奪われる。
殺されてしまう。
僕は、それをかっこ良く・・・は嘘だ。
まるっきり、一般人が化け物から逃げるのと同様、かっこいい所など一片もない、つんのめり、転がり、立ち直して、必死に逃げる。逃げて、逃げて、逃げる。
「魔法も使えない!
武器ももたない!
戦闘能力ももたない!
お前が、私を殺すッ!?
いいだろう!殺してみろ!」
ぼくは、縁側へ出て、すぐに、庭へと飛び出す。
僕はそこですっ転んだ。
ああ、くっそ、足捻った。
いてぇな。
「終わりだ!さぁ、殺してみろッ!」
木偶は、縁側から見下ろすようにして、僕を見ていた。
どうやら、鬼ごっこにも限界が来たようだ。
「さぁ、死ねッ!」
―止まれ―
「『憂鬱多弁』(ブルーブルー)ッ!―な!?」
動かなかった。人形の手はピクリとも動かない。
僕を、襲わない。
僕を、襲えない。
「私は、今何と言った?」
声がふるえているぞ?何を怯えている木偶。
お前は、人間より優位な存在なんだろう?
お前は、人間を簡単に殺せるのだろう?
お前は、魔法使いなのだろう?
何を恐れる?
「わかってるだろ?教えられずともわかるはずだ。」
何を怯える?
僕は、ただの人間なんだろう?
僕は、価値がない醜い存在なのだろう?
僕は、戦闘力を一切持たない、簡単に殺せる存在なのだろう?
何を躊躇する?
「今・・私は・・・『憂鬱多弁』(ブルーブルー)・・と」
何に死を感じる?
それとも、気づいたか?
自分の矮小さに。
自分の半端さに。
自分の犯した罪に。
自分が、一体『何と』相対しているのか。
「馬鹿な・・・『死戯』だと?
『殺人鬼』だと?よりにもよって、『憂鬱多弁』だと?
殺人鬼が、私と同じ『殺人鬼』が、なんでこんな処でッ!」
―お前と同じにするな―
「お前みたいな半端なやつと、たった100人程度殺しただけの、
人殺しとしては『ひよっこ』のお前が、『死戯』と同列等と思うな。木偶野郎。」
「本物か?」
そんなこと、答えずともわかるだろう?
ぼくは、僕自体が噂なのだ。
僕そのものが都市伝説なのだ。
僕の存在全てがお前より破格の殺人鬼なのだ。
「『大虐殺』の元凶、最も人を殺した殺人鬼。
地球人口を劇的に減少させた人殺し。
『害悪危険(エビルレッド)』に次ぐ最悪の存在。ダブルカラー。『言葉で殺す人殺し』」
だから、どうした、三下、格下、低能殺人鬼。
「だから、どうしたっ!」
木偶は、背中から新しい手を生えさえ、襲おうとしたが、不可能だった。
僕にちかづいた瞬間その手は止まってしまう。
「お前、まさかまだ気づいてないのか?」
「なんだと?」
「お前は、初めから僕に逆らうことなんてできない。
お前、さっきまで事件のことべらべらと、まるでマンガのようにネタ明かししていただろう?
お前、その時気付かなかったのか?
―何でこんなこと話す必要があるんだ・・と」
木偶には、理解ができない。
理解の範疇ではない。
「僕が、『答えろ』といったからだ。
そして、今、お前は、僕に『止まれ』と言われて動けない。
お前は僕に逆らえない。
木偶。この、木偶。
魔法ごときが使えるだけで何を調子に乗ってしまったのかは知らないが、
楽しかったか?
これはな、『言霊』だよ、・・単なる言葉だ。」
僕は、言葉を紡ぐ。言葉を紡いで命を吹き込む。
「原初の人間、アダムとイブは知恵の実を喰い楽園から追い出された。
その時、授かった知恵とは、まさしく『科学』、科学と言う世界法則。
お前が使う魔法も、数多く実った知恵の実の一つでしかない。
神は、実を食すことを禁じていたが、代わりに神は人に力を与えていた。
それが、知恵の実の構成要素、知識の源泉、その実を食さずとも良いように神が与えた信頼そのもの。
それが結果として、蛇にそそのかされる原因となる。
それは、言葉だよ。
言葉こそ唯一人間が、神から許可を得て手に入れた最高にして至高の力。
人間を失楽園へと追いやった力。
僕は、それを人より強く使える。」
説明はこのくらいでいいだろう。
「なぁ、やっぱりわからないな。
お前、彼女を愛すると言いながら、彼女が積み重ねてきたものを否定すれば、
それがたとえ一部でも、弓端さんを否定することになる。そうだろ?」
木偶は、答えない。
「お前、要は別に弓端さんを愛してなんかいないんだろう。
お前のやったことは単なる僻みによる復讐だ。
矮小だな木偶人形。
お前は、愚かにも、弓端さんを人形にすることで、自分を否定したかっただけだ。
人形である自分が許せなかったお前は、弓端さんを人形扱いすることで人間を演じたかっただけなんだ。」
「違うッ!」
―嘘だッ!―
お前の嘘は認めない。
「お前は、自分が人形であることを自覚していたんだ。
可哀そうだな木偶人形。
お前は所詮木偶人形だ。
せいぜいなれても呪いの人形だ。
可哀そうに、可哀そうに、お前は、どうやっても人間にはなれない。
その身の器の大きさをはき違え、届かない夢を幻想したんだな。
お前は木偶だ!
やはり木偶だ!
愛さえどんなものかさえ知らずに勘違いした、ただの木偶だ!」
「違うっ!私は人間だ!人間なんだ!私は・・」
「ばぁか・・・・お前が人間であるはずないだろ、鏡でも見て現実を知れ・・・」
僕は、もうお前に興味がない。
「さぁ、約束通り、ご要望通りの時間だ。
お前を殺そう。
人形はおびえる、ピクリとも動かない、己の体。
思考さえも束縛される言葉に。
―自壊しろッ!―
自己消失 私はあなたのすべてでありたい
「望みとあらばそうしよう。」
低い、低い声。
ぴりぴりと肌に響くような、それは人ならぬ声。
机の上から、コトリ、コトリとくるみが落ちる。
机の上で動いたそれは、不自然に立ち上がった。
くるみ割り人形。
「物には魂が宿る。特に人形には人の念がつきやすい。
くるみ割り人形というのは意外だが、お前みたいなやつがいてもおかしくはない。」
「人形という言葉は気に入らんな。
たしかに、私はヒトガタとして生まれた身。
だが、今の私はより高次な存在だ。
魂を得、意思を得、魔法さえ使える。
もはや、私は人形ではない。
人だよ。
愛さえある。
ああ、だがしかし、お前たちの言葉で私をツクモ神と呼ぶなら私は神だな。
それはそれで正しい。
私はお前たちを簡単に殺せる。
いつでも殺せる。優位に殺せる。私は人より遙かに優秀だ。」
「わからないな・・・」
「何がかね?」
「お前の使う唯一の魔法は、『人の個を完全に奪うこと』だ、だが、弓端さんには、その魔法を使わなかった。
代わりに、その『副作用』を使ってじわじわ殺した。
お前は、弓端さんに関わった人々を片っ端からその魔法で殺すことで、
その人達の中に存在する弓端さんの『個』一つずつ、そうそれこそ片っ端から殺していったんだ。
だから、弓端さんは、徐々に空っぽになっていった。」
同時に、弓端さんの中の殺害された人の『個』も死んだ、
だから、弓端さんには被害者は、知り合いという認識、いや、それより浅い認識になっっていた。
「僕と出会った時は、弓端さんは、もうほとんど死んでいたんだ。
人に声をどうやって掛けていたわからなくなるほどに。
お父さんを、単なる知り合い程度にしか感じられなくなるくらいに。
僕と出会ったことで少しは回復したし、
カザトや、商店街の人たちのお陰で会話が成立するまでにはなった・・・。
だから、商店街の人間を殺したんだろ?
今までと同じように、今は井戸に詰まっている『古矢さん以外の使用人達』や、
今は病院にいる『弓端さんのお父さん』と同じように。
古矢さんは、お前に操られていたんだ。
異界にもなっていない状況で、お前が移動するには古矢さんにを操って移動する他ない。」
くるみ割り人形は答える。
「いやいや、操ったなどとは人聞きの悪い。
古矢とは共犯だ。
いや、違うな、古矢は私なんだよ。
あいつは元から空っぽだ。
あいつに中身を与えたのは全部私だからな。
そういう意味では、古矢は私の人形だ。」
人形に、人形扱いされていたのか、古矢さん。
あんた、意外とかわいそうな人だったんだな。
「商店街の全員を殺すために、この要塞のような屋敷・・
いや、監獄のような鉄壁の守りをもつ屋敷から出るのも、古矢さんがいれば楽だろうな。
お前は、ただ蔵の最上階の窓から外壁の向こうまで投げてもらうだけでいい。
お前の体重は野球ボールよりも軽いのだから簡単だろう。
出来るだけ通行人がいる時をみはからって投げてもらうことで、通りがかった人を捕まえ、操る。
操った人間をつかいあとは商店街の人間ごと殺すだけ・・・実に簡単だよな。」
今、思えば、僕が見た蔵の最上階の明かりは、
ちょうど古矢さんがこいつを外壁の向こうに投げていたからだろう。
「戻り方はいくらでもある、古矢さんが外に出る機会さえあればね。
まぁこの場合。その機会を与えてしまったのは僕だけどな。」
柄原を捕まえた時、古矢さんに、隠れて相手の出方を伺う役は、こいつに有利に働いていた。
こっちも、捕り物中の古矢さんの様子はこちらからも把握できない。
「この事件で起こったことの大体のあらすじはこんな所だ。
で、あらためて見てやはり判らない。
何の躊躇いもなく古矢さん、弓端さんのお父さん、使用人達や商店街の人間を殺せるお前が、
弓端さんだけは違った。
なんで、弓端さんだけこんなめんどくさい方法で殺そうとするんだ。
お前の魔法を弓端さんに直接かければ、簡単に弓端さんを殺すことができる。
こんなに苦しめて・・・そこまで彼女を恨む理由があるのか?」
そういった僕の言葉に何がおかしいのか?
奴は笑う。
最初はこらえるようだったが、ついには耐えられなくなったのか大きな声で笑う。
やがて満足したように頷いた。
「ふふ、恨み・・
恨みか、
・・程遠いな。
わからないか?
言っただろう?『
愛さえある』と。
これは愛だよ。愛。
お前たち人間が好んで使う言葉だ。
尊いと思っている心だ。
これは愛だよ。
だいたい、なんだ?
さっきから彼女を殺す殺すと・・誰がそんなこと言った?
私にそんな気は毛頭ない。手紙にもただ『迎えに行く』と書いただけだ。」
そういって、笑う。
なにが、愉快なんだ?こいつ、何が面白いんだ?
それに、愛?誰を?誰が?
これのどこがだ?
「ああ、そうだ。彼女を愛しているのだよ。
私は弓端御世を愛しているのだ。
そう・・心から。」
「言ってる意味が分からない」
「いいや、君たちだって理解できるはずだ。
君たちがもっているものさ。
愛は、仏も禁ずる最も強固な執着だ。
彼女の独占したいのだよ。
愛しているからね。
そう、私は彼女の全てでありたい。
そんな彼女が、・・彼女と言う『個』が、醜い他人の手によって構成されているなど耐えられないッ!
私はね、彼女の心を私だけにしたいのだよ。
文字通り私が彼女の全てになりたいんだッ!」
自嘲気味に語る。
人形は語る。
まるで、人間であるかのように語る。
「・・究極だ。最高の愛の形だ。
だが、そのためには、まず、彼女に今迄の醜いクソどもと作り上げた『個』を捨ててもらわなくては・・・。
しかし、私の魔法では、彼女が、彼女自身で育んだ『個』、
つまり自己を自己で比較し育んだ彼女の核さえ消してしまう。
そんな事をすれば美しい彼女が自分の形さえ忘れて、醜く溶けてしまう。
そんな凌辱を彼女に与えてはいけない。そんな汚し方はできない。
だから、時間はかかったがこうする他なかったのだよ。
だから、殺すほかなかった。
だが、殺された彼らとて、きっと満足だ。
彼らは愛のために死んだのだからね。
尊いのだろう?
君たちにとって、最高に!これは、最高の愛だ!」
人形は叫ぶ。
愛を叫ぶ。
愛に吼える。
「そのためならば、何人だって殺そう!
何百年、時をかけようと殺そう!
彼女に関わる醜き存在を私の愛で浄化しようッ!
全てだ!
片っ端から!1人たりとも!逃さずに!
彼女と深く関わったのならば尚更だッ!」
そうか、それが理由か。
とんだ、・・・とんだ妄言だ。
ただの独りよがりだ。
このオナニー野郎。
まったく結界と同じで半端な野郎だ。
僕は自分の心臓を親指で指さした。
「まだ、一人残ってるぞ」
ぼくは告げる。それは、合図だ。
さあ、殺ろう。
「安心したまえ、君も当然浄化してやる。」
これは殺しあいの合図だ。

