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自己消失 真相編 1-21 事件二日後 ―小説




Cross― side Judas



「まぁ、それは何とか理解したつもりだけどよぉ。

この場合、何で俺がこんなところに隠れてシンカイのだんなを覗いてなきゃいけねぇの?

おかしくね?」


「だって、ユダ君は私に用があるんでしょ?」


ああ、もうわけわかんねぇよ。


まぁ、そもそも、この人の本質が『完璧』と言うのなら、

欠点だらけの俺としちゃ理解できるほうがおかしいというものだ。


「なぁ、Alice。そんなに気になるんだったら、いっそ俺が殺してやッけど?

罪罰ユダは、欠陥殺人鬼にして裏切り殺人の第一人者だぜ?

Aliceが、気に病むってんなら、勝手に殺すけど、いいだろ?

おれのタイプなんだよ。あのねえちゃん」


「あら、ユダ君て、瑠璃ちゃん一筋じゃなかったっけ?」


「・・・・」


それを言われると・・・・つらい。


まぁ、おれは貞操観念なんて欠片としてねぇし、

今だってAliceにそそられている。

Aliceが本当に無力な普通の女子高生っていうなら、

この場でさんざん犯して、殺して、散らかしてるに違いない。


だが、それは絶対に無理だ。

1つはAliceの言ったとおり俺は、瑠璃が一番だし、それだけは変えられない。

そんな本気で殺すところまでは楽しめない。

2つ目のほうが大きくて、Aliceは俺の尊敬するシンカイのだんなの女?

―まぁ、本人は否定してっから、本当の所は知らないが―である。

正直、あの人の逆鱗に触れることだけは止めておきたい。


「ところでさ、ユダ君は、なんでひぃちゃんの事そんなに尊敬してるの?」


あん?なんでって・・・。まぁ・・。


「ありゃ古風な武士みたいでカッコいいっしょ」


と、その瞬間Aliceは、コーヒーカップを落としそうになった。

なんとか、こぼすことなく、持ち直すと、

茫然として、いや唖然としてこっちを見てきた。


「ほら、シンカイのだんなって無口って言うか、必要以上の事は極力話さないし、

こうおしゃべりなのは好かんって感じじゃん?

しかも、常にポーカーフェイスつうか、難しい顔してなんか考えこんでんし、

でも、だからって気取った感じじゃねぇんだよな。

あれこそ日本男児?男って感じじゃねぇ?」


Aliceのコーヒーカップがカタカタと先ほどから微細振動しながら

下皿と超高速衝突を繰り返して、肩も、わなわなとふるえる。


なんだ?

これ地雷だったか?



「まぁ、単純に外見的にもカッコいいじゃん、あの人。

あのパンク系?

ビジュアル系?

多分そっち系の人から見ればどっちからも違うって言うんだろうけど、

そんな服装もごくごくにあってっし。

あーゆーのは、流行りに着いていかなくてもいつでもお洒落に見えると思うんだよ。

結構勉強になんぜ?」


ついに、Aliceは完全に俯いちまった、震えている、

電気シェーバーよろしく振動してる。


「あ、んで、だな。

やっぱあの人って無趣味なとこあんじゃん。

そのスタンスが何より最高だな。

こう、ちゃらちゃらすんな的な。

俺にはあんなカッコいい生き方できねぇよ。

漢だね。マジ。」


Aliceの様子がおかしい。


「おい、大丈夫か?」


「あ、あは、むくぅ、ごめ・・・だめ・・もうげんか・・い」


なんか、ちょっとエロイね。


と、まったく見当はずれの感想を抱いていた、その瞬間、爆発。


「あは、はははは!

んふ、そう、そう見えるんだ!

そう見えちゃうんだっ!

うふふふふっ!

うん、うん確かに、そうだね。

間違い無い。

間違い無いね。

感覚的情報と表層的なものからしか、みんな情報を習得できないもんね。

あは、んふふ、もう、不完全最高ぉ、ぷっ」

はぁ、つまり?

「んん、ふふ、こほん」
と、Aliceは咳払いを一つして笑いを抑えると、その後を続ける。


「うん、例えばね。あんなにむつかしい顔してるけど、実際は違うかもしれないってこと。

例えば、今だったら。


『おお、洋装姿の弓端さん、胸元強調ですね?

強調ですか?

僕は、今劇的最強に萌えですよ。

てか、さっきから胸ばっか見ててパフェのアイスクリーム溶けかけてきたよ。

まぁ、アイスクリームって言うのはもともと、スプーンが通るほどの硬さが、

アイスクリーム足る基準だから、

これが本来の正しい形なのかもしれないな。

しかし、付け合わせに何でこの店バナナを乗せないんだ?

だめだろ!

バナナは戦後間もない日本の一般家庭の甘味事情を唯一救った英雄だぞ!

パーフェクトたるパフェの中に入れないのは、バナナ様に失礼だろうがっ!

東南アジアのプランテーションで働く皆様の努力をなめんじゃねぇぞ!

思った以上に薄給なんだからな!

まぁ、物価が違うけど・・・そんな問題じゃねぇよ!

ああ、ところで今夜の深夜アニメなんだっけ?』」


「・・・・」


「・・・・」


奇妙な沈黙が流れた。


二人揃って、実際にシンカイの旦那がそう言っているのを想像してみたのだ。

「ねぇよ」
「ない・・・」


・・・・キャラ破壊にも程があんだろ。


「まぁ、とにかくAlice、ひとつ教えてほしいことがあんだけど」


その妙に冷めた空気でようやく俺は本題を切り出せた。



日記 ぼくのラッキーって・・・

はじめて『ぽちくま』たる存在を知り、押してみました。(アメゴールドがたまるという)


むむむ、プレゼント箱が落ちてきた。


う~N、はずれ~


うい?このフラッシュまだ続いてる。


ふむふむ


残念でした。―まぁ、くまくんが泣いておられる。

同情ありがたや。なんという感性。


おお、ラッキーワード


・・・


健康食品   うん

健康グッズ  うん

ゲーム    うん

ダイエット  むしろ筋肉の一部を脂肪に変えたいくらい、

        ごてごてのマッチョではないけど筋肉質は胸郭も広くて大変

        どうしても、ライダースか山系のモントリとか、ストリート系の服のほうが似合ってしまう

        まぁ、マッチョマンというほどでもないから、まだ服には幅があるか。

ギャンブル うんしない

スキンケア かかしてない

エステ  そう言えば東京では男のエステもありだそうだな~

資格  うん

サプリメント  さ・・まぁ

資産運用   しさ・・・・

外貨運用   が!?なんですと!

家を買う   大きく出たな!

家を借りる  家縛りッ!

キャッシング  わが国庫がッ!

インターネット活用術   すげぇな!なんでこんなにマニアックなラッキーワードが出てくるんだ!?

                もはや予言だぜッ!

つか、僕のラッキーってなんなんすか!?


後半いやにアダルティだな!おい!すげぇ!奥が深ぇ!


は・・・しかし、僕の年ならば、まだぎりぎり可能な選択肢だが


これを、若い世代が行うとなると・・・・・



いや、馬鹿な妄想はやめよう。

日本の未来がほんのちょっと言えてしまったような気がしたけど気のせいさ。


日経読みながら資産運用に頭を悩ます小学生―いや、未来が明るいじゃないか。


いねぇよッ!

日記 はたしてやつは勝者か!?

時はさかのぼり、

あれはそう・・・・昨日のことだった。


Wiiのスーパーマリオギャラクシーというゲームが存在することを知っているだろうか?

スーパーマリオ64から続く、あの3Dマリオ最新作のことである。


それを友人の家でやったわけだが

この友人・・・凝り性・・・


いや、凝り性であることはよいことだ。

こだわりのある人間は総じてその分野で勝利者となる。

それは、ほとんどの場合において間違いがない。


一言、言っておく。おれはこの友人をそこそこ尊敬している!


まぁ、御託はよいだろう・・・・そんなものは必要ない。


兎にも角にも


Wiiのスーパーマリオギャラクシーの蜂さんが沢山いるステージ(最初のほう)にて


そのステージにシャドウコメットが飛来したわけだ。

(シャドウコメットが飛来すると、そのターンのステージは強制的にシャドウマリオというキャラクターと競争するはめになる)


シャドウコメットのレースで勝つにはミスさえしなければ通常ルートでも十分勝てるのだが


だが、やつは違った・・・・


ぶっちぎって勝つ!

おれの眼前はおろか、カメラの中にさえ入ることを許さぬ完全な独走を目指す!

まぁ、実はそれも正規ルートだってちゃんと幅跳びジャンプと、最短距離を通れば問題ない。


さて、マリオは当時15機いた。


問題ない。まず、普通にこの星は、ゲットできるだろう。


そんな面持ちで俺は観察していた・・・なおかつ、できればパーティーゲームやらね?おれ、それもう春休みにクリアしたし・・・と思って観察していた。


シャドウマリオ(なんか、マリオ状の影の物体で、真っ黒黒助みたいなキモイ物体がちょっと体から出てる)

との決戦!


今、常軌を逸した勢いで始めようとする友人がいた。



2、


1、


スタートッ!!!!


はじまる―手を横にバタバタさせながら普通に走らないシャドウマリオがスタートする!


それを飛び越すように、幅跳びでスタートダッシュを決めるマリオ(友人)!


よし、手前をとった。あとはミスさえしなければ―


マリオの幅跳びは止まらない!奇人のように、あるいは貴人のようにヤフーヤフーYahoo!とハイテンションでぶち抜く!


シャドウマリオと普通のマリオは、互いに険悪な中ながらも同じ道(ルート)をたどっていたはずだった・・


ああ・・こんな別れが来るなんて・・・・


残念なことに、二人の道は分かれたのだ・・・・お互いそれぞれの道を行くんだ・・・

それでもきっとゴールは同じ、また会えるさ・・・・・・て


えぇッ!?


まったく異なる方向に走る、いや跳ぶ友人マリオ


坂の上に登り、噴水のほうにめがけ、幅跳びを繰り返す!


やつには何の迷いもない!


跳ぶ、跳ぶ、跳ぶ、飛ぶッ!


最後の文字変化は強調表現ではない、本当に飛行したのだ!


大空へとダイヴッ!


やつのマリオは、噴水の向こうの柵を越え!大空の向こうへ進んでいった!


ゲームにお詳しくない方のために説明しておくと―割合こういうのはマリオの常識なのだが


基本、空へのダイブによる画面外への追放は、バグであれ何であれ、ミスということで


一匹マリオが死ぬ。


当然のように、陸地に着地することなくそのまま闇に落ちていくマリオ。


さらば、マリオ・・・違えた道の先は、リンボの入り口であったか・・・・


うあああああああああ!-悲痛な叫びとともにマリオは消えた。


う、うむ。


とりあえず、過ぎたことは仕方がない。


何がしたかったの!?友人!?


「ふふ、しらねぇのか?」

マリオをわけのわからん投身自殺に追い込んでおいて何故か得意げな友人。

おいおい、おれを崖からつき落としても、警察の前で同じ語り口するなよ?


「ここから落ちた先に、スターへの近道があるんだ」


そうか、芸能界入りするのかお前・・・なんか、若手のロック歌手みたいなセリフだけど

この場合、スターとはゴールのことである。


ふむ・・・・


なるほど・・・たしかに友人がダイブした位置から幅跳びをすれば届きそうな位置に崖があり、


しかも、そこにはスター(ゴール)がある。


難しそうだが、不可能ではないレベル。


そして・・・・・


昼下がり、その日は雨が降っていた。


窓の外で鳴り響く雷(おれは都合、大阪にはいなかった)


ゴゴゴ・・・・


天は、その怒りを地鳴りにかえ、この日の出来事を許すまじと言葉にせずとも伝えていた。


すなわち


ヤフー!うあああああああああ!

ヤフー!うあああああああああ!

ヤフー!うあああああああああああああああああああああああああああああああ!


マリオの連続投身自殺大会が始まったッ!

なんだ!?ここは地獄の何丁目だ!?

紐なしバンジージャンプか!?

安全対策に考慮せず最低限文化的なレベルで行われる鳥人間コンテストかッ!?


ものすごい勢いで死んでいくマリオ!すべては友人の身勝手な大義のため!

しかし、はっきり言おう!そこには、何の感動もないッ!!


11!10!9!


6!5!4!


2!1!0!


ゲームオーバー


夢のために死んでいくものは多い・・・

夢のなかで生き抜くくことは難しい・・・

されば、これも運命(さだめ)であったか・・・・

15匹のマリオの屍が告げるものは何だったか・・・・

それを程の、遺体を積み重ねて足場を造っても、

まだ手に届かないほどスターとは天上の存在であったか

いや、本物の星は確かに天上に存在するが・・・・・


結果として、友人はマリオを皆殺しにし


こっちを振り向いて一言いった。


「代わりに、お前やって」

えええええええええええ!?

それが一番の驚きだよ!

今の無駄な動きをおれがやるの!?

可哀そ過ぎるだろうがッ!?

(マリオ的に、俺的に)


「大丈夫、お前ならできるって。器用だから」


そんな問題ではない。そして、なんだその妙な信頼は・・・・。


仕方ない。やろう。


・・・・・


結局、もう一度やってみたが、俺にも難しかった。二回ほどマリオをダイブさせ、かわいそうにとマリオに同情しているとき


「俺トイレ行ってくるわ・・・」(友人)


来た!チャンスだ!

今のうちに、通常ルートであっという間に攻略してやる、なに、ばれるものか!


「あ、絶対その方法でお願いな」(友人)


「ああ、大丈夫、やっとくやっとく」


普通にクリアしときますって、マリオをこれ以上殺すのは忍びない。


「ふうううう、すっきりした~」


早いなッ!友人!ちゃんと手をふいたか疑うようなスピードだよ!


おれは、すぐさま方向修正!


空へとダイブさせたっ!


あわてたせいで!空中でくるっと!

(ジャンプ中にヌンチャクコントローラを回すとちょっとだけマリオが上昇します)


・・・・・


 あ・・・


着陸!


マリオは、ようやく、目的の地へたどり着き、スターをぶっちぎりでとったわけだが


「な?俺の言った通りやろ!やったぜ、おれ!」

なぜにお前がそんなに威張っているのかわからない・・・

まぁ、確かにお前に言われてやったことだが・・・・

なんだか納得がいかない。ハイテンションになっている友人。

いいから、手を洗って来いよ友人、その手で握手を求めるなよ?

しかし、この場合、テンションについていけず何もできてないでいるのは僕で

がぜん、ハイテンションで、喜んでいるのはあいつという結果を見れば勝利者はあいつなのだろう。

友人には付き合って五年になる彼女がいるがこのテンションについていくのは至難の技だろうな。

勝利者の凱旋のようにガッツポーズを決める友人。

だが、しかし、

やはり納得いかない。

なんだ、この理不尽な感情は。気にするほどじゃないんだが。

マリオの死体の山

これだけ時間をかけてスター1個

おまけに自分でやっていない。(手段を選ばないという意味では凝り性なのかもしれないが)



はたしてやつは本当に勝利者なんだろうか?



とりあえず、

あるフルコンタクト空手家のレバーブローが

正確に肋軟骨部から衝撃をじかに伝えるという、

いたって大阪の炉辺では常識的な

軽めの突っ込みが入るのは

その数秒後のことなのだが・・・自重しろ


本当は、小突いただけだけどね・・・暴力なんてきらいです。


それにしても面白い友人である。