蒸れないブログ -210ページ目

企画段階で消えていったみぃあ達

第三章 幸福在処  はやく・・・あの場所へ―小説


何故でしょう。


何故でしょう?


なぜでしょう?



足が速く動きます。



体が、先へ先へと求めています。



私は、理由もなく走っていました。



走りながら、その場所のことを考え、いつの間にかそこにいました。






はぁ  はぁ   はぁ





・・・・っ




息が上がってます。





酸素が足りない。




それは霧が目の前に広がっているよう。






すぅ、と体に空気が入って行きます。




それと同時に霧は晴れて行き




そこには、あの公園がありました。

第三章 幸福在処 3-7 サクラとノート ―小説

授業の中、白いノートの、私の文字が書き込まれていきます。

先生の黒板のスピードに合わせて動く手、先先と書き込まれていく情報。

ノートさんは何となく・・・・。



―私に似ている。


ノートのページが下まで埋まっていくと、次のページに、書き込みます。

ふらっと、目の前をほのかに淡くピンクに染まった物が落ちてきました。

それはふわりと、未だ白いままのページの上にとまりました。

私はそれを拾い上げます。



えと、・・



桜の花びら?


冬なのに?


似てるけど違うは花かも・・・・。


わたしは、それをじっと見つめて、ふと、今日の朝の少女を思い出した。


たぶん、年齢で言うなら小学校くらいだ。

たぶん、まだ学校のある時期だし、どうしたのかなぁ?

まだ、一人でいるのかな・・・。

寂しそうだったな・・・。

どうしてだろう。





―「春咲!」



チュチュ



あっ・・・あの子の名前・・・聞いてなかった。




―「おい、春咲!」


チュチュ



ゴツン☆

「はうあっ!」

「久野君!ひどい!本の角はさすがに痛いよ!」
「篠原は、こいつを甘やかしすぎなの!」
「ふへぇえぇ???」


どうやら、夢だったようです。

あれ?どんな夢でしたっけ?


「しらねぇっての」


と、今日もぶっきら棒に、私に言ってくるのは、同じクラスの男の子。
久野隆(くの たかし)君です。

「お前、今何時だと思ってる?」

「ふぁい!1時間目が終わったので、きっと、10時半です!」

「違う!今日の授業はすでにすべて終了した!

今は、12時半!

昼だよ!昼!

ば、か、こ、は、ね!」


「ば、馬鹿ではありません!

いえ!そうですね!小羽は馬鹿ですけど!

そんなの嘘です!

いくらなんでも、私はそこまで寝ぼすけさんじゃありません!

ぶーぶー、久野君がまた私をからかってます!」


久野君はいつもそうです!
小羽をバカバカと言います!
それは確かに、学校の成績はそこまで良い方ではありませんけど、それにしたってひどいです。
ずっと寝てたなんてそんな事、ありえないです。


「小羽ちゃん。それがね、本当なんよ。」

「ええ!しーちゃんまで!?」

そんな~

「そうじゃねぇよ。時計見てみろ!ほら!」

私は黒板の上に取り付けられた黒縁の時計を見ます。


十二時・・・よじゅうご......ふん・・・・・。


空を見上げれば、日は天頂にあり、です。

ついでに、窓の柵に泊まったちぃさん(スズメ)にも確認。
あ、さっきの『チュチュ』は、ちぃさんの声だったんですね。


「えええええええ!」

「平然と鳥と会話するな、お前はネズミ―のお姫様かよ、

つか俺の意見より鳥に信頼性をおくたぁどう言うことだ。」


携帯の時計を見て、さらに確認!


かわらな事実に、もう一度私は驚きの声をあげました。


「小羽ちゃん・・・本当に大丈夫?体の具合・・・悪いんじゃないの?」

「いえ・・・そんなはずは・・・小羽元気ですよ。」

「本当だろうなぁ?

あれだろ?

またどっかにふらふらほっつき歩いてんだろう?遅くまで何やってんだよ。」


「ぶ~ぶ~、私ほっつき歩いてなんかいません!

お仕事です!必要なことです!

それに、夜遅くになる前には毎日帰ってます。」


疑わしそうな眼で久野君がこちらを見ます。
ああ、もう、小羽はそんな悪い子じゃありませんよ。


「とにかく、先生に失礼だかんな。

あんまり、堂々と眠りこむなよ。ほれ、今日のノート」

「あ、ありがとうございます。」


久野君はぶっきらぼうですが、やっぱりどっか優しいです。

すると、しーちゃんが、急に んふふふ と笑いだしました。


「久野く~ん、つんでれ~」

「うるせっ!馬鹿!そんなんじゃねぇよ!誰かが貸してやらんとダメだろうがッ!」


あ、しーちゃんの目つきがいやしい感じになってます。

ああなったしーちゃんは強いです。おそらくクラス最強です。
その前に・・・
ツンデレってなんでしょう?


「久野く~ん」

「ああ、もう、しつけぇしつけぇしつけぇっ、てば!おい、春咲!」  「久野く~ん」
「はい!」  「つんでれ~」
「明日までには返せよ。約束だからな」   「くのく~ん」
「了解です!私は約束を破らないです!はい!」   「つんつんでれでれ~」


「ああ、もう!篠原あああっ!」


さて、学校全域を舞台にした追いかけっこの始まりです。
こうなると、久野君が諦めるまで1時間は続きます。
基本的にしーちゃんは陸上部のエースなので、運動の苦手な久野君が捕まえた事はないんですよね。

それにしても・・・。

私は久野君に借りたノートを開きました。
細かくチェックの入った綺麗で見やすいノート。
そこに、今日もピンク色でテストに出そうな所に丸い印がついています。

今の私には、なんだか春に咲くあの花をイメージさせます。



「本当に・・・どうしたんでしょうか?」



ふわりと、窓から入る風。
今日は、不思議と温かい。
それでも、夢のように花の香りを運ぶことはありませんでした。