第三章 幸福在処 3-14 学校へ行こう!―小説
窓の向こう、朝日が入る。
暖かな日差し、寒い空気、暖かな布団。
「おはようございます。流さん。」
「おはよう、小羽。」
私たちは目覚めました。
今日も空は高く、青く、海の向こうに溶けています。
わたしは、瑠璃ちゃんにお電話します。
今日は、流さんのお家に一緒に行くのでお仕事をお休みしなくちゃですから。
「もしもし、瑠璃社長。」
「あ、ううううん、こはねぇちゃん?おはようぅ。」
今日も、瑠璃ちゃんは朝に弱そうです。
ちょっと待ってね・・・と、しばらくするといつものしっかりした瑠璃ちゃんに戻って行きます。
「はい、おはようございます。小羽ちゃん。お帰りなさい。」
「え?はい、おかえりなさい?」
「今日のお仕事なんだけど・・・」
「あの!そのお仕事の話なんですけど。私にお友達が出来まして―」
「そう、そのお友達の弦候堂流をおうちのまで連れて行ってあげてね。」
「え?あの、なんで、流さんのことを知ってるんですか?」
「ええ、それじゃ、ごめんね。小羽ちゃん今日はちょっと用事があるから。切るね」
ガチャっと、本当に電話は切られてしまいました。
「るり・・・しゃちょう?」
私はしばらく、電話の受話器を置くことができませんでした。
それでは、学校へ行かなきゃです。
「いってきま~す!」
「いってきます」
「いってらっしゃい!小羽ちゃん!流さん!」
「おう、いってっこい。」
・・・・えっと、流さん?
わたしは、流さんが横に立っているのに気づき、そちらを見ると、
流さんは、無垢な笑顔でにっこり微笑んでいます。
「ん?なんだ?小羽」
「わたしは、学校に行くので、流さんの家に行くのはお昼からですよ。」
そういうと、流さんは、ふん、とはなを鳴らして、腰に手を当てます。
「そんな事わかっておるぞ。学業に勤しむとは感心だぞ、小羽。」
「あの、で、どうして流さんもお出かけの準備してるんですか?」
「当然、俺も学校に行くからであろ?」
「ふえええぇえっぇぇ!?」
私の学校て、中学校ですよ!
「それがどうしたの言うのだ?いいではないか中学校、俺、小羽がどんな学校に行ってるか興味があるぞ?」
「え、あのあの、授業中とかお相手できませんけど」
「静かにしておる、」
「で、でもでも、きっと流さんにはつまらないと・・」
「いい子にしておる。」
「えっとぉ、あの」
「だめなのか?」
そ、そんな目で見るのは卑怯です!流さん!
そんなうるんだ瞳で、下から覗きこまれたら、もう反論なんてできないじゃないですか!
その私の真理を察したのか、流さんはそっと近くによって、私のスカートの端をそっとつかみました。
「小羽は俺のことが嫌いか?」
とどめ!はう!
小悪魔です!
ああうううあう
ふぅぅぅぅ。
わかりました。
「いいです、一緒に行きましょう流さん。」
「やった!やったぞ!知恵殿!知恵殿の言う通りだな!」
その言葉を聞いて、珍しく年相応にはしゃぎ回る流さん。
と、言うか―
「え・ええ?お母さん!」
「いいじゃない、流さんは賢い良い子だからきっとご迷惑にはならないわ。」
「そ、それはそうですけど!」
その瞬間ギュッと、手首を引っ張られました。
そこには無垢な笑顔をする流さん。
「恩にきるぞ、小羽。」
あううう、・・・・・完敗です。
そんな訳で、流さんも一緒に学校に行くことになりました。
Stem会議
恒例のStemの話し合いが今日もありました!
小説として、個人で書いている『KuRU/KuRU』や、『愛食家な彼女』とはちがい
Stemで書くものは全員で、個人ではなかなか難しい企画の製作や
情報や、概念、ネタの交換が主です。
概念というのは、まぁ例えば・・・一時期はやった、生物の寿命は鼓動を生体時計と例えるとほぼ同じくらいになる。
とか、
七人のイヴだとか
そういった、本や何かで身につけた概念についての交換だったり―まぁネタでもありますが
まんがや、アニメでのこういった展開は許せるか許せないか、とか軽いものだったりしますが
今回はブログ企画について
新塵碕行は、現在二つの規格を抱えており
一つはコードネーム猫さん
もう一つは、サウンドノベル方式で、選択肢によってストーリーが大幅に変わるというもの。
その、サウンドノベル方式の企画について、―まぁ、サウンドノベル方式といってますけど、音声が出るわけではありません。
とにかく、その骨格がやっと今日出来上がった。キャラ設定についても細かく話し合い、どこに、どお選択肢を配列しようかなど
あとは書くだけ!
みんな限られた時間のなかで会議をしているので、ここまで本当に長かった。いや、本当にすごく長かった。
なにしろ、企画を出したのが3月ですよ。
まず、どんな小説を書くかでものすごく揉めて
リレー形式の小説にしようって、話もあったんですが、伏線のつぶし合いになったことが過去の経験上あるので、その時の話で討論になったり
長編にするか、短編にするかでも、ものすごくもめた。
で、知恵を出し合った結果、すべての条件が合うのがサウンドノベル方式で、それに至るまでの不毛な話し合いは、ひどかった!
もう、今は制作に取り掛かれることでアドレナリンでまくりです。
まぁ、何度も書いてますけど、ご期待下さい。
第三章 幸福在処 会いたい ―小説
「でも・・・帰ったって、かあ様は・・・きっと、会ってくれない。」
会ってくれないかもしれない。
でも、私はどうしても信じられない。
流さんのお母さんが、流さんを捨てたなんて・・・・。
「でも、流さんはお母さんに会いたい?」
「当然だ!」
「だったら、きっとお母さんもおんなじです。」
「如何してそんなことがいえる!どうしてそんなふうに言う!」
「だったら、流さん、どうして流さんは自分が捨てられたと思うんですか?」
「それは・・・・」
流さんは、俯いた。
「それは・・・俺が役に立たないからであろ・・・。」
「流さんは、小羽が役に立たないなら、小羽の友達じゃなくなるんですか?」
「そんなわけあるか!」
流さんは、顔をあげて叫びます。
「それは何でですか?」
「小羽は、俺に優しくしてくれた!俺は小羽が好きだ!」
「お母さんは好きですか?」
「もう!何が言いたいのだ!」
流さんは長い髪を振り乱しながら、叫ぶように嘆くように、私に訴えかけます。
「好きだ!嫌いなのに会いたいなどと思うか
会いたいのだ!
帰りたいのだ!
優しくしてほしいのだ!
もう一度、一度だけで・・いいから。
また・・・」
だんだん、言葉が小さくなってついにはその口は閉じられました。
寒日の夜、
数瞬の沈黙、
暗い部屋の中で、体温が相手の感情を伝えあう瞬間
握った手は、握り返され・・・
そんな中で、言葉はぽつぽつと流れるように生まれます。
わたしは、その言葉に・・・
はい・・・・
と小さく静かにうなずきます。
「そんなに流さんの大好きなお母さんが、流さんに会いたくないわけないですよ。
きっと・・、会いたいはずです。
流さんが、何の役に立たないのかは知りません。
けど、・・・役に立たないからって、流さんが小羽を捨てないように、
お母さんだってそんな理由で流さんを一人にするはず・・ないですよ。」
そういうと、
流さんの眼からまた涙がぽろぽろ零れます。
流さんは、その涙を止めようと必死で、私から隠そうと必死で、
私と目を合わせられなくて、
窓の向こうの景色を見ます。
だったら・・・・。
そう、呟きます。
「だったら、なぜ俺は捨てられたのだ・・・・」
「なら、それを知るためにも帰りましょう。流さん。」
そっと、肩を抱き寄せて、私も窓の向こうの景色を見ます。
「帰りましょう・・・お家に、帰りましょう?」
「ああ・・・」