第三章 幸福在処 3-17 泡影のフルサト ―小説
「そ・・そんな・・・」
私は、余りのことに言葉が漏れてしまいます。
崩れた柱、
散乱する屋根瓦・・
まるで地震で全壊したように、そこには崩れた家があるだけでした。
庭には、雑草が生い茂り、
もう何年も人の手が入っていないかのようにさびれて・・・、
だけど・・・まだ、流さんが家を出てから五カ月ほどしかたってないのに・・・。
「ない・・・」
流さんが、呟きました。
「もう、ない・・・・。」
私は流さんの手を、握ろうとしますが、流さんはギュッとこぶしを握ってそれを拒絶しました。
「流さん・・・」
「ないのだ・・・・・
小羽・・・、
どうしよう?
もう帰る場所がない。
父もいない、
母もいない!
奔り回った廊下も!
母と遊んだ庭もッ!
あれだけ頑張って勉強した部屋もッ!」
「流さん!」
「俺の思い出は母が捨ててしまったッ!
部屋も!服も!あのビー玉も!
そして今は家もないッ!」
流さんは、私によりかかって、涙を流しながら、私を見上げながら訴えます。
「どうしようッ!?小羽!
俺は本当にここで過ごしたのか?
俺は本当に弦候堂流なのか!?
だって証明する物が何もな、 ないぞッ!
俺の記憶など単なる夢ではないのかッ!?
俺ははじめからあの公園で生れてッ!」
「流さんッ!落ち着いてください!」
「そんなの無理だよッ!」
流さんは髪を振り乱して、ついに立っていることができず、がくがくと膝をついて座り込んでしまいました。
「無理だよ・・・・そんな・・・の・・」
赤く染まった夕焼けは、もうすぐ、山の頂のみを照らして私たちを照らしてくれなくなる。
暗く陰った世界は、私たちの目には、何も映してくれなかった。
流さんは、何も言わず
ずるずると、這うように、
崩れた故郷に近づいて、がれきを一つとってはどかして、またどかします。
まるで思い出を掘り起こすように・・・・。
「流さん、こんなの変です。」
・・・・
流さんは何も答えてくれません。
・・・・
「だって、流さんが家を出てから五カ月しかたってないんですよ。こんなことありえません。」
だって
「ここは、もう十三年前からこの状態なんです」
そろそろ、ブログのリニューアル考えようかな
そろそろ、またブログのリニューアルを考えようかと思います。
トップの絵をどうするかとか、いろいろ含めて
まぁ、それだけ、今日のアップはこれだけです。
皆さん乙
第三章 幸福在処 魔法少女は男の子? ―小説
そんなこんなで。
「困りましたね」
「うむ、困った・・・。」
見事に私たちは道に迷いました。
ふにゅ・・・どうしましょう?
「仕方ないな・・・少し魔法を使うか」
な、なんと!使うのですか!使うのですね!?
「わ、私初めてです!魔法見るの!」
「導きの呪い(まじない)だ。大したものじゃない。」
そう言って、流さんは近くの木の枝をとります。
「すまぬ、借りるぞ?」
つぎに、近くの雑草を引き抜いきます。
それを、四方に並べます。
「何してるんですか?」
「結界を作っておる。
科学法則が司る空間―通常空間で魔法使いが魔法を使うことは極めて難しくてな。
こうやって結界を張って、この場だけ、法則の支配率を少し変えるのだ。」
そう言って、その後真ん中に立って・・・。
「小羽?」
「はい!」
「何をしておる?」
何って、これから流さんが魔法を使うので、
皆さんから流さんを隠さないと、さすがに恥ずかしいですよね。
と、言う訳で、大の字になって流さんを人眼から守っているのです!
「まて!・・・なんで恥ずかしいのだ?」
「え?だって変身すると、だいたいの場合、一瞬すっぽんぽんになるじゃないですか?」
「ならんぞ!?」
「やっぱりあれですよね?呪文とかあるんですよね。
なんですかねぇ~
あっ!?
『マジカルリリカルくりゅりんぴゃっ!』ですか!?」
「で、ですかっと言われても・・・」
ああ、だんだんわくわくしてきました。
わくわく過ぎて、ぴょんぴょんはねてしまいます。
うふふ
「さぁ!流さん!魔法少女に変身です!」
「お、俺は男児だぞ!?」
大丈夫です!流さんになら絶対にできます!
だって、こんなに可愛らしい子は、女の子にだっていません!
むしろ、流さんにしか任せられません!
美少年魔法少女ですッ!
◆ ◆ ◆
Cross―hukakai
その頃、俺、深戒櫃代はあるインスピレーションに打ち抜かれていた。
近年、魔法少女の土壌は開発され、そのカテゴリは、すでにネタとして出しきっていると思われる。
禁忌的であった外道魔法少女も、もはや一般的だ。
新鮮さを感じない。
ならば、昨今の『美少女かと思いきや、女にしか見えないすっげぇ美少女でした』ネタを使い
―美少年魔法少女と言うのはどうだ!?
・・・新しい、新しいぞッ!
次に来るのはこれだッ!
来たぞ!新しい時代が!GJ!
いや、待てよ・・案外どこかでやってた気も・・・
ブツブツ―
◆ ◆ ◆
「ば、馬鹿者!
そもそも、少年魔法少女では、意味がわからん!
性別不明だ!矛盾しておる!」
「大丈夫です!できます!貴方なら!」
「断じてお断りだッ!いいからそこに立って見ておれ!」
あううううぅ
マジカルリリカルくりゅりんぴゃぁ~
「ええい、うっとおしい。集中しておるからそんな目はやめろ!」
そういって、流さんは葉っぱを千切るとそれをパッと手から離しました。
ひらひら舞い降りた木の葉は地面に落ちます。
流さんはぷちっと、自分の髪を一本ぬいて、その一方を口ではみ、もう一方を指でつまんで、まるで弦を鳴らすように・・・
ピぃぃーンッ!
信じられないほど、甲高い音がその髪の毛から発せられます。
その瞬間、落ちた木の葉が一斉に一つの方向に向かって動き始めました。
どうやら、その指し示す方向が流さんのお家のようです。
「どうやら、向こうのようだな。」
「すごいですっ!」
「えっへんである!」
「変身しなくても使えるんですねっ!」
「・・・・」
あれれれ?なんだか、流さんの目線が、ひっじょ~に冷たいです。
日は傾き、空は赤く、日に焼けた山肌に茜さし・・・・
午後四時を迎え、私たちはようやくたどり着きます。
私たちは息をのむしかありませんでした。
私たちの目的地・・・・・・
流さんが帰りたかった場所・・・・
そこには・・・・もう、何もなかったんです。