これは聖史劇が絵になったのかも…カルロ・クリヴェッリの受胎告知 | ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

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二人の娘の子育てほぼ終了!

引っ越し、海を跨いで11回
いろんな価値観に触れて揉まれて
世界は無限に広がっていて
こうあるべきは一つもないと

これからも柔らかな心で、導かれるように、ワクワクしながら歩いていきたい

皆様とご一緒できたらhappyです♪

おはようございます

あきです

 

 

そろそろ中世美術に戻ります

 

ここのところずっと読んでいるのが、エミール・マールの中世末期の図像学

 

 

 

 

 

エミール・マールはフランス中世美術の権威らしいのですが、この本はそのフランス中世美術の形態に至るまでの流れが分かり易い

特にへぇ〜〜〜〜〜っと思ったのが

宗教絵画における聖史劇の影響でした

そもそも聖史劇って何?

 

在米の頃、娘たちの幼稚園は引っ越しに合わせていくつか経験しました

中に教会系の幼稚園もあり、クリスマスになると

質素ながらキリストの降誕の様子の飾り付けがされたり、時にトイレットペーパーの芯を沢山集めて色紙を貼り付けたりして、キリスト降誕に出てくる人々の人形を作るような時間もあったようです

洋画の中でも、小学校の学芸会の中でキリスト降誕劇が催されるのをいくつか見たことがあります

キリスト降誕の様子やその他の宗教上の出来事を民衆にわかりやすくするために劇に仕立てるんですよね

絵画で見せるよりずっと分かり易いのは間違いありません

この本では、

こんな劇を見た画家たちがその場面を時祷書の挿絵に描き、ステンドグラスにし、版画にして広まり

それがまた、劇作家の目に留まり、劇に使われていくという相互作用があるのだと説きます


本来画家の創造性はほんの少し

あとは模倣から生まれているのだと

あれ?前回の町田市立国際版画美術館で拝聴した講演会のテーマ、北斎の創造性も模倣からに繋がるのかも?

 

 

ふと思い出したのが

先日聖人の頭の上に付いている光輪について書いたブログの中で紹介したカルロ・クリヴェッリの「聖エミディウスを伴う受胎告知」

先の国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」で来日していたコレです

 

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聖母マリアの光輪が髪飾り風だと書きましたが

 

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本当はこれは受胎告知劇の様子を描いたものでは?なんて考えてしまいました

受胎告知のために聖母マリアのもとにやってきた大天使ガブリエルがなにやら他の人を伴っています

その人は聖エミディウス

3世紀~4世紀にに実在した人で、イタリア・マルケのアスコリ・ピチェーノ市で殉教した聖人です

この絵は、1482年にアスコリ・ピチェーノ市が教皇領から自治権を授かった記念に描かれた絵とされています

 

鳩やら孔雀やらの宗教的アトリビュートは後から付け加えたとしても

大天使ガブリエルが街の模型を手に持つ聖エミディウスと並んで歩いているなんて

 

 

大天使と聖人エミディウスの衣装もなんとなく劇場衣装っぽい豪華なものだし

前述のように聖母マリアの光輪も髪飾り風だし

オマケに天からの光が、建物にそのために設えてあるような穴を通じて

マリア様のもとに届いている不思議!

わざと建物に穴開けました?w

 

 

こんなに目立つことをしているのに、気付いている人が少なすぎるし

 

 

劇だとしたら、この建物は舞台装置で人物も俳優だったとしたら

なんとなくしっくりくるなぁと

この市で開催された聖史劇のワンシーンに、この自治権を授かったことを脚本に入れ込んだのでは?

そしてそれがこの絵になったのでは?

なんて妄想してしまうのです


手前のリンゴやら瓜は、もちろん原罪や復活を表すアトリビュートではありますが、こんな端っこにあるのはご愛敬

 

画家の技量を誇示するための手段だったりしますね

手に取ってみます? 取れないんですよ、絵ですからw

なんてね

 

それにしてもキンキラキンの絵

カルロ・クリヴェッリはヴェネチア生まれの画家

ビザンチンの影響をバシバシ感じます・・・

 

なんとなく気になって探し当てたのがこちらの本

「ルネサンスの聖史劇」

 

 

最初の方のページに、エミール・マールのこの説は否定されているのだとか

でも・・・と続くこの本

結論はまだまだ先ですが楽しんで読みたいと思います♪

 




暑さが戻ってきましたね

皆様もお健やかにお過ごしくださいませね~