北斎のアイデアはこちらから? 町田市立国際版画美術館にて | ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

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二人の娘は独立
プレリタイアライフを楽しんでいます♪

引っ越し、海を跨いで11回
いろんな価値観に触れて揉まれて
世界は無限に広がっていて
こうあるべきは一つもないと

これからも柔らかな心で、導かれるように、ワクワクしながら歩いていきたいです♡

おはようございます

あきです

 

 

先日山種美術館で聴き損ねたこちらの館長のお話が聞ける!ということで

町田市立国際版画美術館にお邪魔してきました

 

 

 

今ここで開催しているのは

浮世絵風景画 広重・清親・巴水 三世代の眼

 

浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼― | 展覧会 | 町田市立国際版画美術館町田市立国際版画美術館は、東京都町田市にある版画美術館。リンクhanga-museum.jp

 

今週末9/12までです

 

 

 

江戸、明治、昭和の時代を代表する風景版画の競演でした

 

 

これがあまり期待していなかった分

良かったんですよね

 

 

こんな風にお迎えしてくれます

 

 

 

 

 

例えば、冬の雪の浅草

雷門と浅草寺

 

この3人が描くとどうなるか

 

歌川広重 名所江戸百景 浅草金竜山

 

小林清親 浅草寺雪中

 

東京二十景 浅草観音の雪晴

 

アングルの広重

抒情性の清親

両方のいいとこ取りの巴水

 

私にはそんな風に見えました

 

 

そこから広重、清親、巴水のそれぞれの版画をじっくりと見せてくれるのですが

 

 

やはり知る場所の絵は面白いですね

品川の海晏寺です

 

歌川広重 四季江戸名所 秋 海晏寺紅楓

 
こちらは東京メトロのサイトからですが
え、こんな海辺なの?と

今の地図ではもう少し内陸なんです

 

 
当時は紅葉の名所だったそう
岩倉具視の墓所となっていますが、管理上岩倉具視の墓前には立てないようですよ
しかし品川、のどかだわ〜
 
 
 
そしてこの日の講演会で聞いた3点セットの確認!
 
日本橋(橋)、江戸城、富士山
 
江戸の風景画にこの3点が入るのがとても流行ったそうですよ
 
17世紀後半に生まれた浮世絵
初めは役者絵、美人画中心でしたが
人の興味が個人の旅に移ってくると
美人画などの背景の風景が次第に独立
北斎の風景画を経て、ジャンルとして確立したそう
この辺りは西洋の風景画の生まれた過程にとても良く似てます
 
歌川広重 東都名所 日本橋之白雨
確かに3点セット
右奥に江戸城が小さく見えます
これから富士山の見える江戸の浮世絵は、江戸城を必ず確認してしまいそう…
 
 
そして今回、初めて小林清親の魅力に開眼しました

前回のサントリー美術館「美を結ぶ、美をひらく」でみた小林清親には

実はあまり惹かれなかったんです

清親の特徴「光線画」がよく分からなくて…

絵本の挿絵っぽい?

 

光と影の効果を版画に生かした最初の版画家ですが

明治14年に光線画を描くのをやめてしまう清親

その理由はよく分かっていません

 

でも江戸の浮世絵から大正・昭和への新版画の過渡期の版画師だとみると

その柔らかな画風がとても人気があったのも今回よく理解できたかな

 

 
神田川夕景(明治14年)

 

美保ノ浦帆(明治14年)

 

赤坂きり畑山王うら山(明治17年)

明治17年になると、その作品はちょっと時代に逆行している感じです

 

 

こちらで見た晩年の作品(明治30年頃)は本当に素晴らしかった…

あ、少し吉田博作品に似たところがあるなぁとも思いました

 

東京名所真景之内 如月 待乳山雪の黄昏(明治29年)

広重美術館サイトからお借りしています

良くないですか???

 

 

 

川瀬巴水もいろいろな画風のものを楽しむことができました♡

こんな巴水は初めて!

 

東京十二題 こま形河岸(大正8年)

 

これぞ巴水の青!

 

東京二十景

荒川の月(赤羽) (昭和4年)

 

清洲橋(昭和6年)

 

何度見てもいいです♡

 

 
そして無料のミニ企画展がこちら
 
 
 
これこれ、橋口五葉の髪梳ける女
アップル創業者のスティーブ・ジョブスが所有し
壁に飾っていたもの
 

 

素敵ね〜♡と思ったのが

小早川清の近世時世粧之内 瞳

こんな瞳に見つめられたら女でもイチコロです…

 

 

やはり新版画は私にとってはとても魅力的です

 

 

で、この日のメインイベント

大久保純一館長の講演会ですが

公益事業で収益を目的としていないので…とはいうものの、こうこうこういう事情で資料代だけ500円いただきます

これだけでは申し訳ないので学芸員さんがクリアファイルに入れてくれました

こんな風に館長が苦笑いしながら話すにはこちらも苦笑い〜

内容は巷の立派な講演会と遜色なく、これで500円は申し訳ないとすら思いました

 

今回のテーマは「浮世絵の中の風景画」

 

面白いなぁと思ったのが

北斎の「富嶽三十六景」の画題や画面構成のヒントに

河村岷雪の「百富士」が多く取り入れられているのではないか?という点でした

 

河村岷雪「百富士」より橋下

 

河村岷雪という人はいわゆるアマチュア絵師だそうで

お世辞にも上手とは言えない、とは館長の言葉

確かに私でも描けそうな絵なんですけどね

でも、絵のアイデアに優れた人だということで

こんな風に北斎の絵に取り入れられているんです

上の絵からインスピレーションを得たのではないかとされる

橋の下から覗く富士

 

葛飾北斎 たかはしのふじ

 

ほぉーなるほどねと

 

「窗中」(Wikiより)

 

こんなイラストが下のような北斎の絵に

 

『富嶽百景』第二編「窗中の不二」(Wikiより)

 

富嶽三十六景の描かれた場所を細かく検証しても

河村岷雪の「百富士」と重なる場所がとても多く

その数、二十か所に及ぶという

でも学会ではどうしても北斎の独創性を崩したくないそうで

この説はなかなか認めてもらえないんだとか…

シロウトが見ても納得なんですけどねwww

大久保館長さん、すごく魅力的なお話でいっぱいでした

お疲れ様でした!

 

 

 土曜日にはミニコンサートもあるみたいですね

 

 

 

 

 

そういえば、こちらの美術館

谷底の公園に建てられていて

辿り着くには急な坂道や階段を下らなければなりません

ちょっとアクセス悪いんですよね

少し前に谷の上の方に工芸館を作り、

そこからスムーズにこの美術館に移動できるようなプランができたようなのですが…

 

なんとこの美術館設計者が

著作権があるから改築するなと

工事差し止めの仮処分申請したのだとか

え?そこ?

専門的なことは分かりません

 

でも、今のままでは不便極まりない…

公的施設なのにどうして利用者ファーストになれないのか、本当に疑問です 

そもそも所有権は市に移転しているのでは?

あの上野のトーハク ですら

新館に通じる通路を作っているのに

それと同じでは無いのかしら?

利用されて初めて生きるのではないのかしら

 

建築家のプライド?

だとしたらそんなプライド

いらんがな〜笑

 

 

 

めっきり涼しく秋めいてきました

なんだかしまったばかりの羽根布団をもう出してこなきゃと思っています

 

 

さて、金曜日!

素敵な週末になりますように♪