2度目のロンドン展に誘われて、、、内藤コレクションがこの日のお目当て | ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

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これからも柔らかな心で、導かれるように、ワクワクしながら歩いていきたいです♡

こんにちは

あきです
 
 
 
先日国立西洋美術館の学芸員、川瀬主任研究員さんのお話を生で聞く機会に恵まれました
 
6月末にロンドンナショナルギャラリー展に訪れるにあたり、YouTubeその他でいろいろ予習していったので、展覧自体とても楽しめたし、今回の川瀬さんのお話もそれほど目新しいものは無いだろうとタカを括って最後列へ座ったのですが、この目の悪さを本当に恨むほど知らない話と映像が次々出てきて、、、最後列からボンヤリとしか見えない映像を眺めながら、最前列にすべきだったと大後悔のある暑い夏のひとときだったのでした
 
 
 
そうこうしているうちに、娘2号がやっと大学の課題の提出を全部終えて夏休み突入
上野に行こうと誘ってくる、その心はランチ代を浮かそうというしたたかな計算の下なのだけれど、私も上野の西洋美術館の常設展には行きたいし、上述の川瀬主任学芸員の話を聞いたばかりでロンドンナショナルギャラリー展ももう一度見てみたい気がするので、安易に誘いに乗り、この暑い最中上野に繰り出したのでした
 
 
 
娘2号は午前中トーハク 常設展に行き、私は昼過ぎから合流
まず国立西洋美術館の常設展へ
 
常設展に入るとロダンらの彫刻の奥に見えるこのコルビジェ設計の美術館の模型
普段は素通りなのだけれど、なぜかこの日は地下の会議室横の窓から見えるつづら折りの階段がどこに続いているのか気になり、暫しここの張り付きに
 
 
 
私たちがいるのは、三角形の明かり取りになっている屋根の真下
ここから二階へ上がり、ぐるりと旋回するようにギャラリーが続くのですが
 
気になったのが、写真左側の新館二階に差し込む水玉模様の光・・・
 
 
こんなところあったっけ?と二人で考え込み、入ってから確かめようということになりました
 
 
ふふふ、ありましたよ
のんびりと自分たちのペースで鑑賞できる常設展、まんまとこの雰囲気にのまれてはまり込み、この水玉窓のことはすっかり忘れてしまっていたのですが、最後の最後になって2号が「あっ!」と小声で叫び、見上げる方を振り向くとこの光景
まるで、ファイリングの穴を補強するラベルのようです^^ 
 
ミロやピカソ、ブラックなどの大きな絵を中央の椅子に座りながら眺めて、ふと天井を見上げてみてくださいね
 
 
 

 
そういえば、川瀬主任学芸員の話でへぇ〜!と思ったのが、常設展の最初の方で出会えるコチラのティツィアーノのサロメ
 
 
 
実はチャールズ1世コレクション
ヴァン・ダイクが宮廷画家をしていた時のイギリスの王室コレクションです
 
ピューリタン革命の処刑後、オークションに出されて散逸してしまいますが、どうやらこちらの作品はクロムウェルがチャールズ一世を処刑した自分の身に置き換えてやはりユディトと間違えて密かに所蔵していたらしく、巡り巡って今、西洋美術館に収められているとのこと
 
少し前まで私もユディトだと思い込んでましたから、ちょっと親近感^ ^
 
行くたびにに会えていた作品でしたが、この日は特に思い入れ強く鑑賞してしまいました
 
 
 
サロメの腕の飾りに描かれている人物、最初ユディトと間違えていた頃は、ユディトが寡婦だったこともあり元夫の姿なのかなと思っていましたが、サロメとなると一体誰?
 
 

 
 
おや、西美のサイトに詳細がありますね^ ^
 
でも腕飾りの人物については言及されていませんでした
 
 
以前読んだ「帳簿の世界史」によると
イギリス宰相ウォルポールのコレクションはロンドンナショナルギャラリーに資金不足で受け入れを拒否されて、結局女帝エカチェリーナが買い上げて今はエルミタージュへとありましたね・・・そんなことが笑
絵の来歴は面白いです
 
 
 
 
 
この日は私には初めましての作品もいくつか
 
 
ピエロ・デッラ・フランチェスカのブレラの祭壇画を思わせるようなばりばり遠近法の背景の「玉座の聖母子」
アドリアーン・イーゼンブラント(帰属)とありましたが、作者不詳なのだそう
 
 
年代も1500年頃なのでピエロよりずっと柔らかいイメージで、マリア様もキリストも文句なく美しく、背景も北方の絵画らしく緻密で素晴らしいです
そして聖母子像横のレリーフ、何だろうと接写
 
 
 
 
どうやらケインとアベル、イサクの犠牲?のワンシーンです
 
 
 
 
スルバランの聖ドミニクス
 
 
聖ドミニクスの影が後ろにほの暗く映っていて、犬の咥えたたいまつに火が灯っていることが分かるそう・・・なんだけれど、この位置関係で火が灯ってたら、衣装に燃え移って危ないでしょう・・・そして写真ではよく分からないのですが、歯が銀色に光ってて、まるで銀歯!笑
つっこみどころ満載なのでした
 
 
 
 
小声で解説しながらじっくりじっくり絵を見ていると、ティエポロ辺りで(分かる人は分かると思うのですが、まだまだ前半)もう1時間…私のこの日のお目当てはコチラ
 
 
 
 
あと一時間でロンドン展の予約時間になってしまうと思ったら、新館の版画素描展示室に大急ぎで滑り込みます
 
 
 
最近中世に魅せられて、本を何冊も漁っていますが、その中で読んだ本「イギリス美術」に掲載されていた「リンディスファーン福音書」のカーペットページに目が釘付けの今日この頃
 
 
 
 
「ベリー公のいとも美しき時祷書」に並ぶ美しさと言われてるケルトの三大写本の残りの「ケルズの書」も「ダロウの書」もどうしても見たくなります
いつかアイルランドのダブリンの図書館へ行きたいと夢が膨らみ、家人にせがむももっと美味しい餌を撒かなければダメかといろいろ画策していた矢先だったのですが
 
ともかく頭の中は中世の写本装飾でいっぱいになり、そうなると興味の方向はそこにしか行かなくなり、あーそーだった、私が中世の写本に初めて触れたのはウンベント・エーコの「薔薇の名前」だったと思い出し、古い本(見たら初版本の出た年の第6版でした)を引っ張り出してはその箇所を読み直したりして
 
 
今回のコレクションは前回の「内藤コレクション」の第二弾
先の展覧はまさに中世の写本そのもので、修道院での作業ということもあり地味といえば地味でしたが、「薔薇の名前」での写本作業と重なりそれはそれで楽しかったのですが、今回はルネッサンス期のものなので注文主も王侯貴族ですし、修道院ではなく写本業者が技を競うのでそれはそれは華やか♡
 
 
掌に収まりそうなほど小さなページに美しく描かれた写本の数々にウットリ…
宝石のような美しさでした
 
 
 
 
こちらは暦
カレンダーです
光が変に当たって一部変色しているのはご容赦くださいね
 
 
 
 
 
分かりづらいのですが、飾り文字に人の顔が書き込まれているのがわかりますか?
写本を書いた人の遊び心^^^^
 
 
 
 
この手のひらに乗りそうな大きさのページにこの絵
東方三博士の礼拝図です
 

至福の時間でした・・・・私の中世熱はまだまだ冷めやらず、です
2号はそこまで興味なしでしたが、この良さを分かる日がいつか来ることでしょう・・・・だめかな?w
 
 
 
この後、印象派から最後の部屋に向けて足早に歩き、この日は特にナビ派が充実していたことに二人で気づき、あれ?三菱一号館美術館の「こども展」がナビ派重点に置いていたのに呼応した?と思ってみたりもしたのでした
 
 
 
最後にこの絵の前に来ると必ず「あ~~~にゃむだぁ」とつぶやく2号
我が家でゆるキャラ認定されている私は「お母さん」とか「ママ」とか呼ばれることはまずありません
陰で「女帝」と言われていることは知っていますがねw
 
顔が似てはいないのですが、どうやら雰囲気がそっくりなんだそうでw
真の私の姿を知っている人はごめんなさいね~~~w
 

 

 

 
 
 
 
さてさて、予約時間締め切りギリギリに滑り込んだ2度目のロンドン展
 
先の川瀬主任研究員によるとロンドンナショナルギャラリーは、当時のイギリスが植民地政策で経済的に優位に立つものの文化教育水準が低いことに劣等感を持ち、「下位層に教育を!ゴシックから20世紀初頭までの教科書的美術館を!」という上から目線的設立だったそう
日本の西洋美術館もそういう面がありますよね
おまけにイギリスの場合、印象派の良さが分からないという芸術に対する目への劣等感から自信のないイギリス美術はテートにお任せという事情もあり、どちらかといえば階級。系図を大事にするお国柄、ポートレートギャラリーが独立してあることもうなづけます
 
 
 
今回は突っ込みどころ中心に^^
 
クリヴェッリの受胎告知
 
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このマリア様の光輪、なんと髪留め風に括り付けらているのだそう
そんなことあるの?ですよねwww
図録写真では少し分かりづらい…ぜひ単眼鏡持参でじっくり見てみてください
 
そしてクリヴェッリはそもそもこういう屋外の絵は珍しくて、大抵室内の周りが装飾されたエレガントな絵が中心とのこと、常設展でやはりクリヴェッリのクリヴェッリらしい絵があって、納得したのでした
 

 
 
 
 
マグタラのマリア
 
image
 
実は私達自身がキリスト目線だと知ってました? 
マグダラのマリアがキリストの墓を訪ねてふと人の気配を感じ、後ろを振り向くと復活したキリストと目が合う、その瞬間、、、
 
そう思うと、マグダラのマリアのこの後の心情に思いを馳せてしまい、しばらく動けなくなってしまいました
 
 
 
レディ・コバーンと三人の息子
 

 
 
子育てあるある…こんなに四六時中まとわりつかれていたら、いくら可愛くても愛していてもぐったりです
ねぇ、そばにいるならこの子達の面倒見てよ!な場面ですが彼女のクールな表情にその心情が上手く隠されて^^
 
さすが、アカデミー初代会長そして肖像画のレノルズ、上手くカバーしましたね、というしかありません^^
 
 
 
 
シャーロット王妃
 
image
 
このシャーロット王妃がウェッジウッドにクリームウェアをオーダーし、それが今のクィーンズコレクションの礎に
今のクイーンズコレクションの素朴さを思うと、ちょっと親近感がわきますがこの気品、気高さにやはり圧倒されます
弱冠20歳でこれを描いたローレンスも本当に素晴らしい
 
 
 
 
ヴェネチアの占い師
 
 
この時代、素性を隠して自由に振舞えるためにこの右に立つ女性のようなカーニバルの仮面を被ったとのことですが、ふと考えると、この時代から匿名行動があったということなんですよね・・・今の匿名での誹謗中傷のような人を傷つける手段に使われなかったことを祈るばかりです
 
 
 
 
 
 
コンスタブルのコルオートン・ホールのレノルズ記念碑
 

 
 
この作品はどう見ても、ミケランジェロ(左の像)、ラファエロ(右の像)そしてアカデミー初代会長のレノルズを礼賛する、伝統への崇敬の念が見えます
が、先に記述の「イギリス美術」にコンスタブルがロンドンナショナルギャラリー設立に反対していたとありました
その理由は「いかにも絵になりそうな自然を写すのではなく無から有を生じさせるのが画家の仕事、その時絵は必然的に詩になる」ので自分の目で自然を直視することが大事であり過去の絵は不要と、、、
うーん、誰かこの謎を解明してほしいです
 
 
 
 
 
2号はやはり常設展好き、、、ラトゥールの花の絵とセザンヌの絵にうっとりしておりましたが
そうそうムリーリョのかわいいヨハネにも♡
でも、コートールド美術館展のほうがずっと彼女には響いたみたいです
 
 
 
 
 
 
あ、今気づいたのですが、西洋美術館地下の会議室入口横の窓の外の階段は実際にどこに通じていたのか、目で確認してくるのを忘れていました・・・次回、必ず!
 
 
最近、実家のちょっと特殊な事情のあれやこれやに忙しく、現実逃避に中世本ばかりに手を伸ばしてブログがすっかりご無沙汰になってしまいました
今ちょっとひと段落かな^^
嵐の前の静けさといったところですが、皆様のブログもゆっくり楽しませてくださいね
 
 
 
 
本当に暑い暑い日が続きますが、皆様ご自愛ください♡