日本画の挑戦者たち 山種美術館 「朦朧体に挑んだ日本画」講演会に行ってみた〜♪ | ワクワクしよう~癒されよう~! Feel Freeにアキのふらっとアレコレ♪

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これからも柔らかな心で、導かれるように、ワクワクしながら歩いていきたいです♡

こんにちは

アキです
 

日によって暑かったり寒かったり…
体調崩しやすい季節ですね
皆さまお健やかに過ごされますように

 
さて9月15日から
山種美術館で


日本美術院創立120年記念
日本画の挑戦者たち


が開催されています
 
 



 
幕末に横浜で生まれ
現藝大の設立に大きく貢献した
日本美術の評論家
岡倉天心が

 
新たな日本画の創造を目指して
横山大観らとともに創立したののが
日本美術院

 
そこで横山大観や菱田春草らが模索していたのが
朦朧体という画法だったそうです

 
朦朧体

 
当時海外の絵に詳しかった岡倉天心が
いわゆる印象派のような

輪郭線を持たない画法にヒントを得て
画壇を指導していったという 没線描法

 
だったそうですが

 
印象派同様
当時の美術評論家からは散々な言われようだったそうです

 
出る杭は打たれるのはいつでもどこでも
誰でも同じなのですね…
 
 



今回「朦朧体に挑んだ日本画」というテーマの
宮廻正明先生の講演会を拝聴してきました
 

宮廻先生は
私の大好きなこの絵を描かれた方
 
 
宮廻正明
水花火(螺)
平成24年
 
 
この夏に山種美術館で開催された
「水を描く」で展示されていましたね
 
平山郁夫先生に師事されておられました



 
壇上に立たれた先生は
お優しそうで気さくで明るい方
話もとても面白くて
何度も笑わせていただきました
 


お話は
 
美大生が一人前の画家になるには何が必要なのか
 
 
京都の画材屋さんは画家の技量を見極めた上で
画材を売る
身の丈を知ることを教えてくれる
 
などの軽い話から入り、、、
 
 

フランス料理はソースを食べる
同様に西洋絵画は足し算である
 
対して和食は出汁を引くことが基本
一番濃い一番出汁を薄めていって
最後に少し濃い出汁を足して
一番美味しいところに落ち着かせる


日本画も一緒で
引いていって最後に少し足す
これが大事
 


何のことやらと聴いておりますと
 


今回のこの作品
速水御舟
牡丹花(墨牡丹)
昭和9年(1934年)
 
 
花弁のこの部分
 

和紙に刷毛で水を含ませ
絵の具を滲ませたのちに
ドーサ引きという滲みどめを施し
再度絵の具をのせる
 

このテクニックは
和紙の厚さ何ミクロンのところまで
水を含ませ絵の具を滲ませるか
計算した上で

 
しかも初めから完成形が頭の中に入っており 
それを再現するのでないとできない
高度な技術が必要であり
 

同じことを他の人がしようとしても
滲ませたキワに絵の具溜まりができてしまう
その引き際が肝心
 

御舟ならではのテクニックだそう
 
 
 
さらにこちらの絵
横山大観
喜撰山
大正8年(1919)



金箔を貼る技法ですが
表から張ってしまうと金色が立ってしまい
その上からの絵具もはじいてしまうので

 
ワザと和紙の裏に金箔を貼り
表から和紙の層を剥がしていって

(ロビーでのVTRでその様子が見られますが
春巻きの皮を一枚一枚剥がしていくようにも見えます!(^^)!)
 

金の色を後ろに持っていく技法を使っているとのこと
 

西洋でも金箔を表に貼るのは工芸的であると当時タブーとされており
悪評の対象とされたそうです
 

クリムトも金箔は沢山用いていますが
全てその上から黄色い絵の具を重ねているとのこと


今度のクリムト展(2019年春に東京都美術館で開催)では
しっかり見てこようと思いました
 

こうやって
木々や山々の緑を際立たせているそうです
 
 
そして先生は
 
螺旋形のもつ永遠性、無限性が大事である
 
万物はDNAも含めて螺旋形
 
絵の中に螺旋の始まりが見えても
終わりを描かない
極めない
最後はスッと引く
そんな絵がいいのだと
 
ここが御舟や尾形光琳の絵の
贋作を見極めるコツであるとも


 
素人が見ても全然わからないと思いますが😅

 
先生の絵に対する世界観、宇宙観が垣間見えて
興味深かったです
 


絵の中の螺旋
 
例えばこの絵
小林古径の清姫の中の一枚ですが
小林古径
清姫  鐘巻
昭和5年(1930年)
 
 

絵の中に螺旋がいくつも存在する
いつか重要文化財になるに違いない
 
そう仰っておられました
 





朦朧体は形を捨てたものだった
 
その進化形は
大事なものだけを線で残す
その線に幅を持たせる、あるいは面で残す
 
固有色と輪郭は捨てたとしても
面で少し戻す
 
出汁の話と一緒ですね
 




最後にこの展覧会の見どころをおしえていただきました
 
 
小林古径
昭和21年(1946年)



小林古径は線の美しさが特徴で
師匠の前田青邨もその線を見て
画家をやめようとすら思ったとか
 
その線は
すーーーーーっと素早く勢いもって描いているように見えますが
 
実はじれったくなるほどゆっくりゆっくり描いている線だそうです
 

この猫も
その線の美しさ
際をひいた平らな絵具ののせ方
わざと少し縦長にスタイルよく見せた姿
(マニエリスム的ですね)
 

一時間眺めていても飽きないとのこと
この完成形たどり着くまでの
画家の人生観、宇宙観の痕跡をみるのが楽しいのだと


前田青邨の線は
線に滲みがある たらし込みがある


吉田善彦の絵は
朦朧体に細〜い線で
大事な部分だけを残す


などなど



 
その他盛りだくさんな話で
とてもここには書ききれないのですが




 
朦朧体とその進化形の絵でいっぱいの
今回の展覧会

 
こんな目で見てみると
もっと面白いのではないかと思います
 
私はとてもとても楽しめました♪
 


講演会の後
先生の話の再確認で美術館に再度赴き鑑賞
幸せな時間でした




 
観終わった後は
木村武村
秋色
20世紀



この絵をイメージした和菓子で一休み


美味しゅうございました♪

 
 
 
 
 
 
 
 
最後までお読みいただき
ありがとうございました😊



山種美術館
日本画の挑戦者たち
大観・春草・古径・御舟
11/11まで