背景と予想(見どころ)
6/12FOMCの動向を知るうえで、極めて重要視されるデータです。とくにCPI
為替相場への影響(ドル/円)
基本的にドル相場は、結果に対し素直に作用するでしょう。
ただし、すでにドル/円にかなり織り込まれています。このポジションが一定の利益確定をすることは想定しておきましょう。
ドルはどちらサイドにも、大きく揺れる余地があります。
FRBの金融政策には、現状の維持と利下げ方向とどちらの道もあり得るからです。
予想より強いケース
強いCPIや小売売上高は、ターミナルレート(高金利)を長期化させる効果がありますから、中期的にドル高要因になります。もちろん、4月の為替介入ラインである160円を目指す可能性は十分あるでしょう。
5月上旬からのドル円上昇は、FOMCのターミナルレート維持や、日銀の利上げが遅れる見通しを織り込んでいます。それを踏まえて目先の投資資金はCPIを目指して投じられていて、これらが発表前後に利益確定するでしょう。
発表直後には、強い売り要因とのせめぎ合いとなります。発表後30-60分程度はどっちつかずになるでしょう。ただし、とんでもなく強いデータとなった場合はその限りではありません。そのまま大気圏(160円)へ向かうでしょう。今夜のうちに158円をクリアするシナリオも考えられrます。
予想より弱いケース
弱いデータが出てきた場合も大きな相場になるでしょう。なぜなら、雇用統計やISM製造業景況指数、ISM非製造業景況指数(サービス業)は軒並み悪いデータになりました。これを受け、アメリカにもついにファンダメンタル悪化の時が来たと考える投資家も増えつつあるからです。
非常に悪いデータが出たケースでは、空前の規模に積み上がっている円売りポジションが崩落します。もし崩落すれば、一方的な相場になるため「CPIショックの再来」というシナリオが存在します。昨夜のPPIが強いデータであったため(前回値の下方修正というオチはあるが)、勇み足のカウンターが成立する怖れはあります。
前回のCPIショックでは、その夜にドル/円が5円強暴落しました。これに巻き込まれて爆死するのが最低の負け筋でしょう。
確かにインフレデータは強含みで推移しています(下にグラフを用意してある)。
しかし一方で、着実にアメリカのファンダメンタルは悪化してもいます。
消費者物価指数(CPI)とは?(基礎知識)
CPI(消費者物価指数)とは、消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を測定する指標です。主に以下の点で重要です:
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インフレーションの測定:CPIはインフレーションの主要な指標として使用されます。インフレーションとは、全体的な価格の上昇を指し、通貨の購買力が低下する現象です。
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経済政策の指針:政府や中央銀行は、経済政策の立案や実行のためにCPIを使用します。例えば、アメリカの連邦準備制度(FRB)は、インフレーション目標を設定し、これに基づいて金利政策を決定します。
アメリカのCPIの具体的な使われ方
アメリカでは、労働統計局(Bureau of Labor Statistics, BLS)が毎月CPIを発表しています。以下の点が特徴です:
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コアCPIと総合CPI:CPIには、食料品とエネルギーを除いた「コアCPI」と、これらを含む「総合CPI」があります。食料品とエネルギーは価格変動が大きいため、コアCPIは長期的なインフレーショントレンドをより正確に反映するとされています。
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経済指標としての重要性:CPIは、家計の支出パターンや企業の価格設定行動に直接影響を与えます。例えば、家賃や医療費、教育費などの価格変動が家計に及ぼす影響を評価するために使用されます。
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政策への影響:FRBはCPIを参考にして、金利を調整します。インフレーションが目標を上回ると金利を引き上げ、経済の過熱を抑えます。逆に、インフレーションが低すぎる場合は金利を引き下げ、経済を刺激します。
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賃金と契約の調整:多くの賃金契約や年金などは、CPIに基づいて調整されます。これにより、インフレーションが生活水準に与える影響を緩和することができます。
小売売上高とは?(基礎知識)
小売売上高(Retail Sales)は、消費者が小売業者から購入した商品やサービスの総額を測定する経済指標です。この指標は経済活動の一部である消費支出の動向を示し、経済全体の健康状態を評価するための重要なデータとなります。
小売売上高の重要性
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経済活動の指標:小売売上高は、消費者の支出行動を直接反映します。消費はGDP(国内総生産)の主要な構成要素であり、特にアメリカではGDPの約70%を占めるため、小売売上高は経済のパフォーマンスを評価する上で非常に重要です。
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景気の予測:小売売上高の増減は、景気の拡大や縮小の兆候を示すことができます。例えば、売上高が増加すると、消費者信頼感が高まり、経済成長の見込みが強まると解釈されます。
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政策の決定:政府や中央銀行は、小売売上高のデータを経済政策の決定に利用します。例えば、売上高の低迷は景気刺激策の必要性を示し、売上高の急増はインフレリスクを示す可能性があります。
アメリカの小売売上高の具体的な特徴
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月次報告:アメリカでは、商務省の国勢調査局(U.S. Census Bureau)が毎月小売売上高のデータを発表しています。このデータは前月比と前年同月比で報告され、季節調整後の数値も提供されます。
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包括的なカバレッジ:アメリカの小売売上高は、食品や衣料品、自動車、ガソリン、オンラインショッピングなど、さまざまなカテゴリの商品とサービスを含んでいます。これにより、消費者支出の全体像を把握することができます。
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インフレーション調整:名目小売売上高(価格変動を考慮しない)と実質小売売上高(インフレーションを調整したもの)があり、経済分析では一般的に実質小売売上高が使用されます。
ファンダメンタルの修正&分析
まず、CPIデータを簡単に分析しましょう。
FRBの利上げ開始は2022年3月。そこから順調にCPIは下がってきました。変調が起こったのは2024年明けから。インフレ率が下がらなくなりました。それどころか直近では反転上昇の気配を見せています。
先行指数のPPIも上昇傾向があるため、インフレは下がらない。ゆえにFRBは利下げに動けない。ゆえに金利は高止まりしてドルも高止まりしています。
CPIデータは、ここに風穴を開けれるか?が論点になるでしょう。
そしてももう1つは、ISM製造業景況指数&ISM非製造業景況指数です。景況感は徐々に悪化のトレンドを描いています。製造業は一時回復の兆しを見せましたが、パンデミック後のアメリカ経済をけん引していたサービス業(非製造業)がついに失速。景気分岐の50.0をついに下回っています。
これは大きな変化で、こうした影響が最終的に消費や雇用、インフレ率に反映されるでしょう。
Fundalia(ファンダリア)で教えるファンダメンタル投資では、景気とインフレを上記図で解釈します。インフレが上昇するには、まず消費増加が始点にならねばなりません。逆に消費が減衰するなら最終的にインフレは減衰します。消費を確認するのは小売売上高の役目で、この指標は重要データであるだけでなく、景気の最上流に位置する重鎮なのです。
雇用統計やCPIに目を奪われがちですが、
小売売上高もこれらに劣らない、重要データである事を理解して臨みましょう。
さらに、同時刻発表のニューヨーク連銀製造業景気指数も、相応に重要なデータです。
参考になさってください。
私たちFundalia(ファンダリア)は、本来は機関投資家やプロ投資家が扱うファンダメンタル分析を、個人投資家に向けにアレンジしたFXトレードノウハウを提供しています。もし、確率論、テクニカル分析だけでFXは無理だと感じたなら、私たちのノウハウを思い出してください。