〔日本〕BOJ政策金利(金融政策) 事前予測&ドル相場について | Fundalia since 2007

Fundalia since 2007

トレンド&リスク戦略というファンダメンタル手法を使ったFX投資
為替を最も値動きさせるのはFOMCや金融政策
ならば金利を重視して投資するのが賢いでしょう

 

 

 

 

ここまでの経緯・背景

 

日本経済は、パンデミック後に比較的強いインフレに見舞われており、経済も強くなりました。日経平均株価も史上最高値を更新し、半導体工場などが日本に建設されるなどここ10年あまり見られなかった良い状況になっています。

 

これを植田BOJ総裁は「確度が上がっている」と表現してきました。

インフレ率上昇および、賃金上昇が持続的かどうかについて、強い自信が持てたら出口戦略へ向かうサインと見られてきました。そしてついに、出口へ手を掛ける段階に至ったようです。

 

今回、BOJ政策金利では「マイナス金利解除の是非が問われます」。既に報道でリークされた通り解除が既定路線です。あとは極めて慎重だった日銀が、本当に決断を下せるのか?その1点に論点は集約されています。

 

 

〈FX投資の基礎知識〉金利が経済や相場に与える影響について解説

 

 

なお今回のマイナス金利解除は、すでに相場に織り込まれ済みです。

ただ、政策金利を0.10%まで引き上げる事実上の利上げを実施する可能性もあり、その場合は円高要因になるでしょう。この場合、為替は荒れると想定されます。

 

 

 

マイナス金利解除の影響は?

 

日銀がマイナス金利解除を決定すると、経済や為替にどのような影響があるでしょうか?

実のところ、実務的な影響は軽微です。影響は「日銀が利上げに動いたという心理的影響」がほとんどでしょう。

なぜなら、「マイナス金利は、市中銀行が日銀に預けた当座預金の、一部に対してのみかかるに過ぎない」ためです。銀行が日銀に預け過ぎないよう(≒お金を貸し出しや運用に回すよう)促す目的の金利でした。

 

本当に金利差理論に基づいた円高になるには、政策金利がプラスになる必要があります。たとえば0.10%まで利上げをするならば、経済に利上げ効果が生じるでしょう。今回、あるいは近い将来に日銀にそこまで利上げする意志があるか?そこも今回の論点で、円相場に強く影響するでしょう

 

 

 

日銀が利上げする際、検討される項目(参考)

 

 

今後も含めた基礎知識として、日銀が利上げを継続するなら上記図の条件が改善される必要があります。参考になさってください。

 

 

 

今後のインフレ率変動が重要!

 

インフレが発生するメカニズム

 

 

日銀が利上げに動いたとして、本格的に円高になるには「持続的な利上げ」を日銀が示唆する必要があります。今回のゼロ金利解除で終われば、すでに織り込まれた相場は腰折れ(利益確定による円安)となるだけでしょう。

 

利上げを継続するには、インフレ率に上昇の見込みが必要です。それがあるかどうか?これを確認しなければなりません。

3/15春闘回答では「非常に高い賃上げ」が見られました。これだけ強いと、対応が遅れた企業も賃上げせざるを得ないでしょう。この賃金上昇は、近い将来のインフレ上昇要因になります(図解参照)。

 

また、スエズ運河が事実上封鎖されている影響で、海運コストも上昇しており、これも価格転嫁されていくでしょう。九州では工場建設ラッシュが起こっており、雇用需要も生まれ賃金上昇余地があり、石川県では今後復興需要が生じるでしょう(震災予算は1兆円規模になりそう)。

 

これらを踏まえ継続的な利上げの可能性を考察します。

ヒントは要人発言などから得ることが出来るでしょう。

 

 

 

円相場の動き(ドル/円)

 

Fundalia(ファンダリア)の予想ですが、今回は『マイナス金利を解除のうえ、次回利上げにはハト派発言する』と予想しています。

 

これが正しいと仮定した場合、発表後のドル/円は円安になるでしょう。発表後の円高ポジションの利益確定と、将来の利上げ期待が縮小して円売りポジションが組まれる可能性が高いためです

将来的なインフレ予測あるいは金利見通しについて、もし日銀が強気発言をした場合は「強い円高」になるでしょう。逆に、据え置きだった場合は「円の失望売り」となります。植田BOJ総裁の発言内容(ニュアンスの強さ)にも左右されます。

 

 

 

ドルとの力関係も考える必要がある

2021年以降、150円まで上昇した猛烈円安は次のような構図で生じました。

ドル(利上げ)上矢印上矢印  円(頑なにハト派)下矢印下矢印

と一方的なトレンドが形成されました。

 

2023年以降に、円安が収まる思惑が起きたときは、次のように変化しています。

ドル(利上げ終了期待)上矢印 円(ハト派に終了気配)下矢印

トレンド弱まったことで、円高が起こる時期が見えるように

 

2023年後半になると、さらに次のような思惑が。

ドル(利下げ期待)下矢印  円(マイナス金利解除期待)上矢印

年末に150円まで売られたのは、この期待から

 

2024年現状は次の通り

ドル(利下げ期待後退)上矢印  円(出口戦略が確実に)上矢印

140円台後半で膠着

 

確かにマイナス金利解除やその後の利上げ期待は円高要因です。しかし、アメリカのインフレが落ちなくなったことで、5.25%と極めて高い政策金利を保持する見通しが強くなっていて、金利差が動きにくくなっています。当然、為替は膠着します。

 

もし、日銀の出口戦略で利益を求めるなら、6月利下げを示唆しているECB(ユーロ)と組み合わせて通貨ペアを作るのが良いでしょう。ユーロ/円(Short)やユーロ/ドル(Short)などが有効なトレード対象になり得るでしょう。ご検討なさってみても良いでしょう。

 

 

いずれにしても、政策金利の結果・声明文・植田BOJ総裁会見をよく観察しないといけません。

歴史の転換点になるでしょうか?楽しみです。

 

 

Fundalia(ファンダリア)