米・消費者物価指数が発表されます。ファンダメンタル分析の側面で事前考察しました。
ドル相場に関しても、見通しを書いていますので、参考にどうぞ。
投資判断は、ご自身の責任で行ってください。
Fundalia(ファンダリア)
背景
3/20FOMCを控え、さらには夏以降の利下げ時期を巡りCPIは重要な判断材料となります。もし思った以上にインフレ率が下がっていけば、利下げ時期は早期になるでしょうし、逆なれば然りです。
FRBのインフレターゲットは、PCEコアデフレータ(前年比)の2.0%に設定されています。CPIコア(前年比)は、PCEコアデフレータより0.5-1.0%ほど高く出る傾向があります。
注目点は、何と言ってもインフレ鈍化が継続するかです。下記にグラフを用意していますが、ダウントレンドが続くのか、踏ん張るのか?相場観を変化させていくでしょう。
ファンダメンタルな投資の流儀に沿って述べれば「ファンダメンタルがどう修正されるか?」という点が重要になります。
経済データ
まずCME金利予測は、下記のようになります。
一時、5/1FOMC利上げ確率は90%近かったのですが、今では随分弱気(22.5%)になりました。それでも約70%が6月に利下げと予測しています。発表後に、このデータがどう変化するかによってドル相場も値動きするでしょう。
6/12FOMCの利下げ確率は、1カ月前より上昇しています。マーケットは落としどころを見つけ始めています。
2024/2/13 時点の金利織り込み(CPI発表前)
米CPIデータも確認しています。
現在、CPIコアはFF金利(アメリカ政策金利)を大きく下回っており、CPIの先行指標であるPPIコアも非常に低くなりました。とはいえ、年末ころからインフレ動向は一時的に改善の動きを見せています。
今回、このトレンドがどう変化するでしょうか?
少し難しい話を1つ加えます。
金先物(以下ゴールド)の値動きについてです。直近で金先物価格は8日連続で史上最高値を更新しており、暴騰と言っていい展開が続いています。ではなぜ、ゴールドは高騰を続けているのでしょうか?
史上最高値を連日更新する 金先物チャート(日足)
1つは、長期金利が下がりつつあるからです。ゴールドという資産には金利や配当が付きません。ゆえに長期金利が下がると、他資産の金利や配当も減る為に相対的に資産的優位が生じます。つまり、投資家は金利を買う旨味を感じていると言えるでしょう。
ゴールドが上がることは、景気が弱まりインフレが下がり、金利が下がることでおきますから、基本的に景気悪化のシグナルとされます。CPIデータは、こうした視点でも読むべきでしょう。
同じように金利が付かない暗号資産も史上最高値を更新しています。
ただし、ゴールドには別事情があります。
中央銀行が大量にゴールドを買い込んでいる事象です。特に中国は米国債の保有額を急激に減らし、外貨準備にゴールドを組み込んでいるとされます。西側経済から切り離されつつある、中国やロシアはドルで通貨信用を保つことが出来なくなっていますので、ゴールド(黄金)を使うのは自然の流れでしょう。
脱線しましたが、ゴールドもインフレ鈍化を織り込んで値動きしています。
インフレ率と金利と為替の関係(基礎知識)
【基礎知識】
インフレ率(=消費者物価指数)は、経済指標の中でも非常に注目されます。しかし、消費者物価指数そのものが重要な訳ではありません。消費者物価指数が金利に強い影響力を持っていることが重要なのです。多くの投資家が勘違いしている点でもあるでしょう。消費者物価指数が金利を動かすようなデータであった場合、為替に大きな影響を与えます。
インフレと金利、そして為替相場の関係は下記図によって説明できます。
金利差理論の理論モデル
Fundalia(ファンダリア)が推奨するファンダメンタル投資は、この理論モデルを基礎に置いて行われます。インフレ率が上がれば為替はどうなるのか?そしてインフレ率が上がるには何が必要か?こうした知識を持つことで、少し遠くの為替相場を見通すことができるようになります。
インフレが上がってから、為替が上がるまでにタイムラグが存在するからです。
【豆知識】
アメリカにはインフレ率に関する経済指標が数多くあります。消費者物価指数、生産者物価指数、PCEデフレータ等々です。このうち代表的なものが消費者物価指数とPCEデフレータです。つまりアメリカには、インフレ率が2つある事を意味します。
消費者物価指数(CPI)は「最も注目されるインフレ率」です。知名度も高く注目度は高いです。またPCEデフレータより先に発表されるため、速達性にも優れています。
PCEデフレータは「最も重要なインフレ率」です。FRBはインフレ率が2%になるよう行動することが求められています。高ければ利上げ、低ければ利下げをしますね。ここでいうインフレ率とは「PCEコアデフレータ(前年比)」です。CPIではありません。それゆえ重要性はこちらが上となります。
ただ、注目度が高いCPIの方が発表後の値動きは荒くなりやすいようです。
ドル相場への影響
2024年に入ってドル/円は盛り返していました。しかし、直近では値崩れを起こしています。1月に始まった、米インフレ論が弱まり始めたのが主因でしょう。シカゴ通貨先物は2月下旬に、近年で最大の円売りポジションが構築されています。これが崩れるタイミングこそ、円高回帰のタイミングです。
青い棒グラフが下に伸びるほど円安圧力となる
発表後の値動き予測(ドル/円)
予想値や前回値に対して、素直な値動きになるでしょう。
予想よりかなり強いデータならばドル/円は買われるでしょう。直近で売られただけに、反動で買われやすくなるでしょう。逆に、かなり弱いデータでFRBが利下げ時期を早めるという思惑が立てば、ドル/円は値崩れを起こします。シカゴ先物のポジションがある程度崩れるでしょう。
予想通り近傍だった場合、不透明ながらもドル買いになるとFundalia(ファンダリア)では想定します。ただトレードには不向きな相場になるでしょう。利益確定・損切りも入り混戦状態になりそうです。
強かった場合、次のようにファンダメンタル修正がおこなわれます。
ドル 利下げ期待
長期金利
米国株価
そしてもう1つ。
来週にFOMCが控えている点も考慮が必要です。今日のCPIと14日の小売売上高、PPIデータが揃うと、データを踏まえてFOMCがどういう反応をするかにテーマが移ります。思惑の移り変わりが相場を動かすでしょう。思惑次第の為、難度が高いトレードを強いられます。
宜しければ参考になさってください。
なお、記事内容に対する責任は負いかねますので、ご自身の責任での活用をよろしくお願いいたします。
個人投資家には、ファンダメンタル分析が必要だ!
Fundalia(ファンダリア)