印象派の絵画、とりわけモネの作品はもう見飽きるほど見た気がして、先月末まで上野の森美術館で開催されていた「モネ 連作の情景」はスルーした。が、ちょうど入れ違いのタイミングで東京都美術館で始まった「印象派 モネからアメリカへ」については、モネが見たいというより印象派にインスパイアされたアメリカ人画家の作品、とりわけジョン・シンガー・サージェントの作品を見たくて足を運ぶことに。
が、フタを開けてみれば、美術館所蔵用としては世界で最初に購入された作品だけのことはあって、これまでに見てきた数多くのモネの「睡蓮」の中でもこれは本当に美しく、「見飽きた」とか言った舌の根も乾かぬうちに「やっぱりモネの絵画は素敵だなあ」と呑気に感心してしまった。
その一方、お目当てのジョン・シンガー・サージェントの作品のほうは——風景画は私にはあまりピンと来ず、サージェントと言えばやはり肖像画でしょ、と思うのに、肝心の肖像画「キャサリン・チェイス・ブラット」は、
せっかくサージェントが引き受けて肖像画を描いてくれようとしていたのに、下絵の段階で依頼主であるキャサリンの父親が気に入らず断ってしまい、未完で終わるというもったいなさ。このバカ親父、何をしてくれとるんじゃああああ!