First Chance to See...

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エコ生活、まずは最初の一歩から。

 オーストリア・ハンガリー二重帝国の皇后エリザベートは、イギリスで狐狩りを楽しんだ際、彼女の先導役を務めたジョージ・「ベイ」・ミドルトンと恋に落ちる。この二人の史実に基づく恋愛模様を描いた現在製作中のオーストリア映画「Corsage」で、私のご贔屓役者の一人コリン・モーガンがベイ・ミドルトン役を演じているらしい。ということで、同じ主題を用いて書かれたデイジー・グッドウィンの小説、The Fortune Hunterを、事前の予習として読んでみることにした。

 

 

 若くて独立心旺盛なシャーロットは、オシャレよりも恋愛よりも趣味の写真撮影に夢中。今は亡き母親から莫大な遺産を受け継ぐ女相続人でもあるが、いかんせんまだ未成年なので、何をするにも腹違いの兄フレッドの許可が必要という立場にある。フレッドとしては、彼自身には資産らしい資産がないため、妹とはずっと懇意であり続けたいし、妹には自分の親しい軍人仲間で資産家の誰かと結婚してほしい(家族ぐるみの付き合いを永続することにより妹の資産が自分の資産も同然になる)と願っているが、よりにもよってシャーロットが恋に落ちたのは、フレットの軍人仲間の中でも一番の女たらし、ベイ・ミドルトンだった。

 

 ちょうどその頃、ウィーンの宮廷から逃れるように旅を続ける皇后エリザベートが「お忍び」でイギリスを訪問する。大の馬好きの彼女は、イギリスでのハンティングを体験したくてしようがないのだ。地方のマナーハウスでエリザベートご一行をもてなす羽目となったスペンサー卿は、自分の部下で乗馬にかけてはイギリス一のベイ・ミドルトンを呼び寄せ、エリザベートの狩りの先導役を命じる。

 

 シャーロットとの恋愛真っ只中のミドルトンは、孫もいる年増の皇后とやらに全く関心がなかったけれど、貴族でも資産家でもない一軍人の彼にノーと言う権利はない。が、いざ狩りが始まってみると、ミドルトンは彼と同じレベルで馬を走らせ柵を飛び越えるエリザベートの乗馬技術に感嘆する。加えて、年齢を重ねたとは言え並々ならぬ努力で維持されているエリザベートの美貌。かくしてミドルトンとエリザベートの心的距離はどんどん近づいていく。さて、シャーロットとミドルトンとエリザベート、この三角関係の行方やいかに?

 

 作者によると、登場するのはすべて実在の人物とのこと。ただし、その心情は作者の想像に依るらしい。ミドルトンとエリザベートのことは知っていてもシャーロットのことまでは全く知らなかった私は、おかげで歴史小説でありながら物語の行き着く先が見えず、読んでてヤキモキやらドキドキやらが止まらなかった。

 

 ロンドンでのオペラ公演やマナーハウスでのキツネ狩り、ヴィクトリア女王を招いての大写真展、さらにはグランド・ナショナルと呼ばれる障害競馬など、想像しただけでわくわくするような舞台背景が次から次へと登場する。そういう点でも読んでて退屈しないが、でもこの小説をそのまま映像化するとしたら予算がいくらあっても足りない気もする。が、映画「Corsage」はオーストリア製だから、同じエリザベートとミドルトンの恋愛模様を描くにしてもきっと全く別のアプローチになるはず。実際、この小説のエリザベートは38歳という設定だったが、IMDbによると映画のエリザベートは40歳になっているらしい。ふふふ、映画もいよいよ楽しみになってきたぞ。

 

追伸/The Fortune Hunterには、エリザベートに随行するハンガリー貴族の女官がミドルトンにお菓子を勧める場面がある。

 

'This is a Hungarian cherry torte, Captain.  Even the Empress likes this.'

 

 甘党じゃないミドルトンにとってはありがたくない申し出だったため、「ハンガリーのさくらんぼケーキ」についての具体的な描写は出てこない。ミドルトンと違って甘党の私は、エリザベートも好きだというさくらんぼケーキに興味津々なのに!

 新型コロナウイルス感染は、全世界的にみて、収束どころか再び拡大しつつある。この調子じゃ来年も、能天気に海外旅行するなど到底できそうにない。

 

 というわけで、半ばやけっぱちの出来心から、私の自宅から1時間とかからない場所にあるクラシックホテルに宿泊してみることにした。

 

 

 ホテルニューグランド。1927年の創業で、横浜市の歴史的建造物に認定されている。が、私はこれまで宿泊はおろかレストランやカフェを利用したことすらない。コロナ禍で遠方への移動自体が憚られる昨今、敢えて自宅近くのホテルに宿泊し、ちょっとした旅行気分を味わうのは、悪くない手ではなかろうか。

 

 実際に体験してみると、リフレッシュ効果は想像以上だった。普段から一人暮らしの私が一人でホテルに宿泊したところで何がどう変わるのかと思わないでもなかったけれど(であればこその「やけっぱちの出来心」である)、旅行用のバッグに荷物を詰めて家を出て、レセプションでチェックインして、クラシックホテルならではの素敵なお部屋に入ってみると——自分でもびっくりするくらいテンションが上がった。

 

 

 窓の外では、

 

 

 空と海の青色に、銀杏の黄色がよく映えていた。

 

 ホテルの周囲には、横浜中華街とか元町とか山下公園とか、観光客に楽しい散策スポットがたくさんある。が、川崎市民の私にとっては来ようと思えばいつでも来られる近場エリアでもある。なので、中華街で月餅と中国茶を買った以外、ほとんどの時間をホテルの部屋に籠ってKindle片手に楽しく過ごした。

 

 

 夕食用に事前に予約したホテルのテイクアウトメニュー、ビーフカツスライダーも美味しかったし、ついでに言うとホテルのすぐ近くのカフェでテイクアウトできた、コスタコーヒーのフラットホワイトも実に美味だった。

 

 日常生活からちょっとだけ離れた、ちょっとした贅沢。滅多にできることではないからこそ、余計に沁みる。

 

 

 こちらは、本館2階の宴会ルームのエリア。結婚式等で使われていなければ、一般の宿泊客も普通に立ち入れるし、ソファに座って閑談していてもOK——だと思うけど、天井が高く、クラシックホテルならではの素晴らしく贅沢な空間なのに、実際にここで時間を潰している人はほとんどいなかった。私なんざ、ソファ席に一人でぼんやり座っているだけですごく贅沢な気分になれたんだがな(我ながら何て安上がりな)。

 サーティーワン・アイスクリームに続き、ハーゲンダッツでもアイスクリームのザッハトルテを発売するというので、いそいそと試してみた。

 

 

 想像していたより、ちょっと小さい。でも、寒い時期に食べるなら、私としてはこのくらいのサイズのほうが助かる。

 

 さて実際に食べてみて、ザッハトルテっぽいかというと……チョコレートのコーティングにアプリコットソースがたっぷりはさまれていて酸味は十分、逆に甘みはそんなに強くない。むしろチョコレートもアイスもほろ苦で、大人のデザートして間違いなく美味しいものの、ザッハトルテには脳天にがつんと来るような甘さを期待する身としては、ちょっと違和感がある。何より、チョコレートのコーティングの口触りがつるっとしていて、ザッハトルテ特有の、あの砂糖のしゃりしゃり感がなくてもどかしい。

 

 あのしゃりしゃり感、ググってみたら大量の砂糖を使ったグラサージュという製法によるものらしい。初めて食べた時は、正直「何だこれ?」と思ったが、何度か食べるうち、次第に「これでなきゃ」と思うようになった。かくして過激な甘さに舌がどんどん慣れていく。それはそれでヤバい。