Learning to Fall: A Novel | First Chance to See...

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エコ生活、まずは最初の一歩から。

  英米の読書界には、馬にまつわる小説の一大水脈があるらしい。日本での需要がまったく見込めないせいか、日本語訳は出ていないが、Amazon.comでウィーンのスペイン乗馬学校関連の洋書を漁っていた私の元には、英語で書かれた数々の馬小説のおすすめが届く。

 

 Learning to Fallもその中の1冊で、ためしに読んでみようかなと思ったのは、Amazonでの評価が割とよかったことに加え、表紙のイラストがなかなか素敵だったから(あと、乗馬素人の私にも読めるようなスペイン乗馬学校関連の本がさすがにもう見つからなくなったってのもある)。

 

 

 主人公のブリンは、馬3頭を積んだトレーラー車に乗って、父親と一緒に障害馬術(show jump)の大会に向かおうとしている。そこそこ有名でそこそこ一流の乗り手である父親は乗馬指導の牧場を経営していて、一人娘であるブリンに競技者としても経営者としても自分の跡を継いでくれるものと期待しているが、ブリンは現在通っている獣医学校を1年後に卒業したら獣医の道に進みたいと願っている。自分には父親ほどの情熱や才能はないと思っているからだが、父親に本心を打ち明けることができない。一方、母親のほうは、馬が怖いというだけでなく、夫や娘が落馬して大怪我するんじゃないかと常に恐れているため、ブリンが獣医になることにむしろ賛成している。

 

 そこまで馬が怖い人がどうして親の反対を押し切ってまで障害馬術で生計を立ててる人と恋愛結婚したのかはイマイチ謎だが、それはさておき、馬3頭を積んだトレーラー車が交通事故を起こし、その結果として父親は死亡。否応なしにブリンが牧場の経営や乗馬の指導に携わることになったが、そこで初めて牧場が実は大赤字、近いうちに借金を返済しないと抵当流れになってしまうことを知る。そこでブリンは、獣医学校をいったん休学し、牧場の知名度アップと顧客獲得、そして何より一攫千金のため、障害馬術のグランプリ優勝を目指して本格的に障害乗馬の訓練を行うことにした——。

 

 さくさく読めるし、ほどほどに話の続きも気になる。良い意味でも悪い意味でも、エンターテインメント小説だなと思う。読んでいる最中はおもしろかったから文句はないけど、でも英米の馬小説の一大水脈の残りも大体こんな感じなら、とりあえず1冊読んで気が済んだのであとはもういいや。

 

 なお、Learning to Fallのタイトルから予想される通り、主人公は落馬する。けど、これはネタバレとは言わないよね?