『マシュー・ボーンのシンデレラ』 | First Chance to See...

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 第二次世界大戦下、ドイツ空軍の空襲で焼け落ちるロンドンに、プロコフィエフ作曲のバレエ音楽「シンデレラ」がゴージャスかつ不穏に鳴り響く。

 

 

 マシュー・ボーンによる読み替えは、今回も大成功だと思う。12時で解ける魔法も、なくした片方の靴も、どちらも「空襲下のロンドン」に(残酷なくらい)マッチしていた。私は最初、シンデレラの父親が再婚した相手には(通常の)姉妹2人だけでなく兄弟3人もいるという設定に変更されたとは知らず、「下宿屋でも営んでいるのか?」と混乱したけれど、第一幕が終わってロビーに貼られたキャスト表を確認したら、ちゃんと「5人兄弟」と書いてあった。ちっ、最初からチェックしておけば良かったぜ(苦笑)。

 

 シンデレラの義理の5人兄弟たちは一人一人がきちんと描き分けられていて、群舞でもそれぞれのキャラクターに合わせた振り付けになっている。おまけに、『マシュー・ボーンの眠りの森の美女』と同様、舞台の脇のあちこちでミニドラマが進行していて、初見では主役のダンスに集中したらミニドラマを見逃し脇のミニドラマに集中したらダンスを見逃すという、楽しいジレンマも健在だった(でも、ゲイのお兄さんの恋の行く末が気にならない人なんている?!)。

 

 11月には、この舞台の映画版が日本でも上映されるとのことなので、今回いろいろ見逃したであろう細部をじっくり確認させてもらうつもり。でもきっと、「脇のミニドラマもカットしないでもっと映してよ〜〜〜」と思うんだろうな。

 

追伸/劇場への各入り口には「お客様へのご案内」として「空襲警報」の掲示が貼ってあった。

 

 

 「KEEP CALM AND CARRY ON WATCHING」だなんて、ほんとシャレてる!