あと一週間足らずで新年度が始まるので、もう遠く過ぎ去ったことになっているかもしれませんが、各設問の何がポイントだったのか残しておきます。自分自身のための備忘録という意味もあるのですが。
問題自体を載せると、来年度以降の受講生に悪い影響を与えるかもしれないので、そこは自粛と。来年度以降も同じ問題を出すということは全くありませんよ。
なお、簡略版はUNIPAの方にも載せていますが、おそらくまもなく講義の「クラスプロファイル」自体が無くなってしまうかと。
問題1はこの講義のキーワードである〈仲介者〉についての設問。全てのジャンルでは回答しにくいので、小説と短歌について個別に回答を求める形にした。ポイントは読者を導く正の影響と読者と作品の間を遮る負の影響の両方について説明すること。
負の影響についてまで書いている人を満点としました。
※満点はあまり出ず。作品と読者を繋げる方だけ書くと安心するのかもね。
問題2は日本近代の文学における「改良」というイデオロギーについての問題。文学者たちが「良」いと思いこんでいた方向性によって、前近代のテクストの評価にどのような偏った影響が与えられたかを説明してもらった。
具体的な作品を例に出して偏ったものだということをはっきり書いているのが望ましい解答です。
※「前近代」がわかっていないとか、何を問われているのかもわかっていない解答がけっこうあったのが残念。
問題3も「改良」の方向性の偏りについての問題。問題1では取り上げなかったジャンルである詩と演劇・戯曲について、海外の文学をいかに誤解し優れたものと思いこんでいたか、ということを説明してもらえば正解。
※一番最近に取り上げた演劇・戯曲の方が全く書けていない人がわりといたのが意外でした。
問題4は講義で出てきた文学用語のうち小テストでは問わなかったものを解説する問題。「私小説」については、高校の文学史のような説明ではなく、最近の研究におけるとらえ方まで答えなければ減点とした。「題詠」については、近代になってからの評価の変化まで説明しているものを正解とした。
※前者については、他の講義で学んだと思われる古くさい共通の記述があって正直余計だったが、厳しく減点とはしませんでした。
問題5は小テストでは出題しなかった作家について説明する問題。あえて中学・高校の国語の教材になっていない人たちを選んだ。近代的な文学観に対してどのような立場を取っていたかが書かれていると正解。
※書けていない人が一番多かったのは、やはり小テストで類似の出題が無かったからか? しかし、ジャーナリスト小説家の人の方はまだしも、詩人は超メジャーな人を選んだんですがねえ。
問題6は「近代」における「文学」についてのイデオロギーを答える問題。全体を見通していずれのジャンルにもある個性の重視・リアリズム重視について書いてほしかったのだが、第1回に説明した産業資本主義下という条件について書いた人も多かったので、後者についても正解にした。
※これは出題のしかたが良くなかったので、キーワードを指示するべきだったかもしれない。もっとも、「文学についての見方」と文学をとりまく条件とは本来違っているのだが、なにしろ後者を答えた人が多かったので妥協妥協と。
問題7は論述問題、問題6で(本来)問うていた「近代」における「文学」についてのイデオロギーに対する自身の見解を書く。まずそれについてのとらえ方が正確かどうかがポイント。後はどれだけ具体的な作品をあげて論拠を示せているかが評価基準となった。
※本当は、講義で取り上げていない作品にふれて欲しかったのだが、指示の仕方が悪くてそうならなかった。来年度の反省材料である。