こんにちは。和久田ミカです。
マザーテレサといえば愛の人。
ノーベル平和賞を受賞したことも有名ですね。
インドのスラム街で 貧しい人たちの手助けをしてきました。
そのマザー・テレサが、まもなく最期を迎えようとしているときです。
彼女のところに現れたのは、神ではなく、悪魔でした。
恐れを感じ、バチカンに悪魔祓いを依頼しましたが、悪魔は立ち去りません。
テレサは落胆しますが、どん底まで落ちたとき、ふと気が付きます。
「私は、どんな人であろうと、無条件に受け入れてきた。
たとえ傷口から膿が出ていようと、キスをして、看取ってきた。
私が 最期に抱きしめなければならないのは、悪魔かもしれない」
そして、マザー・テレサは悪魔とハグをしました。
私は、小さいころずっとキリスト教会に通っていたのですが、聖書の中で悪魔はとても邪悪な存在です。
人を惑わせ、イエスを苦しめます。
修道女であったテレサが、その悪魔を抱きしめるだなんて、ものすごい覚悟だったにちがいありません。
悪魔はハグをした後、消えてしまいました。
テレサは、お金や権力を嫌う人生を送っていました。
飛行機に乗るときには、「お金がないのだから」と無料で搭乗できるよう要望します。
権力者からの寄付には欺瞞を感じ、受け取りを拒否したこともあったそうです。
清廉でいたい、という思いは、お金や権力が好きな人に対しての嫌悪を同時に宿します。
どこかで軽蔑をしたり、否定をしたりする思いがあったのかもしれません。
だからこそ、死を迎える間際に、私利私欲の象徴である悪魔との和解が必要でした。
「悪魔を抱きしめること」
は、自分の影の部分を認めるということです。
こっそり隠しておいたブラックな思いと和解すること。
誰にも見られたくない醜いわたしを 光のもとに出すこと。
ハグによって 内面の「統合」が起こったのです。
cocoparisienneによるPixabayからの画像
心理学者ユングは、
「人生前半の課題は、自我を確立することである。
人生後半の課題は、自己実現（＝個性化）を進めていくことである」
と言いました。
「自己実現」とは、（さまざまな解釈はありますが）自分の中にある様々な要素を すべて統合していくことです。
「こんな私も私」
「あんな私も私」
光の陰にある暗闇にも目を向け、理想とちがっている自分も受け入れていくこと。
それが、本当の「自分らしさ」につながっていくと言っています。
自分の中に「闇がある」ことを認めて、自分の中で受け入れると 本当の意味での安らぎが訪れます。
私の場合、子育てがそうでした。
私は、父と母に対して 大きな怒りを持っていました。
「親ならば、こうあるべきだ」
と理想を並べて、ずっと心の中で非難してきました。
でも、いざ自分が親になってみてわかったのは、子どもを憎いと思うことがあるということです。
娘は赤ちゃんの頃から、とても敏感な子で ぐずり女王。
イヤイヤ期のころは、始終不機嫌でいる娘を 怒鳴りつけたことがあります。
今は、思春期ゆえの生意気な口ごたえを聞き、のど元まで
「誰に育ててもらってると思ってるの！？」
と言いたくなる自分がいます。
本気で腹が立ってしまうことも。
私が親になったら、やさしいお母さんになるんだ。
父のように、子どもを叩くなんて言語道断！
立派な親になるんだ！！
そんな思いは、もろくも 崩れました。
残念だけど、私の中にも 両親と同じものがあることに 気づいてしまいました。
とても がっかりしたのだけど、そんな自分も 受け入れることにしました。
うまく子育てできない自分
怒りを抱えている自分
見たくない自分
こんな私も、自分自身なのだ、と 自分とハグハグしました。
そうしているうちに、いつしか 両親のことはすっかり許していました。
今は、まったく わだかまりがありません。
あんだけ、恨んでたのになあ。不思議なものです。
自分の中の悪魔を愛すること。受け入れること。
悪魔とハグハグして、自分の中で統合していくこと。
子育ては、ときに 私たちの中の悪魔を見せてくれる時期です。
でも、それはチャンス。
ハグハグしちゃったら、何もこわいものはありません。
本当の意味での 心の平安が訪れるのだと、私は感じています。
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