愛着障害・母親に捨てられた子を受け持ったときの話 | 子育ては「聞く」が9割でうまくいく~心理学ブログ

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小学校教員 9年間の経験を生かした、子育ても 生きるのも 楽になるヒントが詰まっています。

こんにちは。和久田ミカです。

 

今日は、小学校教師時代の話を。

 

私が、教職1年目で 受け持ったフミオと愛着障害について書こうと思います。


この子は 赤ちゃんのときに 母親に捨てられ、祖父母のもとで ネグレクトに近い状態で 育っています。

とっくに成人していますが、忘れられない子の 一人です。

 

 

下は、当時立ち上げていたHPで公開していた記録です。

30年ちかく前に書いた文章なので、文体が違いますが、よろしかったご覧ください。

*プライバシー保護のため,名前等について 架空の設定をしています。
 

フミオは,3年生にしてはかなり幼い感じのする子だ。

顔はおサルさんみたいで,背が小さい。舌ったらずにしゃべる。


しかし,そんなかわいらしさとは裏腹に,1年生のときに,

校庭の木にライターで火をつけて燃やしてしまったり,

教室のガラスを故意に割ってしまったりしたことがある。

フミオは,1歳のときに 母親が家を出て行ってしまったため 祖父母と父に育てられた。

しかし、きちんと面倒を見ているかというと そうでもないようだ。


フミオと私の初めての会話は,

「僕ね,三百億万円持ってるんだよ。」

だった。


少しでも気に入らないことがあると 体を硬直させて何時間でも立ちすくむという話を,事前に聞いていた。

前担任は,

「そーゆーときは,ほっとけばいいの。」

と言った。

わたしは,”放っておく”という言葉が気にかかった。


フミオがパニックを起こすときは,決まって「どーせ 僕なんか」という気持ちが見える。

例えば,じゃんけんに負けても,勝ったと言いはり すねてしまう。

私にそのウソを信じてもらえないと,怒り出して 教室の隅でずっと立っていたりした。

いろいろと問題を起こしては,そのたびに 私が誰の味方をするのかを観察しているようだった。


放っておくよりは,スキンシップを取った方が落ち着くのではないかと思い,

パニックが始まると抱っこをしたり 抱きしめたりするようにした。



数日後,授業中に 突然泣き出すようになった。

きっかけも 前ぶれもなく,いつも突発的にである。

理由なく おえつをし始め,教壇にいる私に抱きつき 離れない。

まるで,赤ん坊そのものだった。

抱きつかれると,不思議に いとおしさがこみ上げてくる。

彼は,顔を真っ赤にして 胸に顔をこすりつけて泣いた。

 

 

赤ん坊は,泣けば母親が飛んできて 抱き上げてくれる。

そういった経験を 今取り戻そうとするかのように,日に何度も泣き出した。


しかし,私は母親ではなく,30数人の児童の担任である。

そのままでは,授業が進まないし,他の子もやきもちを焼く。

「お勉強しなくちゃ,ね。」

と,席へ戻そうとすると 懇願するように私の顔を見上げる。

駄目だと悟ると,走り出して家へ帰ってしまう。


そのたび 私は授業を中断して追いかけた。

家庭に相談しても

「まったく しょうがない奴で」

と言うばかりで,改善の兆しが見えなった。

新米の私には 荷が重く,今振り返っても苦しい時期だった。


そんな中一番心に残っているのは

「前の先生の方がよかった」

という彼の言葉である。

抱っこして落ち着かせようとした矢先,そう言って いつもよりもキツく抱きついてきたことがある。


わたしのスキンシップは,彼の独占欲を 過剰に引き出してしまったのかもしれない。

先生(=母親)に甘えたい気持ちを,諦めたり 反抗したりすることでずっと押さえてきたのに,

私がその封印を解いてしまったのかもしれない。

いくら抱きしめても,甘えさせても 私は彼の母親にはなれない。

母親代わりを気取ることが,かえって彼を不幸にするのだと やっとわかった。



こんな状態が1ヶ月ほど続き,だんだんと落ち着きが見られるようになった

私自身が 彼にダメなことはダメと,強く言えるようになったことも大きい。


フミオは,相変わらず

「僕の家にはね,百万千億冊の本があるんだよ。」

なんて言っている。

彼は,大人がどんな大人に育つのだろう。

どうしても,フミオが大人になった姿が目に浮かばない。

(記録ここまで)
 



当時ホームページに載せていたところ、児童養護施設で 育った方から メールをいただいたことがあります。

「共感しました。

寮母さんが 母親のような態度を取ることで、封印が解けるような気持ちになることがありました。

でも、他人は 母親には なれないのです。

ミカさんは、そのことに 気づいたんですね。よかった。」



今思えば、フミオは愛着障害だったのだろうと思います。

私は精神科医ではないので 断定することはできませんが、愛着障害の子は

●ものすごくベタベタしてくる

かと思えば、

●ふとしたことで暴れたり、逆切れ、パニックを起こす

●悪いことを指摘されると固まってしまう

●よいことをほめられても反応しない

といった特徴を持っています。

だから、人間関係を構築するのが 困難になります。


先天的な障害なのか、後天的な愛着障害なのか、

見分け方がむずかしいですが、愛着障害の子は 脳に特徴があります。


福井大学医学部附属病院友田明美教授などの研究によると、

● 反社会的行動を抑制する信号を発する前頭皮質の体積が減少

●前頭皮質からの信号を受け、行動を起こしたり抑止したりする線条体のはたらきが低下

している状態です。

 

改善に向けてさまざまな研究がなされているけれど、人間対人間のやりとりによる改善が基本なのだそう。

 

 

愛着障害については 本も出ているので、興味がある方は読んでみるといいかもね、下に参考図書を書いておきます。

 

 

追記:フミオの名前で検索したら、今は自営業で働いていることがわかりました。とてもうれしかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

↑タイトルが変だけど、これも愛着障害を書いたものだと思います

 

 

 

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