「2023年 第9回向後文学大賞発表」
今年は傑作揃いで、審査員一同(と言っても一人ですが)、相当選考に苦労しました。
「ヒトラーの試写室」では、戦中の日本の特撮技術の高さに驚かされました。「東洋の哲人たち 史上最強の哲学入門」は、これまで読んだ東洋哲学の解説書の中で最もわかりやすい本でした。
「一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書」は、こんな本が歴史の教科書だったら・・・と思いました。
「見えない暗闇」は、1990年代後半に今の世界を予言したような小説。
僕らは、今「地球星人」に描かれているような工場の中で生きているのかもしれません。
「街とその不確かな壁」は、村上春樹ワールド健在と感じさせます。
「シニア右翼」を読んで、なぜシニアが右傾化していったのかが見えてきました。
「最後の変身」に描かれている人々のように、僕たちは周りに合わせてかりそめの自分の変身し続けているのかもしれません。
「津波の霊たち 3・11 死と生の物語」は東日本大震災の話です。忘れてはいけない、語り続けるべき物語です。
「黄色い家」に登場する人たちは、全て、いわゆる「負け組」と呼ばれる人たちです。彼らの視点からの物語は、今必要だと思いました。
「母という呪縛 娘という牢獄」は、医者になることに過度に固執した狂気の受験の物語で、実際の事件を小説にしたものです。
「JR上野駅公園口」は、東日本大震災の被災者の者の物語です。で「絆」という綺麗な言葉からは見えない人たちを描いています。
「君が戦争を欲しないならば」は、高畑勲さんの遺言ともいうべき本です。
「万事快調<オール・グリーンズ>」は、村上龍さんの大傑作「69」を思い出させる小説です。きっと若者たちがこの硬直した世界を壊して再生させていくでしょうと感じました。
日本人の同調圧力は、たくさんのアイヒマンを生むにではないかと感じさせたのが、「アイヒマンと日本人」。
「天才と異才の日本科学史」では、日本人の凄さと、その凄さの足を引っ張る暗部が描かれています。
今年最後に読んだ「死んでたまるか」は、相場ですっからかんになり、その後始めた酒場経営にも失敗し、中学の英語教師という真っ当な職についたものの3年で辞め、ポルノ作家になった団鬼六さんの自伝エッセイ。人生ってわからないもんだなぁと思いました。
*ちなみに、お友達の皆様の作品はノミネートしておりません。バイアスが入っちゃうので・・・。
これらの候補作の中から悩みに悩んだ結果、向後文学賞は以下の通り決定いたしました。
大賞受賞作(最近出版された本から選考)
「黄色い家」 川上未映子 著 中央公論新社
「母という呪縛 娘という牢獄」 齊藤彩 著 講談社
特別賞受賞作(5年以上前に出版された本から選考)
「死んでたまるか」 団鬼六 著 ちくま文庫
「君が戦争を欲しないならば」 高畑勲 著 岩波ブックレット No.942
候補作
「死んでたまるか」 団鬼六 著 ちくま文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12831140374.html
「天才と異才の日本科学史」 後藤秀機 著 角川ソフィア文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12828687725.html
「アイヒマンと日本人」 山崎雅弘 著 祥伝社新書
https://ameblo.jp/heartc/entry-12826922897.html
「万事快調<オール・グリーンズ>」 波木銅 著 文春文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12825819134.html
「君が戦争を欲しないならば」 高畑勲 著 岩波ブックレット No.942
https://ameblo.jp/heartc/entry-12821960905.html
「JR上野駅公園口」 柳美里 著 河出文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12809412628.html
「母という呪縛 娘という牢獄」 齊藤彩 著 講談社
https://ameblo.jp/heartc/entry-12809411841.html
「黄色い家」 川上未映子 著 中央公論新社
https://ameblo.jp/heartc/entry-12806299999.html
「津波の霊たち 3・11 死と生の物語」 リチャード・ロイド・パリー 著 ハヤカワ文庫NF
https://ameblo.jp/heartc/entry-12804307066.html
「最後の変身」 平野啓一郎 著 文藝春秋
https://ameblo.jp/heartc/entry-12804306859.html
「シニア右翼」 古谷経衝 著 中高新書ラクレ
https://ameblo.jp/heartc/entry-12803402520.html
「街とその不確かな壁」 村上春樹 著 新潮社
https://ameblo.jp/heartc/entry-12799135180.html
「地球星人」 村田沙耶 著 新潮文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12797028880.html
「「見えない暗闇」 山田太一 著 朝日文芸文庫」
https://ameblo.jp/heartc/entry-12792479161.html
「一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書」 山崎圭一 著 SBクリエイティブ
https://ameblo.jp/heartc/entry-12790263704.html
「東洋の哲人たち 史上最強の哲学入門」 飲茶 著 河出文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12784645573.html
「ヒトラーの試写室」 松岡圭祐 著 角川文庫
https://ameblo.jp/heartc/entry-12784252519.html
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