「「死んでたまるか」 団鬼六 著 ちくま文庫」 

相場ですっからかんになり、その後始めた酒場経営にも失敗し、中学の英語教師という真っ当な職についたものの3年で辞め、ポルノ作家になった著者の自伝エッセイです。

 

「ジャパニーズ・チェス」は、戦時中勤労動員で軍需工場で働いていた中学生時代の著者たちとアメリカ人捕虜との将棋を通した交流の物語。切ない話です。大人たちは戦争をしているけど、子供には関係ない。敵も味方もないんです。

 

「ショパンの調べ」は、英語のテストで、ショパンをチョピンと書いてしまった大学生時代のお話。

 

「頓死」は、当時のトップスター高橋貞二とのエピソード。「もしあの時、あの偶然がなかったら・・・」「もしあの時、別の決断をしてたら・・・」というお話。人生とはわからないものです。

 

「思い出のたこ」は、たこ八郎との思い出。たこ八郎は、著者の事務所の住み込み社員という形の内弟子だったのだそうです。そのたこ八郎は、著者にとっても彼にとっても思い出の地であった真鶴で酒に酔って溺れ死んでしまいました。その時のスポーツ新聞の見出しは、確か「たこ海で溺死」だったと記憶しています。

 

「透析拒否」では、73歳の時、1週間の検査入院が我慢できず、ある日病院を抜け出して銀座のクラブで飲んでいたら、その病院の担当医師と鉢合わせしてしまったというやんちゃぶりです。

 

その後結局透析はすることになりますが、80歳でなくなるまでやんちゃぶりは変わらず、この本のタイトル「死んでたまるか」をえらく気に入り、2010年の年末、末期癌の身でありながら、130人を超える参加者と出版記念パーティーを決行したのだそうです。

あっぱれな最期です。かくありたいと思いました。

 

 

 

 

 

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