Head&Tail係長(主任)の職場では、テレワークから物理的な出勤での切り替えが少しずつ増えてます。
主任の仕事には、業務シフトの作成も含まれます。「Withコロナでも仕事頑張ろう」は良い兆しですが、主任の業務は確実に増えるので「泣き笑い」です。
さて下図(いわゆる物権法曼荼羅)では、受験を想定されて民法を学ぶ方用に(宅建士と行政書士を含めた)受験上の重要度を勘案して色分けをしています(赤が濃いほど重要)。
ただし、一言に受験といっても宅建士と行政書士では試される知識の範囲やレベルが異なり、本来決して一緒くたにはできません。(例えば宅建士の担保物権では留置権、先取特権、質権の重要度は抵当権に比べれて格段に低い)。
しかしながら、宅建士から行政書士へと順を追って法律系資格の取得をしたい方、さらには実務者として民法の知識を仕事に役立てたい方にはどれも外せない知識です。
こと担保物権に関しては、留置権のような比較的シンプルな仕組み(代金払うまで物を引渡さない)や、そこでの論点を知ることで担保物権全般の理解が促されるはずです。
だからもう少しだけ留置権を続けてくださいね。その際、債権法で学んだ知識も適宜振り返りながら学ぶと更に理解が深まりますし、債権法の復習にもなります。
ということで、今回は、留置権の成立要件の牽連性以外、残りの3つの要件を終えたい。と思いましたが、一点だけ債権法と関係するポイントを見ておきましょう。
●前回の牽連性のことろで、既視感(=デジャブ)を抱いた方も多いと思います。
それもそのはず、牽連性は債権法の「同時履行の抗弁権」のところでも出てきました。同時履行の抗弁権は、「相手の債務の履行がなされるまでこちらも債務の履行を拒める」権利でした。そして、その際、「相手の債務とこちらの債務の間には牽連性が必要」でした。詳しくは第87、88回配信を参照くださいね。
ここで、更なる知的好奇心が湧いてくると思います。そう、「そもそも同時履行の抗弁権と留置権ってどう違うの?」という疑問です。
同時履行の抗弁権も、留置権も、いずれも相手の債務の履行を促すために自分の債務の履行を拒めるという公平性を重んじる権利です(※またもや民法さんの公平な性格が滲み出てます)。でも違いがあるからこそ別々に規定がある。
その違い、くだくだと説明をしてもかえって混乱するといけません。だから表にしておきましょうね。
●表:留置権と同時履行の抗弁権の主な異同(比較)
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留置権 |
同時履行の抗弁 |
狙っている効果 |
相手が債務を履行するまでこちらも債務の履行を拒否し債務の実現を促す。 |
同左。 |
成立する権利
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物を引渡さなこと。 |
物に限らず給付をしないこと。 |
保護される債権
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双務契約に限らず、不法行為、事務管理、不当利得による債権を含む。 |
双務契約から生じている債権に限る。 |
法的性格
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物権(担保物権)。 |
双務契約から生じる効力の一つ。 |
主張できる相手 |
全ての第三者。 |
双務契約の債務者のみ。 |
競売の申し立て
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可能(※ただし優先弁済効力はない。後で学びます)。 |
不可能。 |
消滅原因(占有を失った場合消滅するか?) |
占有を失えば留置権は消滅(物を実際持ってないのに「返さないぞ」は無理ですよね)。 |
消滅しない。 |
消滅原因(代わりの担保を差し出せば消滅するか?) |
留置権者の承諾を得て代わりの担保を提供すれば消滅(例:留置された物の値段が債務の額と不釣り合いなら、別の物を担保に差し出して元の物を返してもらえる) |
消滅しない。 |
●次回こそ、成立要件の残り3つを見てしまいましょうね。
(人材派遣をも掛け持ちのイブちゃん)
イブ:デジャブって、あの、隣の農家さんの、小学生の息子のことだっぺ!?
Head&Tail係長:デジャブ→デブジャ→デブじゃ、あっ、そういう事ね!
イブちゃん、この髪と言葉遣い、仕事になるのかはですが、本当はけなげな彼女を応援くださいね
●ヘッドライトとテールライトHead & Tail
https://ameblo.jp/headtail/
こちらもどうかよろしくお願い致しますね!!!
●日本赤十字社のウェブサイト
東日本大震災義援金