金曜は休暇前ということで、仕事がHead&Tail係長のもとに集中しています。みんな仕事を残して休暇に入りたくないんですよね。でも係長は声を大にして会社の皆に言いたい、 ”私はあなた達の駆け込み寺ではない!”とね。(でも言えません)

 

愚痴から始まってしまいましたが、今回から「特別な」不法行為」を順を追って見て行きましょうね。

 

特別な不法行為とは、大雑把(おおざっぱ)に言うと「他人や物が原因で発生した加害行為へ不法行為責任が発生するもの」でした。

 

民法では下の図にあるの上から5つが存在し、被害者保護の観点から、無過失か、無過失責任に近い性格を持ちます。

 

ワイルドターキー(バーボン)

Head&Tail係長、お正月はお酒三昧の予定です。

 

今回は、一つ目、監督責任(かんとくせきにん)を見てみましょう。

監督責任(かんとくせきにん)

正常な判断能力がない未成年者(弁識能力のない未成年)や、未成年でなくても善悪の区別がつかない状態になってる人(心身喪失者(しんしんそうしつしゃ))には不法行為の成立の要件の一つ

「責任能力」がありませんでしたね。詳しくは第179回配信を参照してください。

 

 

 

 

その場合、被害者は泣き寝入りでしょうか。いや、そんなことを民法は許しません(さすがは正義の人ですね、民法さん

 

 

●民法では、行為者に責任能力がない場合、法律上監督すべき義務のある人(=法定監督義務者(ほうていかんとくぎむしゃ))が責任を負います。(民§714①)

 

例えば、親権者、未成年後見人などです。また、これらの人に代わり同じような義務を負う人、例えば、保母さん、小学校の先生、精神病院のお医者さんなども法定監督義務者と同様に責任を負います。

 

ところでこの責任、「一種の」無過失責任です。とにかく親など監督義務者なら責任取るべしという発想です。

 

しかしです、もし仮に監督義務者が「私は監督の義務は果たしていた」と証明すれば義務を免れます。その意味、完全な無過失責任ではないですよね。こういうのを無過失責任と過失責任の間にある「中間責任(ちゅうかんせきにん)」と呼びます。

 

●次に、行為者に責任能力がある場合です。その時は行為者は、不法行為の加害者として被害者に損害賠償すべきことになりますが・・・。

 

でも事実上お金など取れない場合が多いですよね。では、被害者は泣き寝入りでしょうか。このポイントは設例で見てみましょうね。

 

事例:常連のYさんが品の良いロマンスグレーの老紳士W氏をお連れして来店。Yさん経営の投資会社の出資者らしい。早速、麗奈(れな)ママがお相手です。

 

W氏:いやあ、近所のドラ息子には参ったよ。この間ね、死んだおふくろが大切にしていた盆栽、近所の悪ガキの高校生にサッカーボールぶつけられて台無しにされた。有名なワルなの。壊されたのがおふくろの形見だけあって今回ばかりはもう、もう口惜しくてね。

 

麗奈(れな):親御さん誰なのかわかってらっしゃるの?

 

W氏:ああ、親はわかってるよ。でもこの件知ってか知らずか、何食わぬ顔で会釈して家の前通ったりしてる。

 

Yさん、フロアの隅っこのテーブルで手持ち無沙汰に座る沙姫に気付いてママに尋ねる)

 

Yさん:ところでママ、あの子誰?麗奈(れな)ママのことだからまさか本物の女子高生なんか働かせないよね。

 

麗奈(れな):あっ、あれは“JK行政書士の沙姫(さき)”よ。法律の話題の時なんかお相手させて頂くのよ。よろしくね。

 

(麗奈ママが沙姫を呼ぶ)

 

沙姫(さき):あ、初めまして、あ、あの沙姫(さき)です。

 

麗奈(れな):沙姫ちゃん、早速だけどこのおじさまのお話、聞いて差し上げて。ポイントは、高校生の悪ガキに損害賠償請求できるかってことよ。そうですよね、Wさん。

 

W氏:さすがはママ、ズバリおじさんの気持ちを見抜くね。お金の問題じゃないけど、せめて賠償ぐらいしてもらわないと気持ちが収まらない。

 

沙姫(さき):その悪の高校生、別に知的障害の方とかじゃないですよね。あと、誰かにお酒飲まされて分別つかないとかでもない。

 

W氏:素面(しらふ)でそういうことやるんだよ。性根(しょうね)が悪いんだよね。

 

沙姫(さき):それならその悪ガキ自身に責任取ってもらいましょう。悪ガキ相手に損害賠償請求ですね。

 

W氏:でも、高校生だし、お金なんかないと思うんだがな・・・。

 

沙姫(さき):ですよね。そういう場合、親御さん自身が責任、その、“子供をきちんと監督する”責任を果たしてないなら、親御さんに損害賠償請求できる可能性があるんですよ。

 

麗奈(れな):そういう知識が一応頭にあると親御さんとも自信もって交渉できそうですね。

 

W氏:有難う沙姫(さき)ちゃん。早速家内と相談するよ。沙姫ちゃんも1杯どうかな。

 

麗奈(れな):でも沙姫はここでは一応女子高生の設定なんです。だから、沙姫ちゃんはウーロン茶でね(笑)

 

(民法の)判例では、本来の行為者に不法行為責任が成立しても、監督義務者がいてその責任をきちんと果たしていなかったなら監督義務者にも(監督義務者に固有の)不法行為が成立するという考えを取りす。

 

ただし、一つ注意が必要で、「監督義務者の監督義務違反と未成年者など不法行為者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係(そうとういんがかんけい)が認められる」という条件付きです。

相当因果関係(そうとういんがかんけい)については第185回配信を参照くださいね。

 

●次回は、特別な不法行為の二つ目、使用者責任を見ましょう。 

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