卯月読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。


全っ然更新出来ないまま、約二か月…
そんなに忙しい訳でもないのですが…

単純にSNS自体から離れてきてるのかなぁ、と思いながら更新。


今更ながら(ぎりぎり)先月の読了記事です。

先月は10冊。


「とにもかくにもごはん」小野寺史宜著
子ども食堂を舞台とした物語。
視点が章毎に替わる連作短篇的作品。
小野寺さんらしく、基本、「いい人」ばかりで「ほっこり」としてるので、正直進むにつれ中弛みも感じるが、最後の伏線回収で持って行かれた感。
小野寺さんにしては珍しい展開だった…気もする。

「さだの辞書」さだまさし著
さだまさしのエッセイ集。
テーマは多岐にわたり、割と雑多な印象。
豊富な経験値や知識量故に勉強となる面も。
それから、やはり文章が「綺麗」なんだよなぁ。歌詞と一緒で。美しい日本語、というか。
流石です。

「広重ぶるう」梶よう子著
浮世絵師・歌川広重を主人公にした物語。
そのキャラの描き方が「江戸っ子」過ぎる気もするが、それが非常に魅力的でもある。
浮世絵というその性質上、どうしても「売れる絵」と「描きたい絵」の狭間での葛藤があり、それは今のアーティストにとっても他人事では無い様な気もして、結構面白かった。

「人間であることをやめるな」半藤一利著
半藤さんのエッセイや講演内容をまとめたもの。
半藤さんの「人間味」が垣間見えるエッセイがありつつ、近現代の日本の失敗を現代の警鐘とする側面も。
内容的には特に目新しい視点は見当たらず、その辺りはちょっと残念かな。
ま、半藤さんの作品は出れば大体読むので…

「時ひらく」文藝春秋編
百貨店「三越」を舞台とした短編集。作者も豪華。
思ったよりファンタジー色が強めでしたね。
所謂「場所」がテーマ故にか、その作者の個性が出てて、いい短編集でした。
特に伊坂幸太郎さんは、舞台も仙台だし、設定もSF要素満載で流石でした。
ちょっとばかばかしくも感じたけど、ね。

「青空と逃げる」辻村深月著
辻村さんによる「逃亡」を扱った長編。
何から、どういう理由で逃げているのかが分からず、ストーリーが進むにつれ少しづつ明かされていくんやけど、それが緊迫感となってる気がする。巧い。
逃亡先の土地や人々の描写が柔らかで、そこが救いではあるのかな。
「逃亡劇」でありつつ「母子の成長物語」でもある。流石です。

「羅城門に啼く」松下隆一著
平安時代を舞台とした物語。
筆致は軽めに感じたりもするけど、ストーリー自体は結構重め。
救いの無いストーリーではありつつ、最後にちょっとした感動も。
人間の業を描いてるという点でも「羅生門」にも近い感触はある…のかな?
ちょっと他の作品も読んでみたくなりました。

「オーデュポンの祈り」伊坂幸太郎著
伊坂さんのデビュー作。
そんなに読んでる訳でもないけど、他の作品と比べても不思議な世界観でした。
その、歪とも表現出来る様な不思議な世界観を、綺麗に回収する手腕は既に完成されてる。流石。
ただ、後の作品で見られる「登場人物のキャラの魅力」はそこまででもないかな…?
あくまでも、個人的な感想ですけど、ね。
で、いつも通り?伊坂さんの作品は、薔薇王子からの課題図書。

「任侠書房」今野敏著
近所の書店でずっと面出しされてたシリーズものの第一作。
「出版社の人が選ぶ本」だったかな?
昔気質のやくざ者が文化事業に憧れを抱き、その再生事業に手を出す…というストーリー。
ちょっとご都合主義的な側面もありつつ、極道や出版業界の様子もしっかりと描いてて(多分、ね)面白かった。
たまにはこういう娯楽小説もいいですね。
続編?も読んでみよ。

「硝子戸のうちそと」半藤末利子著
半藤一利さんの奥様によるエッセイ集。
夏目漱石のお孫さんだったんですね。故にか、軽快な文章で非常に読み易かったです。
が、自分の好みであるかと言われると…ちょっと違うかな(苦笑)
エッセイって、小説とかよりも、より濃くその人の趣味嗜好や思想が反映されるけど、それが自分と合わないことが多くて…小説が好きだとしても、ね。








先月の新入荷。