弥生読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。



新年度始まりましたね。 

まずは読了記事から。


先月は9冊。


「あの頃な」マンボウやしろ著
芸人(だった?)マンボウやしろさんの、今だからこそ俯瞰で観ることが出来るであろう、「コロナ禍」をテーマにした短編集。
文章自体は、正直ちょっと拙い感じする…これは映像化のほうが向いてるかもな。
コロナ禍を色々な側面から分析してる様な視点が流石。
確かに、悪い面ばかりでもなかったかもな。勿論、無かったほうがええけど。


「街道をゆく (1)」司馬遼太郎著
先月、葉室麟さんの「曙光を旅する」を読んで、ふとこのシリーズのことを思い出し買ってみた。
シリーズ一作目。長州路が収録されてるので、ね。
司馬さんならではの視点と、1970年初頭の様子が伺えて興味深かった。
当然ながら、街道毎に司馬さんの興味の方向が変わっていく様がまた面白い。
また機会あれば他の街道も読んでみよかな。結構あるんやけど。


「見果てぬ花」浅田次郎著
JALの機内誌での連載をまとめたエッセイ集。基本ANA派なので初見。
エッセイは、その「人となり」が出ちゃうので、小説が好きだとしてもエッセイまで好きになるとは限らない…
が、浅田さんのエッセイは割と好きかも。
江戸っ子ならではのユーモアとか、小説に通じる部分あるかも。
軽妙な文体ながら、奥深い知識や、そのユニークな嗜好が伺えて面白かった。


「イザベラ・バードと侍ボーイ」植松三十里著
明治11年に東北から北海道を旅し、紀行文を書いた女性旅行家と通訳を描いた物語。
一応史実には沿ってるが、フィクションの部分が結構多い…かな。
イザベラの「日本奥地紀行」は昔読んだけど、これはあくまでも通訳からの視点なのが新鮮。
西洋との文化の違いというより、文化や風俗に対する各々の姿勢の違いが主軸、かな。
イザベラをモチーフにした点も含めて、面白かったです。


「山窩奇談」三角寛著
ひと昔前(昭和30年代?)まで実際に存在した、戸籍を持たず山や川辺で暮らす人々を描いたもの。
風俗史だったり民俗学的側面があるのかと思いきや、かなり創作された小説的作品。
とはいえ、入念な調査はされてたようで、「サンカ」という人々の生活を知る事が出来る。
こういう人々が存在してた(出来てた)社会こそが「多様性のある社会」だったんじゃないかなと思ったり。


「I (アイ)」西加奈子著
傷彦王子から頂きました。所謂傷彦課題図書。
シリア人として生まれ、米国人の父と日本人の母に育てられたアイの物語。
最初は、その出自故にか、不器用にしか生きられない姿をじっくり描いていくのかと思いきや、終盤になり一気に動き始めるアイの人生が圧巻。
アイデンティティやレーゾンデートルがテーマだとは思うが、それよりもっと深い部分を描いてる気もする。
色々と考えさせられたし、色々な感情が渦巻いてて結構疲れた…かな。


「日本のこころ」平岩弓枝著
平岩さんのエッセイ集。幼少期から最近の話まで。
代々木八幡宮の宮司の一人娘ということで、その頃を描いたエッセイが特に興味深い。
平岩さんのエッセイも割と好み…ではあるが、やはりというか当然というか、その価値観などには共感しにくい部分が多少は。
そういう意味では、エッセイの類は年近いほうがいい様な気がするなぁ。


「不疑 葉室麟短編傑作選」葉室麟著
葉室さんの短編集。全て歴史小説。
中でも表題作である「不疑」は珍しく中国が舞台。葉室さんの筆致で中国の長編歴史小説読んでみたかったな。
短編故に、いつもよりもフォーカスを絞ってあり、それでいてしっかり深堀してるのは流石。
ま、その分、いつもより人情味が薄めなのは仕方ないとしよう。
というか、葉室さんによる、人情味が薄く硬質な歴史小説を読んでみたくなったな。
叶わぬ願いやけど。


「オー!ファーザー」伊坂幸太郎著
父親が四人、という設定からしておもろい。
し、その四人の父親以外のキャラも魅力的で、ちょっと心温まるお話でした。
最後の伏線回収の手際は流石伊坂さん。ま、ちょっと力技っぽくはあったけど。
伊坂さんの作品は、どれも、そのちょっとだけズレた世界観(設定?)と登場人物の描き方が見事。
因みに、これも傷彦王子から貰ったヤツ。傷彦課題図書。








先月の新入荷。