如月読了。 | ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

ヘッドレス主義日記 ~あたま、かるく~

当方四弦。フレットあり、ヘッド無し。
場合によって、フレット無し。

毎度です。



ようやく先月の読了記事。
先月は10冊。



「室町は今日もハードボイルド」清水克行著
室町というか、中世までの日本がいかにアナーキーであったかを描いた著書。
あくまでも、今の価値観から見て、というだけの話ではあるけど…
それを考えると、現代も将来的には「変な時代」だったなと語られるかもね。
当事者にとっては大変やろけど、大らかな時代だったんだな、と思ったり。
なかなかおもろかったです。


「1976年の新宿ロフト」平野悠著
新宿ロフトを立ち上げた平野さんによる回想録。
山口の田舎育ちの自分にとって憧れのライブハウスだったロフトの歴史を知ることが出来る一冊。
「そういう時代だった」といえばそれまでやけど、とにかくその熱量に驚かされる。
個人的には、70年代後半から東京ロッカーズ辺りまでがやはり面白そう。
70年代のシーンを体験してみたかったな。


「類」朝井かまて著
森鴎外の末子・類を描いた長編で、鴎外の子供たちの人生を描いた群像劇でもある…のかな。
意外過ぎる父を持ったが故の苦悩や、斜陽していく様子が描かれているが、類自身の資質なのか、あまり深刻な様子が無い…
ま、その分他の家族が苦労してるんやけど。
そこに描かれている、大正から昭和にかけての時代背景や風俗が興味深くはある。
後出版業界の様子も多少は。
家族小説としては、ちょっと特殊すぎるかな(苦笑)


「旅する練習」乗代雄介著
初めての作家さん。本屋のポップに魅かれて購入。
サッカー少女と小説家の叔父が徒歩で鹿島を目指すという物語。コロナ禍小説でもあるのかな。
所々に挟まれる叔父のパート?が非常に文学的で、これがいいアクセント。
更に、柳田國男とジーコの哲学が物語をより多層的に。
最後の仕掛け?は、正直どうかと思うけど、それを知った上で最初から読むとまた違う響き方をすると思う。
不思議な作品だなぁ。


「鉄道文学傑作選」関川夏央編
「鉄道」をテーマにした短編集…と思いきや、意外とそうでもなく。
ただ列車内が舞台だったりと、あくまでも要素の一つ程度、かな。
それでも「鉄道」を扱うことで、そこはかとない旅情や、閉ざされた空間故のちょっとした緊張感だったりが味わえたり。
「鉄道」というだけで、なんとなくその舞台が思い描けるしね。ある程度は。
当時の様子を知る風俗史という一面も。


「曙光を旅する」葉室麟著
葉室さんによる、小説の舞台となった地や所縁の地を巡る紀行文。
司馬遼太郎の「街道をゆく」みたいなもんかな。あれ読んだことないんやけど。
所謂史跡・旧跡だけを巡るのではなく、その土地自体が描かれている印象。
葉室さんらしい静かな筆致で心地よく読めました。


「地中の星」門井慶喜著
初めて東京に地下鉄を走らせた男の話。
ある程度はフィクションが入ってるやろけど、何故かそれが気になった…
巧く入り込めなかっただけかな…?
物語自体は非常に興味深く、ストーリーの組み立ても良かったとは思う。
こういう「プロジェクトX」的なストーリーは、割と好き。


「磯田道史と日本史を語ろう」磯田道史著
磯田さんによる色々な方々との対談集。
テーマは多種多様。お相手も専門家から俳優さんまで。
ここでの対談は、テーマあったとしても、それを深く掘り下げるというよりは広げていくイメージで、それがまた面白い。
深掘りしてないので、色々な対談を読む中で自分にとって面白そうなテーマを見つける、というのがこの本の読み方かな。
磯田さんの知識の凄さは勿論、分かり易さや幅広さが人気の秘密なんだろな、と思ったり。


「九十歳のラブレター」加藤秀俊著
社会学者である筆者による夫婦の物語。
妻を喪った喪失感からどうしても書きたかったということだが、その文体に悲壮感はなく、割と平坦な印象。
が、それが、より作者の気持ちを浮き立たせる効果を。
学者という職業故に普通とはいいがたいが、戦後を生き抜く夫婦を描いた穏やかなラブストーリー、かな。
仲良きことは美しき哉。


「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎著
所謂傷彦課題図書。
伊坂さんのよる連作短篇小説。
時間軸を把握するのががちょっと面倒だった。
そして、伊坂さんの作品にしては恋愛要素がちょっと多め…かな。
最後の伏線回収は(自分には)ちょっとテンポ速過ぎたが、その手腕は流石。






先月の新入荷。