vol.642

        今年の梅雨は短かった

    これから毎日強い陽射しが

    容赦なく降り注ぐだろう

    里山は春の花が終わり

    実りの秋に備え着実な歩み 

 

   

   雨上がりの朝、ネムノキの葉についた水滴に朝日が、

   猛暑のさ中清涼感をそそる

   

 

 

     タマゴタケ/卵茸 テングタケ科

        長雨が幸いしたのだろう。

        早々とキノコのシーズン到来、毎年タマゴタケに出会うと先輩が

    作ってくれたお汁を思いだす。

    地際に名残の白い膜が残るが、全体を覆っていた膜が割れると

    このように赤い傘をのぞかせる。きれいなキノコは毒が常識だが、

    本種は美味しく食べられる。

    キノコは経過が早く、こんな形は数時間のうちに開いてしまう。

 

 

   ミヤマタムラソウ/深山田村草 シソ科

    別名ケナツノタムラソウが分かりやすい。

    つまりナツノタムラソウの毛が多い種で雄しべ2本が

    飛び出している。ナツノタムラソウの変種。

 

   

     キンミズヒキ/金水引 タデ科

    車道の脇に1本だけ咲いていた。

    小さい黄色の花が穂状に咲き、これがミズヒキに

    似ていることが名の由来。

    果実にはかぎ形のトゲがあり動物にくっついて種子

    が散布される。つまり引っ付き虫。 

 

 

  フタリシズカ/二人静 センリョウ科 

    花が終わり種をつけている。直立しているのが花後

    種子になりつつある果柄、両方に開いて見えるのが

    閉鎖花で開花せずに実を結ぶ。

 

 

  ツノハシバミ/角榛 カバノキ科

   果実が出来上がってきた。果実に角のような突起があるのが名の由来。

       ヘーゼルナッツの仲間で秋には成熟すると食べられる。

 

 

     エゴノキ/萵苣木 エゴノキ科

    春から初夏にかけて樹体いっぱいにつけていた真っ白な花

     が果実に変身している。口に含むと 「えぐい」のが名の由来。

    熟する9月頃に果実を目当てにヤマガラが大挙飛来して

    賑やかになる。 

 

 

     マタタビ/木天蓼 マタタビ科

    花期が過ぎ、白化現象を起こしていた葉が緑色に復元しつつある。

    それに伴い、果実が出来上がってきた。右下に見える細長いのが

    本来の果実。左上はマタタビミタマバエが寄生した果実で虫こぶになっている。

    虫こぶ名はマタタビミフクレフシ。

    マタタビの葉は猫が好むが、この虫こぶのほうがより好きらしい。

        

 

      ミツデカエデ/三手楓 ムクロジ科

    カエデの仲間で3枚の小葉、つまり3出複葉が和名の由来。

    花期が終わり翼果と呼ばれる果実がたわわについている。

    カエデの仲間は紅葉が美しいが、本種は赤、黄色と変化に富む。

 

 

     クリ/栗 ブナ科

    殻斗と呼ばれるイガが見えてきた。

    収穫のシーズンに備えて着々と歩を進めている。

    別名シバグリと呼ばれる。ブナ科の果実は総称して

    どんぐりと呼ぶが本種は呼ばない。 

 

 

     フチゲオオバキスミレ/縁毛大葉黄菫 スミレ科

     とうにスミレのシーズンは終えたが、友人から珍しいスミレの

    写真をいただいたので紹介します。

    山地帯に自生するオオバキスミレの変種。花びらが紫色か白が定番のスミレの中で、

    黄色の花びらはインパクトがある。

    特徴は葉の縁に毛があり、つぼみは紅紫色その名残が唇弁(下弁)に紫条があります。 

    三陸沿岸や島しょ部に自生地があり、別名キタカミスミレ。

    石巻市牧山市民の森で4月下旬撮影。