映画 『美しいひと』
監督・東志津からのメッセージ
『美しいひと』 上映日時: 8月22日(金) 15:00-
「美しいひと」製作にあたって

この映画の撮影は、2012年の春から秋にかけて行われました。
原爆を体験した最後の世代の人たちは今、人生の最終章を迎えています。
彼らの晩年の姿と、彼らの記憶の中にある人々をきちんと残しておきたい、というのが映画制作の発端でした。
はじめのうちこそ、「原爆を経験した国の人間として」あるいは「日本人として」という気負いがありましたが、映画制作を通して出会った韓国人被爆者の方々やオランダ人元捕虜の方々の存在は、民族や国家という枠組みを超えて、悲しみを共有する事の尊さや、人間そのものをみつめる眼差しを私に与えてくれました。
人間が人間に何をしたのか、そこから人間はどう立ち直ったのか、その結果としての彼らの姿を残すことが、この作品の大きなテーマとなりました。
取材させて頂いた方の中には、映画の完成を待たずに亡くなられた方もいます。
再び私に会っても、もう、私が誰なのかわからない方もいらっしゃいます。それはとても残念なことですが、だからこそ、彼らの最後のメッセージを映画に焼き付けることができたのは、記録映画の持つ役割を改めて実感させられた体験でもありました。
本作「美しいひと」は、私の二作目の長編ドキュメンタリーです。
最初の作品「花の夢—ある中国残留婦人—」は、2007年と2008年に阿倍野で上映され、多くの反響を頂きました。
今作も、是非、多くの方々に観て頂きたいと思っています。原爆というテーマを、これまでに無い切り口で描いた作品です。
民族や国家間の憎しみや憎悪が、いまだ世界中に渦巻いている中で、私たちはどうしたら、それを乗り越えていけるだろうか。
そんな問いに答えはないかもしれないけれど、あの壮絶な時代を生き抜いた人たちの存在は、今なお苦悩する私たちに、一縷の望みと励ましを与えてくれるでしょう。
東 志津



