Tokyo Conference Day 3 (3/12) AM | HCAP東京大学運営委員会(HCAP Tokyo)

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 312日、カンファレンス最初のアカデミックプログラムを実施致し、ゲスト・スピーカーとして沼田貞昭大使をお迎えしました。沼田大使は、カナダ大使、在パキスタン大使のほか、在米日本大使館での安全保障等のご担当や、北米局安全保障課長、北米第一課長、沖縄担当大使等を務められた方です。豊富な外交経験を持たれる沼田大使より、日米関係についてご講演いただく機会を預かる上で、まず、日米関係の重要性を再確認し、知見を深めることを志しました。さらに、カンファレンス後半の在日米国大使館での企画も視野に入れ、カンファレンス中の日米関係関連企画を通し、日米関係に直接インパクトを与えて来られた日米外交官の方々よりお話を伺うことで、日米外交官方のスタンスの類似性・違いを見出し、究極的にはハーバード生・東京大学生の相互理解を促進することを目指しました。同時に、将来の我々の実務・直接対話における日米への関わりに役立つヒントを得ることを目標としました。以上を通し、最終的には、日米の我々は将来如何に関わり合うべきか、考える契機にしようと意気込んでいました。





 





 ご講演で、沼田大使は、まず、41年間もの外交経験をお持ちの方として、外交に取り組む上での姿勢を伝えて下さいました。その後、サンフランシスコ・システムに始まり、日米外交史上の協力関係・摩擦関係、及び各国の状況の推移を概観しました。具体的には、1950年代は、サンフランシスコ・システム下におけるアメリカの冷戦戦略への日本組み込み、60年代は、日米安保改正に伴うより対等なパートナーシップへの推移、70年代は、汎世界的な諸々の危機を乗り越えることによる関係の深化、80年代は、新冷戦と経済摩擦によるインパクト、90年代は、冷戦体制・バブル崩壊後の動向、2000年代は、9.11テロ事件や3.11の影響、という主軸の下、日米関係史を俯瞰しました。これらの略歴に対応し、各年代おける沼田大使の数々のご経験についてもお伺いでき、豊富なご経験に感激すると同時に、より臨場感を持って当時の外交状況を捉えることができました。メタな外交関係史と絡めながらも、日米関係の変遷を中心的に追うことができ、特に日米関係に焦点を当てて学ぶ機会が少ないハーバード生からは、カンファレンス中で取り扱う日米関係を考える上で不可欠な歴史的背景知識を深める格好の機会となり、非常にためになったという声が聞かれました。





 さらに、日米関係で将来的に思考する必要がある主要な観点について伺いました。具体的には、貿易摩擦が減退した現代におけるより強固な経済関係の構築可能性や日米関係をアジア太平洋全土に貢献し得るものとして捉える見方等の貿易・防衛政策の方向性、日米関係に関連した議題の範囲と関係国が全般的に増幅している状況、また、メディアや個人を含め、アクターが複数化している特徴について、伺いました。最終的には、日本と国際社会との将来的関係の在り方を考える上で、日本がアジア太平洋地域で平和・繁栄を促進に如何に貢献し得るか、また、そのようなグローバルな役割を担う上での必須要素とは何か、考えることができました。また、3.11後の日本に求められている姿勢についても伺い、今後私たちが如何なる進路を選択した場合でも自らの行動指針となり得る観点を学ぶことができました。最後には、グローバル社会に暮らすこととなる若者として、私たちへのメッセージいただき、激励されました。今後の日米関係の課題と可能性を認識すると同時に、将来的な日本と世界との関わり方や理想的リーダー像について具体的に思考する視点を得ることができ、大変貴重な機会となりました。





 





 この場をお借りしまして、ご多忙中、早朝より東京大学までお越しいただき、素晴らしいご講演をいただいた沼田貞昭大使に、改めて、心より御礼申し上げたいと思います。また、施設や機材等の面でご協力いただいた東京大学の皆様にも、御礼申し上げる次第です。





 





 312日から313日にかけての、京都での体験に関する報告も順次更新いたします。どうぞ宜しくお願い致します。

HCAP6期 山本紘子