こんにちは。礒井里衣です。
3月11日、私は上野の美術館に行く予定でした。
上野に向かって山手線に一人で乗っている時です。電車がどんっと揺れました。場所は目白駅付近です。電車は緊急停車し、乗客は全員降車させられました。電車を降りた私は、歩いて上野に向かいました。2時間ほど歩いて後楽園まで来たとき、携帯でようやく父と連絡がとれました。
父が迎えにきてくれるというので、上野に向かうことを諦め、避難所として開放されていた喫茶店で時間をつぶすことにしました。運良く席が空いていて座ることができました。しかし、一人だったため、席を外したら居場所がなくなるのではないか、ものを置いていったら盗られるのではないかと不安で、席をたてず、食べ物や飲み物を買いに行くこともトイレに行くこともできませんでした。
そのような状況が6時間ほど続きました。そんな時、席を外していた隣の女性が戻ってきて「どちらか好きな方をどうぞ^^」と、2つのパンを差し出してくれたのです。チョコもくれました。パンもチョコもありがたくいただきました。一人で不安だった私は、心がじーんとして泣きそうになりました。
その後電車が動き出して、私は帰れることになりましたが、その時その方は席を外していたので、レシートの裏に感謝の言葉を書いて置き手紙しました。あの方には本当に感謝しています。
おおげさかもしれませんが、日本って素晴らしい国だなと感じました。人の優しさがあんなに身にしみたのは初めてでした。
今年の3月11日は私にとってそういう日です。
以上です。お読みいただきありがとうございました。
礒井里衣