区分所有法制研究会の検討内容(5) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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令和3年3月から令和4年9月にかけて「区分所有法制研究会」において、法律専門家、都市工学者等のほか、実務・実態的な側面からマンション関係団体、法務省、国土交通省等も参加して、決議要件の緩和、所有者不明の課題等、広範な検討が行われ、報告書がとりまとめられました。検討会で行われていた議論内容も参考になるかと思い、資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和3年9月6日の第5回の検討内容についてです。

■第5回(令和3年9月6日開催)
https://www.kinzai.or.jp/legalization_manshon.html

(1)仙台市の意見
(2)"区分所有"住宅・住宅地の現状と課題
1)タワーマンション(2011年、2019-2020年調査)
2)外国人所有者、海外居住所有者の増加
3)借地権型マンション
4)管理不全マンション
(3)質疑


(1)仙台市の意見

・区分所有法において「解消」「除却」という選択肢を増やすべき。
・「建替え」は区分所有関係が解消されず、事業者側の計画に制約がかかる。
→そこで「解消」「除却」が選択できれば事業者及び区分所有者にとって望むべき事業計画が立案できる可能性が高まる。

(2)"区分所有"住宅・住宅地の現状と課題

1)タワーマンション(2011年、2019-2020年調査)

●供給状況
・時期:1979年頃から区分所有型で供給開始。全国的には2000年頃から供給が本格化
・階数:平均:31階
・棟数:700以上。うち半分以上が東京都内。
・戸数/棟:36~2092戸。平均402戸

●管理状況
・方式:第三者管理方式が2割。(マンション総合調査結果:6.4%)
・修繕積立金不足の管理組合:3割(マンション総合調査結果:2割)
・駐車場が余っていて、使用料収入が減少

2)外国人所有者、海外居住所有者の増加

●管理上の課題
・国内に代理人がいないと海外居住所有者に連絡がつきにくい。
・海外で売買された場合、登記に反映されず、真の所有者が不明の場合。
・日本に住所がなく管理費口座が作れない
→管理費等の自動引き落としができない。
・管理費徴収・滞納督促困難
→文化や制度の違いから理解が得にくい。
・空室の場合に定期点検や排水管清掃、漏水の対応等が困難。

●検討課題
・国内代理人制度を義務化?どのような権限を
→義務化を売買契約で規定しても特定承継人に引き継がれるのか?
 規約での規定の仕方。代理人の範囲や権限。
・海外居住所有者から追加管理費を徴収可?
・空き家にする場合の空き家管理を管理組合に委託を義務化できるか?(排水管の清掃、漏水対策等)
・空き家や不在の際の届出義務化、立会の代理人設定?
→お願いベースには限界。登記等での国内連絡人(不動産登記法)は、国内代理人となりえるのか?権限は?役割は?

3)借地権型マンション

●供給状況
・借地権型マンションの数の把握困難。初期に供給されたものに多い。
・定期借地権マンション:1993年~。全国600棟。

●課題
・地代の改定の合意形成の場がない。
→地主と借地人の契約に管理組合の関与が課題
・地代の徴収や滞納への管理組合の関与が課題
・底地の買い取り、管理組合の関与が必要
→関与できる?全員合意なのか3/4で可なのか。地主も区分所有者が多い
・更地で返却の「更地」の定義・状態(定期借地の場合)
→更地までのプロセスに管理組合の関与
・解体費の取り扱い(定期借地の場合)
・利用期限ある建物修繕計画への対応(定期借地の場合)
・借地期間延長のルール、組合の関与が課題
・中古流通時の地主の承諾(賃借権の場合ネックに
・地主管理による管理不適正・管理不在
→地主が管理者(地主が住戸を所有する場合が多い)
・借地範囲が不明確の場合がある

●検討課題
・地代等への管理組合関与を明確に可能に
・中古流通時の地主に代わる組合の承諾制度
・底地の買い取り制度。管理組合総会で多数決で決議。
・原状回復への管理組合の関与を明確にする
・地主と借地人が望む場合の借地期間延長の制度(定期借地の場合)

4)管理不全マンション

●検討課題
〇特定空家になる前の対応
・所有者不明住戸への対応
・特定空家になる前に、抵当権者・滞納管理費・滞納税などを清算し市場へ
・管理組合が申したてして簡易に安価で該当住戸の管理権が管理者に?
・所有者不明や管理不全土地・建物のように一定期間所有者を探す努力をした後は管理組合が管理を進めていく体制が必要(裁判で決着つく前に管理組合が管理や利用ができる)

〇解体準備(終焉準備)金制度:終焉準備
・借地権マンションのように管理組合自ら保有する。
・イギリスの賃貸住宅の敷金預かり金制度のように第三者の保管

(3)質疑

〇ハワイの借地権マンション
・ハワイの制度について,底地を買いたいということが組合で決まった場合は,決議要件は全員じゃなくても,何分の何人かがいいと言えば,買えるということか。
→合意形成については3分の2である。
・大事なのは多数決でできるのかということであると理解した。賛成しない人も,自分の費用負担というか,実質的に。それで事業,投資みたいなのにも乗り出すのかという点に関心があるのだと理解した。
→賛成しない人は参加しない。だから,その人にとっては,地主が代わったことになる。地主は管理組合に代わるので,今度は管理組合から借りるということになる。管理組合に地代を払うことになる。だから,賛成しない、購入したくない人まで借地を買い取れと言っているわけではない。