区分所有法制研究会の検討内容(4) | セミリタイアを目指すサラリーマン大家 マンション管理のお勉強

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令和3年3月から令和4年9月にかけて「区分所有法制研究会」において、法律専門家、都市工学者等のほか、実務・実態的な側面からマンション関係団体、法務省、国土交通省等も参加して、決議要件の緩和、所有者不明の課題等、広範な検討が行われ、報告書がとりまとめられました。検討会で行われていた議論内容も参考になるかと思い、資料を参照し、気になった点をメモ書きしましています。今回は令和3年7月30日の第4回の検討内容についてです。

■第4回(令和3年7月30日開催)
https://www.kinzai.or.jp/legalization_manshon.html

(1)団地について
(2)質疑


(1)団地について

団地は、公法・私法が一体となった存在(そのような団地法の研究は進んでいない)
計画レベル 都市計画上の団地……一団地の住宅施設
建築レベル 建築基準法上の団地……一団地認定
所有・管理レベル 区分所有法上の団地……団地

(2)質疑

・建替え制度を改めるよりも,敷地売却制度を拡充して,特別多数決で敷地売却ができるようになれば,かなりいろんなものが解消するような気がする。もちろん法制度は色々あるので,それぞれについて御要望を出されるのは分かるが,敷地売却制度が,例えば,4分の3ぐらいの特別多数決でできるとなると,借家人の問題は別として,解決する部分が大きいのか,それとも,難しい部分があるということか。

・復興支援施策の活用期間が短いという問題を御指摘され,私も色々なところで大きな問題であると伺っているが,活用期間を余りに長くすると,必ずしも震災ではない理由で,例えば,取壊し等を行う場合にも悪乗りしてしまうということがあり得なくはないと思う。もちろん,震災の程度によって違うというのはよく分かるが,行政としては適切な活用期間としてどのくらいであるべきとお考えか。
→ 大変難しい御質問である。正直,どの物件がどういうふうに裁判が起こっていくのか,どうもめていくのかが読めない状況なので,なかなか明確にはお答えできないが,今後は,起こり得る震災について,これでどれぐらい掛かったよという事例集を持っておく必要があるのかなとは感じている。私もこの会議に呼んでいただいて,震災当時の建替え事例も勉強したが,やはり今時点で,神戸市の中でもなかなかその状況が伝わっていない,当時どんなところに苦労したのかがぱっと出てこない状況にはあるので,全国的に,今後に備えてそういうものを持っておく必要があるかなと思った。

・被災マンションの復興が進まないのは,決して,区分所有法とか被災マンション法のせいだけではない。区分所有法とか被災マンション法をどうしようとも,そんなに簡単にマンション復興は進まない。
 例えば,お金の面で優良建築物等整備事業補助金が入らないと,基本的にできない。解体費用も,億単位になるので,被害者なので出せない。
 そうすると,公費解体の制度が絶対に必要だと。それから,お金が掛かるので,例えば,災害復興融資のような低利の長期の融資がないと進まない。さらに,復興基金からの利子補給というような,こういった制度が全部絡んで,初めて復興へ歩み始めることができるので,決して法律,特に復興を決める法律である被災マンション法とか区分所有法だけでも進まないというのは,はっきりしている。

・熊本で,復旧しようという人と取り壊そうという人が半々に割れたマンションがあった。ここは最終的には取壊しすることになったが,皆さん分配できたのは,公費解体と,地震保険の分配益があったから,幾らか手元に残る形になったかと思う。平時でそのようにいくかというと,難しいかなと思う。

・買受計画の認定を受けようとする買受人は,買受計画の中に,例えば,こういうところに賃料幾らの物件がありますよという移転先についての情報を盛り込まなければいけない。その情報を見て,ここにこういうのがあるのだったら,賃貸でもいいかなと,何人の人がこっちに来てくれるかというのが,まず一つ。
 ただ,現実には,地方へ行くと,都会でもそうだが,解体費用の方が高い立地がほとんどである。そうすると,解体費用をみんなで払い合って解散という,何の解消だという話になる。だから,被災マンションの敷地売却のように,保険金とか,あるいは解体費用が公費解体で賄われるとか,そういう場合にはよいが,普通の老朽化の建替えの場合には,解体費用を全部自前で用意しないといけないことになり,用意できなければ,土地の価値マイナス解体費用でしか,土地は売れない。

・建替えそのものは土地の団体で,敷地の持分の5分の4で決まり,棟の決議は要らないが,結果として,各棟3分の2以上出していないといけない。建替えは3条団体がするものだという原則だと,棟別要件があって当たり前という話になるし,そうではなくて,建替えは土地の団体の話なんだと,そっちが原則だと考えたら,なくてもいい,あるいはもっと緩和できる方向になろうかとも思う。
 実際,一括建替え決議が何度も潰されているのは,棟別要件を満たさないという点である。全体の5分の4って,数が多いからいかないだろうと思うが,現実に行われている団地の建替えは70条ばかりで,5分の4は大抵のところはいく。ただ,例えば10戸とか8戸とかの棟もあるから,そこで3分の2というと,何人か反対者がいると終わりということになる。
 韓国のように,そこだけ除いて,棟に対する売渡請求という分割請求みたいな制度があれば,また別であるが,そういう制度もないので,区分所有法の棟別要件の規定がネックで,実現できたはずの一括建替えができないというのは,現にある。
 この要件に関しては,再考も必要であるが,ただ,最高裁の判決も,これには3分の2以上という,多数による承認というか,多数が示されているから合憲という判決になっている。そうすると,この3分の2を過半数にするのは,その最高裁の判断に引っ掛か
るんじゃないかという話にもなるが。区分所有法で建替えを阻害しているとすると,この棟別要件である。