ビートママのCancer Xセッションレポート⑩ | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2023年4月、9年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

みなさん、こんにちはニコニコ   ビートママです🐾  

 

 

 Cancer X は、がんと言われても動揺しない社会の実現を目的として設立されました。

今回は、2021年2月に行われた、HPVワクチンを考えるセッションの内容を紹介します。

 現在、日本におけるHPVワクチン接種率は、諸外国と比べて圧倒的に低くなっています。しかしこのワクチンは、社会からあるがんをなくすことができるのです。

 

 

Cancer X セッションレポート⑩

HPV「HPVワクチンのこれから」

 

 今回の登壇者は4名。それぞれHPVワクチンにかかわりのある立場の方たちです。

 薬学博士でもある長井陽子さんは子宮頸がんの患者で、現在治療中です。横浜市立大学附属病院産婦人科部長宮城悦子先生は、HPVワクチン接種の重要性を訴え続けています。愛知県医科大学医学部学際的痛みセンター長牛田享宏先生は、HPVワクチンの副反応について継続して研究を続けています。そして子宮頸がん患者家族会「恵ふぁみ」発起人渕上直樹さんは、子宮頸がんで奥様をなくした遺族。

 皆さんのセッションを、次のようにまとめてみました。

 

 

子宮頸がんは、予防できるがん。

 

 1982年、ドイツで子宮頸がんのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)への感染で生じることが発見されました。その後の研究で、子宮頸がんの95%以上がこのウイルスへの感染が原因であること、感染経路は性的接触であることがわかってきました。HPVはごくありふれたウイルスなので、性交渉の経験がある男女の若者の8割が感染します。

 

 女性の場合、HPVウイルスに感染しても、90%の人では自然に排出されますが、残り10%の人が継続感染し、異形成の時期を経て子宮頸がんになると言われます。この場合、感染してから子宮頸がんに進行するまでの期間は、数年から数十年。異形成の段階では無症状なので、それは「子宮頸がん検診」で見つけてもらうしかありません。また男性でも、中咽頭がん肛門がんなどのリスクが上がることがわかっています。

 こうして発症の仕組みがわかっている子宮頸がんは、ワクチンによりHPVに感染しないようにすること(一次予防)と、検診によって早期発見、早期治療を行うことで死亡を免れること(二次予防)が可能です。

 

 

 

ワクチンの普及に失敗した国、日本。

 

 ワクチン接種後の異形成の発症率についての研究はありましたが、子宮頸がん罹患率の低下については実はまだ充分なデータが揃っていないと言われています。しかし2020年、スウェーデンから、世界で初めて国家規模で子宮頸がんの減少効果を示す論文が発表されました。接種率がほぼ80%のスウェーデンでは、集団免疫の効果も出てきており、数字的にも初めて「大幅な子宮頸がん罹患リスクの減少」が証明されたのです。

 

 世界を見渡すと、カナダ、イギリス、オーストラリアなどで接種率が80%を超えています(2017年)。アメリカは55%ですが、男女ともに対象になっている点が評価されます。一方日本では、2009年に二価(2種類のHPVウイルスの型に対応するワクチン)、2011年に4価が承認され、2013年には定期接種に組み込まれました(無料接種)。しかしこの年、接種後に疼痛やけいれんという副反応が生じたと連日報道され、これを受けて厚生労働省が「ワクチンの積極的推奨を一時差し控える」としたのです。以降、一時は70%を超えていたワクチン接種率は下がり続け、あっという間に1%を切ってしまいます。厚生労働省は勧奨(良いことだからとおすすめする)を控えているだけですから、希望すれば小学校6年生から高校1年生までの女子は今でも無料で受けられるのですが、その後もなかなか接種率は回復していません。

 この30年の間に、子宮頸がんの発症ピークはより若年層(30代)へとシフトしています。その年代はちょうど出産や育児にあたる人も多いことから、子宮頸がんは「マザーキラー」という呼び方をされることも。人の力で、科学の力で、唯一社会から排除できる可能性のある子宮頸がん。ワクチン接種率を回復させることは急務であると言えるでしょう。

 

 

副反応をどう読むか。


 医療には、実は100%の確実性というものはありません。100%の保証を実現するまで待つことは、全体の不利益になったりもします。過去の例に基づけば、HPVワクチン接種において1万人あたり5人に「接種後に重い症状が出た」とされていますが、これがほかのワクチンより突出して多い比率とは言えません。

 2013年以降も、この年代の女子について副反応などを調査してきた結果によれば、この年齢層においては「ワクチンを接種していない群でも、腰痛や膝の痛み、倦怠感などについて、接種した群と非常に似た傾向の訴えが見られる」という側面が見えてきました。アメリカにおける膨大なデータを基にした研究においても、ギラン・バレー症候群や運動ニューロン疾患の増加を示唆するデータは認められていません。これらの研究から「HPVワクチン接種による神経症状の増加は疫学的に証明されていない」ということになりますが、現実に重篤な副反応に苦しんでいる人もいるのです。これをどうとらえるかが、接種を推奨するか否かの分かれ目になりますが、先進国で接種の勧奨をとりやめた国は日本だけでした。

 

 大きく報道されたマイナス面だけを見て接種を避けることにより「予防できる可能性を放棄」なたは「予防できる可能性があるのに知らずにスルー」という事態が多数発生しています。患者遺族は「正しい知識を広め、多くの人がワクチンの重要性に気づいて接種を受けて、子宮頸がんのない世界を実現したい」と訴えます。

 なお、多くの国がこのワクチンを、間をあけて2回接種としている中、日本は3回接種を推奨しています。このあたりの見直しも急ぐべき問題だろうと思われます。

 

 

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 病気と向き合って予防やワクチンの接種を考える場合には、必ず正しい情報、正確な知識が求められるのだと感じました。「なんかテレビで言ってたから」「となりの人が言ってたから」という雰囲気で動くのではなく、きちんと情報を理解し、適切に行動できるようになりたいものですね。

 

では次回もお楽しみに🐾🐾あと2回でおしまいです。

 

 

 

 

 

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