光免疫療法・肺がんへの応用は? 日本肺癌学会レポートその1 | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

みなさん こんにちは。

 

11月29日から12月1日まで、東京で日本肺癌学会が開催されました。

何回かに分けて、そのレポートを出していきます

 

まずは、光免疫療法についてです。

日本肺癌学会で、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆先生を招き、講演がありました。

その模様をSさんがレポートしてくれています

大きな会場で行われたのですが、それほど人は入っていなかったようです

患者の期待は高いですが、医療者の期待は異なると言うことでしょうか

とにもかくにも、Sさんの渾身のレポート、ぜひ、読んでくださいませ。(全2回)

 

 

 

 

【はじめに】

 

医学的には素人である筆者が、走り書きのメモと記憶を頼りに、わからないことはネット等で検索したりしながらまとめたレポートであり、細かい表現・言い回し等は、実際のご発言とは違う場合もあります。

また、筆者の聞き間違いや勘違い、知識不足のせいで、医学的に誤った記述が含まれている可能性もある事をご理解いただきますようお願いいたします。

 

 

 

【基本コンセプト】

 

正式名称は「がんの近赤外光線免疫療法」(Near infrared photoimmunotherapy for cancers)。

 

現在のがんの三大治療の目的は、がん細胞を減らすことであり、手術・放射線・化学療法のどれも、がん細胞に直接作用する。

しかし、手術でもがん細胞のみを切り取ることはできず、がん細胞周辺の正常細胞はもちろん、リンパ節を取れば、その部分のリンパ球を含めた免疫にも影響が及ぶ。

放射線治療では、照射された範囲にいた免疫細胞は全て死んでしまう。

化学療法も白血球、リンパ球へのダメージがある。

三大治療ではがん細胞は減っても、免疫細胞へのダメージもある。

免疫チェックポイント阻害剤やCAR-T療法などは、全てリンパ球を助ける治療法で、

がん細胞に直接作用するものではないため、リンパ球に対してうまく働かなければ、がん細胞は少しも減らない。

これらを克服するために、がん細胞を減らすと同時に、免疫細胞の質と量を上げることが、この治療の基本コンセプトである。

 

 

 

【がん細胞だけをを減らし、免疫を活性化する】

 

ある特定の波長の近赤外線光に反応する性質を持つIR700という化学物質と、がん細胞の細胞膜にくっつく抗体に結合させた薬剤を使用する。この薬剤単体では何の薬効もなく無害である。近赤外線光もまた、単体では人体に対してほとんど何の効果もない。

この薬剤を点滴で投与し、がん細胞の細胞膜にくっついた状態で近赤外線を照射した時のみ、薬剤が光に反応して、がん細胞の細胞膜を破壊するというメカニズムである。

これによってがん細胞だけを狙いうちでき、また、光を当てる範囲を変えることによって、効果が及ぶ範囲をコントロールすることもできるので、非常に安全な治療法である。

 

 

細胞膜にくっついた抗体に光を当てると、IR700が光に反応して抗体が高く盛り上がるように変形して、細胞膜を引っ張り、空いた隙間から細胞内に水が流れ込み、細胞膜が風船のように膨らんだ後、破裂して細胞が壊れる。

この反応はわずか数十秒から数分という短い時間で起こる。このような短時間での変化は、生物学的変化ではありえず、物理的に細胞が壊れているという事がわかる。

 

 

ある腫瘍を2か所に埋め込んだマウスの、一方の腫瘍には光を当て、もう一方にはアルミで覆って光が当たらないようにしたところ、5匹中2匹はわずか1回の治療で腫瘍がなくなり、同じ腫瘍を再度植え付けても、既に免疫ができており腫瘍は育たなかった。

 

 

がん細胞の細胞膜が物理的に壊れることによって、細胞内の分子やDNAがきれいなまま細胞外に出てくるので、免疫細胞が認識しやすいと考えられる。

 

 

現在EGFRをターゲットとした抗体を用いて、頭頚部扁平上皮癌で臨床応用を進めている。

 

 

ある患者の例。この薬を点滴投与した翌日に、喉の奥の腫瘍に近赤外線を照射。大きな腫瘍は光ファイバーを通し、腫瘍内部に照射する。

照射してすぐに腫瘍が白く変色し、溶けていくように腫瘍細胞が壊れいていく。周りの正常組織への影響はほとんど見られず、翌日以降、腫瘍はポロポロ落ちてなくなっていった。

 

 

別の患者の例。治療後1か月で腫瘍がだんだんはがれていき、3か月後には腫瘍があった場所の皮膚が再生してきて、毛も生えてきた。腫瘍のみを叩いて正常細胞には影響を与えなかったためだと考えられる。

 

 

1相治験(ESMO2017で発表)。頭頚部扁平上皮癌、術後化学療法の後再発、薬物治療や免疫チェックポイント阻害剤などを行ってきた患者が対象。

3CRComplete Response:完全奏功)、3名以上が1年以上生存。

 

 

2相治験(ASCO2018で発表)。CTで測った腫瘍サイズで評価。CRPRPartial Response:部分奏功)で半分。CRPRSDStable Disease:安定)で82%。

免疫チェックポイント阻害剤の使用経験がある患者群でも、CRPRの患者もいた上、SDを含めると90%以上に効果があった。

ただし、腫瘍の跡がCT画像上は残っている場合があり、PRの判定であったが、再発していないため、腫瘍はなくなったと思われる例もあった。

 

 

2相試験の結果により、FDA(アメリカ食品医薬品局)からファーストトラック(優先承認審査制度)指定を受けた。

 

 

アスピリアン・セラピューティクス社の三木谷氏から167億円の資金を得て、間もなく国際第3相試験が始まる。

 

 

 

 

次回は肺がんについて言及します。すぐにアップします。

 

 

 
 
 
 
 
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