聴覚障害者に対するがん支援② | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

こんにちは。
前回の続きです。


がんを患ったろう者は、そもそも病院で不便な思いをして困っているのでしょうか?
困っているとすれば、それはどんな時なのでしょう?

 

そんなところを調べてみようと思い立ち、インターネットを探ってみると・・・

ろう者でがん患者・・・いました!皆川明子さん。乳がん経験者です。早速連絡を取ってみました。

 

こんな感じ。


★取材依頼のメール

はじめまして。私は肺がん患者の会 ワンステップ!の代表の長谷川一男と申します。患者会のブログにて「聴覚障害者へのがん支援」の記事を書きたいと考えています。 きっかけは国際福祉大学の公開講座で松森果林さん(聴覚障害者)の話を聞いたことです。テーマはユニバーサルデザインで、さまざまなものがあることを知りました。

<中略>

 私はがん患者であり、ステージは4ですので、単純に聴覚障害者のがん患者さんは困っていないのかな?と考えた次第です。 そこで調べたところ、皆川さんにたどり着きました。もしよろしければ、すこし質問させていただけないでしょうか。いかがでしょう。お返事いただけると幸いです。

 

そして、取材OKのメールが返ってきましたよ。うれし~。

 

★お返事

初めまして。メッセありがとうございます。よろしくお願いします。

松森さんは中途失聴者ですが、聞こえてたのが当たり前だったのが失聴して不便を感じて、そこからユニバーサルデザインをされています。

<中略>

聞こえないというのはまず耳から情報は入ってきません。聞くことも出来ない。話すことも出来ない。でもいつ失聴したか、障害の程度差や環境などなどで聴覚障害者も様々です。手話しかできない。身振りしかわからない、日本語もわからない。日本語が不得手。筆談しかできない。本当にいろんな聴覚障害者がいます。 がん治療で困る事は何かというと当然その人によって様々です。ほとんど困らない人もいればずっと手話通訳がないと困る人もとても一概には言えません。

私の場合はこういうことで困ってましたとか、このようにしていましたということなら話すことはできますが、私のケースが聴覚障害者の問題だとは思わないで下さい。あくまでも一つの例です。それだけは頭に入れて下さいね。何卒よろしくお願いいたします。

私はステージ3の乳がんでフルコースの治療を経験して現在は引っかかる部分はあっても経過観察中です。

いきなり随分長いメッセになってしまって大変失礼しました。私は生まれつきろうあですので日本語も変なところもあると思いますが。どうぞよろしくお願いいたします

 

ということで、メールのやり取りが始まりました。

                                  

さてさて、みなさん、このお返事メールにどんな感想を持ちましたか?

私・さくえもんは「ん!?どういうことなのだろう?」という部分がありました。それはこの部分です。

「日本語もわからない、日本語が不得手」

「私は生まれつきろうあですので日本語も変なところもあると思いますが」

とか書かれています。どこにも日本語が変なところはないのですが・・・?

 
そんな疑問を皆川さんに送ってみました。まもなくお返事が返ってきました。友人とのメールの画面です。

 

皆川さんが解説してくれました。

 

私は生まれつきろう者ですので手話は全く当たり前のように自然に身についた言語です。

日本語は自分の健聴の両親から厳しく仕込まれましたがやはり限度があります。手話は日本語とは全く違った言語です。

 

最近はテレビでも字幕がつくことが増えてきてますが、中途失聴者にとっては全然問題はないと思います。なぜなら日本語がわかるからです。でも生まれつきろうあ者は日本語をマスターするのは簡単なことではありませんので字幕を目で追うことは困難を伴います。

 

 

「手話と日本語は異なる言語」 だとすれば、日本語に得手不得手があるのはわかります。

それにしても私・さくえもんは日本語と手話はほぼ同じものだと思っていました。ここに疑問を持ったことはありません。

 

 

聴覚障害者はおよそ36万人(※身体障害者手帳を持っている人)。

 

・難聴者(加齢等で耳が聞こえづらくなった)

・中途失聴者

・先天的に聞こえない

 

大きく、この3つのタイプに分かれているようです

そして、日本語を不得手と考える方が多いのは、先天的なろう者であるようです。

 

 

 

さて、

この前提にたてば、「病気」のときに、ろう者が困るだろうなと想像がつきます。

 

医療者も僕と同じように、「ろう者が日本語を不得手な場合がある」と知らないのではないでしょうか。日本語の読み書きに不自由する場面があるとは思っていないはず。そうしたら、ろう者と医療者側との間に、コミュニケーションに不具合は必ず出ます。

 


では次回は、具体的にどんな場面でろう者が困るのか?

皆川さんがいろいろ教えてくれました。写真のような感じでしたよ。

 






 








少し前に話題になってました。「点字ブロックの上に自転車を置く」
特に気にも留めていないこと、普通にしていることが、誰かの迷惑になっていたりする。皆川さんの話からは、そんなことが浮かんできました。

続きます。

 

 

 

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<全国肺がん患者会連絡会議>

日本肺癌学会が112628日までパシフィコ横浜で開かれます。その最終日の28日。12:30-14:30まで。日本全国の肺がん患者会が集まり(5団体)、先生方を含め、意見交換する場を作りました。
「全国肺がん患者会連絡会議」といいます。

肺がんの患者会は日本、いや世界的にみてもあまりありません。理由は予後が悪いためです。発足しても、継続してこなかったと考えます。しかし、肺がんの医療は発展を続け、その証であるように、世界的に患者会ができています。私たちワンステップ!もその流れの中で必然的に誕生したものと考えます。そして、同じように日本各地に肺がんの患者会が誕生しました。その患者会がはじめて会い、横の連携を深めていこう、という趣旨で発足しました。

先生方もいらっしゃって、応援していただけるので、意見交換もします。おしゃべり会などであがってくる患者の生の声を先生方へ届けます。一つ一つの患者会は小さいですが、5つも集まればそれはそれなりの声となると思います。そして患者や患者会に何ができるのか、を考えています。キーワードは「陳情」ではなく「協働」。医療者と患者が一緒になり、良い方向へ向かう道が見えたらいいな、と思っています。

会議には、世界肺癌学会で表彰された山岡鉄也さんも参加。世界のアドボカシーの流れから日本はどう進むべきなのか、等々。
フットサルの久光重貴選手も参加します。

見に来ていただくことは自由です。
ぜひいらっしゃってくださいませ

 

<学会に行こう!プロジェクト>

 

 









 

学会というとハードルが高そうですが、患者・家族向けのプログラムがあります。わかりやすく、肺がんのことや最新がん情報をいろいろ教えてくれるみたいです。28日には前回登場した山岡さんが、世界肺癌学会のことを語る場もあります。

地元に帰って、がん友に「○○知っている?」なんて偉そうにしたりして(笑)そんなのも楽しくないですか。ワンステップ!は積極的に学会に参加していきたいです。


患者・家族向けプログラムの内容はこちら。

申し込みが必要です(1112日まで)

ちなみに・・・
学会の感想文書いてみよう、なんて企画も進行中です。
そのレポートは、ワンステップ!のHPで公開されます。
自分自身の書いた文章が、日本のどこかにいるお仲間の心を軽くするかもしれません。
もちろん、学会にも提出します。参加してみたい方はメールください。今、7人くらいかな。

 

 

 

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