Oh! ユニバーサルデザイン ~聴覚障害者に対するがん支援① | NPO法人 肺がん患者の会 ワンステップ

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2024年4月、10年目突入。肺がん患者・家族の「いきる勇気」につながればいいなと思っています。

みなさん、こんにちは。



突然ですが
「ユニバーサルデザイン」
を知っていますか?

「なるべく多くの人が使いやすいデザイン」ということだそうです。「バリアフリー」という言葉と比べるとわかりやすくなります。


バリアフリー→バリア(障壁)をなくす

ユニバーサルデザイン→最初からバリアがない状態。バリアを作らないという考え方

だそうです。

 

有名なユニバーサルデザインがあります。

お風呂のシャンプーたちです。ここにそのデザインがあります。




注目はココ!
手のひらで押すところを見てください!

 

凹凸がついています。

これ、目の不自由な方がシャンプーとコンディショナー剤を区別できるよう、つけられたものだそう。

横にもギザギザが着いています。


 

これを考え出したのは「花王」です。目の不自由な方から、シャンプーとリンス、どっちがどっちだかわからず苦労しているという意見があり、このデザインを考え出したそう。「一目瞭然」ならぬ「一触瞭然。」花王は実用新案を無料で公開し、今ではほとんどのメーカーのシャンプーに凹凸がつけられているそうです。

 


私たちがいつもお世話になっている病院にも、ユニバーサルデザインはありますよ。


会計時の表示板。自分の会計を待つとき見る表示板ね。自分の番号が来ると、チカチカ点滅しますよね。これは、ろう者、健聴者ともにわかりやすくする工夫です。


エレベーター乗るときに「一階です」とか流れるアナウンスだってそう。身の回りにけっこうあったりします。

 



さて、このユニバーサルデザイン、なんでご紹介したのかというと・・・

今年の5月、都内のとある場所で、私・さくえもんは、このユニバーサルデザインに関する講演を聞く機会がありました。その講演があまりにも目からウロコのことが多く、感銘を受けた次第。ワンステップ!でも是非ご紹介&考えたいと思い、やっとそのときがやってきたというわけです!

その講演をした方は・・・松森果林さん。ろう者です。

 

松森果林さん

小学校4年生で右耳が聞こえないことに気づき、高校2年生で聴力を失いました。水の音も、風の音も、音楽も、弟や妹、両親が自分を呼ぶ声も、すべてが聞こえなくなりました。専門学校に進学しようとするも、「聞こえない」という理由で受け入れ拒否。「日本という国は障害者になっただけで、ひとりでは何するのも大変な国だったんだ」と思ったそうです。支えてくれたのはご両親。「人が何年かかってもできない経験を17年間でできた。それは必ず将来につながる」と励ましてくれたそうです。その後、日本初の視覚・聴覚障害者のための国立大学、筑波技術短期大学に進学。出会った恩師の「聞こえないことで被る不便さは、バリアを生む社会システムに問題がある」の言葉に突き動かされます。そしてディズニーランドに就職しました。

 

ディズニーランドでは、さまざまなユニバーサルデザインの提案を持ちかけ、実現させたそうですよ。

・手話ができるキャストは100人以上

・アトラクションの音声が文字表記される「字幕表示システム」

・車椅子でも近づけて、親子が自然と向き合える水飲み場

・シンデレラ城の模型やキャラクターの模型

※残念ながら写真は許可出ませんでした。ディズニーランドのHPで見てくださいね。

 

模型は、目の不自由な方が、触って形がわかるようにするためのものです。どのキャラクターも腕を伸ばす格好をしています。これ、意味があります。そこに触れていくと、キャラクターと自然と「握手」するようになる仕掛け。すごいね。それ触っている子の笑顔が浮かぶよ。

現在松森さんは独立し、ユニバーサルデザインの普及、聞こえない者にも、誰にとっても暮らしやすい社会を実現させるべく、活動しています。NHKの手話講座にも出ているそうです。

 

いやー、知らないことが世の中にはたくさんあるし、すごい人はいるものですね。

 

さてさて。

松森さんは生活の場面でさまざまな不便なことを訴え、それを変えてきたわけですが、「病気」に対しては触れませんでした。一応、「肺がん患者の会 ワンステップ!」なわけですから、ちょっと考えてみます。

がんを患ったろう者は、そもそも病院で不便な思いをして困っているのでしょうか?

困っているとすれば、それはどんな時なのでしょう?

 

想像してみます。

例えば・・・

がん患者であれば、診察に1時間かかることもあります。診察時にはいつも手話通訳者がいるのでしょうか?もし、この場に手話通訳者がいなかったら・・・考えただけでゾッとします。

 

例えば・・・

レントゲンを撮るとき。「はい、じゃあ、息吸って~。はい、止めて!」っていつものこの合図、聞こえないわけですよね。どうしているんでしょう?

 

例えば・・・

バリウム飲んでやる胃の検査はどうするのか・・・?あれ、ナナメになるよ。体勢も変える。そういえば、外国の方があの台から落ちて、亡くなった事故もあったよ。

 

うーむ。。。

すごく大変で困っている気がしてきました。

いや、間違いなく困っている。

 

ということではじめます。

がんを患ったろう者は、どんなところに困っているのか?

それに対する支援はどこまであるのか?

調べてみることにいたしました。

 

今回はここまで。続きます。

 

 

★お知らせです。


<全国肺がん患者会連絡会議>

日本肺癌学会が112628日までパシフィコ横浜で開かれます。その最終日の28日。12:30-14:30まで。日本全国の肺がん患者会が集まり(5団体)、先生方を含め、意見交換する場を作りました。
「全国肺がん患者会連絡会議」といいます。

肺がんの患者会は日本、いや世界的にみてもあまりありません。理由は予後が悪いためです。発足しても、継続してこなかったと考えます。しかし、肺がんの医療は発展を続け、その証であるように、世界的に患者会ができています。私たちワンステップ!もその流れの中で必然的に誕生したものと考えます。そして、同じように日本各地に肺がんの患者会が誕生しました。その患者会がはじめて会い、横の連携を深めていこう、という趣旨で発足しました。

先生方もいらっしゃって、応援していただけるので、意見交換もします。おしゃべり会などであがってくる患者の生の声を先生方へ届けます。一つ一つの患者会は小さいですが、5つも集まればそれはそれなりの声となると思います。そして患者や患者会に何ができるのか、を考えています。キーワードは「陳情」ではなく「協働」。医療者と患者が一緒になり、良い方向へ向かう道が見えたらいいな、と思っています。

会議には、世界肺癌学会で表彰された山岡鉄也さんも参加。世界のアドボカシーの流れから日本はどう進むべきなのか、等々。
フットサルの久光重貴選手も参加します。

見に来ていただくことは自由です。
ぜひいらっしゃってくださいませ

 

 

 

<学会に行こう!プロジェクト>

 

 










 


学会というとハードルが高そうですが、患者・家族向けのプログラムがあります。わかりやすく、肺がんのことや最新がん情報をいろいろ教えてくれるみたいです。28日には前回登場した山岡さんが、世界肺癌学会のことを語る場もあります。

地元に帰って、がん友に「○○知っている?」なんて偉そうにしたりして(笑)そんなのも楽しくないですか。ワンステップ!は積極的に学会に参加していきたいです。


患者・家族向けプログラムの内容はこちら。

申し込みが必要です(1112日まで)

ちなみに・・・
学会の感想文書いてみよう、なんて企画も進行中です。
そのレポートは、ワンステップ!のHPで公開されます。
自分自身の書いた文章が、日本のどこかにいるお仲間の心を軽くするかもしれません。
もちろん、学会にも提出します。参加してみたい方はメールください。今、7人くらいかな。

 

 

 

肺がん患者の会 ワンステップ!
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みなさんのためにある患者会です。

質問や相談、感想は下のコメント欄まで。メールでもどうぞ。