広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二です。
私は乳腺外科医です。ハルステッド手術といって、がんが憎ければ何でも憎い、との考え方から、皮膚、乳腺、大小胸筋、腋窩リンパ節をできるだけ大きく切って手術で乳がんを治そうとしたこともありました。
その後、薬物療法や放射線療法が普及し、外科手術の適応は狭まりました。しかし今でも、早期のがんは薬物療法と並んで外科手術が主役ですし、薬物や放射線治療では手に負えないときに手術にお呼びがかかることもあります。
60代前半のこの方は、以前も私のブログに登場されたことがあります。18年前でした。ステージIIIBの乳がんに対して術前化学療法が開始されました。
まずパクリタキセルを使いましたがまったく効かず、すぐにFECに変更しました。しかし、腫瘍は増大を続けたため、やむなく私は、乳がんの完全切除をするために皮膚を広範囲に切除し胸筋もリンパ節も可能な限りきちんと切除し、そのあとに腹直筋皮弁による乳房再建を行いました。
当時でも、この治療を「やりすぎ」とか「Over Surgery」との批判をいただきました。その後、ご本人と相談しTS-1の少量投与を継続していますが、術後18年、腫瘍マーカーは高めで推移していますが、画像では転移が証明されずにお元気で生活されています。
きわめて悪性度の高いトリプルネガテイブ乳がんですが、ハルステッドもどきの手術と少量のTS-1の継続で、QOLと生命が維持できている、まれなケースだと思われます。
広島で乳がんの治療をしているひがき乳腺クリニック院長・檜垣健二でした。