WOWOWで配信中の中国ドラマ『三体』。
20話まで見終わったところでブログに書きましたが、最終話まで見終わった今、もう一度書かずにいられない気持ちになりました。
これまで見たことがないくらいスケールの大きな、見応えのあるSFドラマでした。
科学だけでなく歴史、環境問題など幅広い知識があるとなお楽しめると思いますが、ボンヤリとしかわからない私でもきちんと楽しめるような内容になっています。
ということで唐突ですが、時期も時期だけに、この『三体』を2023年私の一番おすすめしたいドラマに決定いたします。
もし、これから見ようと思っている方は盛大にネタバレしているのでここでストップしてください。
「多分見ないけどちょっと気になる‥」と思われている方は、よろしければ私の浅い感想を引き続きお楽しみください。
ただし、書きたいことがあり過ぎてかなりの長文となっております。
このドラマ、原作を読んだだけではイメージすることのできなかった数々の場面を、期待以上に見事に映像化してくれています。
多くの伏線が最終回までにキチンと回収されている点が小説「三体」の魅力の一つだと思いますが、ドラマも同じく納得のいく終わり方でした。
毎月10話ずつという放送の仕方も、私にはちょうど良かったんですよね。
私ほどの科学苦手人間には、ドラマを見てもよくわからないことが多かったので、ドラマを見返したり、小説「三体」の解説動画を見たりする時間的余裕がありました。
驚いたのが「三体惑星」が地球から4光年離れた場所に実在しているということ。
それまで想像上の物語だと思って見ていたのに、「もしかしたら‥」と想像が膨らんで、ますます興味が湧きました(単純)。
21話〜30話のあらすじをざっくりまとめてみました。
葉文潔(イエ・ウェンジエ)が総帥である地球三体協会(ETO)には降臨派、救済派、生存派の3つの派閥があります。
命令をうけた警察官の史强(シー・チアン)たちは、このETOの集会を襲撃して葉文潔を拘束。
彼女の証言により、すでに三体星人は地球に向けて出発しており、400年後に襲撃してくるということがわかりました。
作戦センターは、その時に備えて動き出します。
ETOの中でも最も過激な降臨派は、三体星人に愚かな人類を抹殺し、新たな世界を築いてもらおうという思想を持った人々です。
降臨派のトップであるマイク・エバンズ所有の大型船は、ある時から三体星人との交信を独占していました。
この交信内容を消去、破壊されることなく手に入れるために、史强が発案した奇抜な作戦が古筝作戦(こそうさくせん)。
汪淼(ワン・ミャオ)の研究対象である髪の毛よりも細いナノワイヤを、古筝(中国の伝統楽器)の弦のようにパナマ運河に張り、通過する船を水平に裁断してしまおうという作戦です。
まさかそんな‥なんて思いますが、作戦は大成功。
世界が力を合わせれば、こんなこともできるんだと思わせる場面でした。
鋼鉄の船も、乗組員たちも、全てが50センチの幅でキレイにスライスされてしまうのですが、その様子と迫力がすごくリアルで驚きました。
さて、船から回収したディスクによってさらに重大な事実がわかります。
三体星人はスーパーコンピューター並みの性能を持った2つの陽子を地球に送り込み、地球上の全ての出来事を監視しているというのです。
またこの智子(知恵を持った粒子)計画には、科学実験を操作して科学者たちを混乱させ、地球科学の発展を阻止することも含まれていました。
科学者たちの相次ぐ自殺は、三体星人の狙い通りだったんですね。なんて恐ろしい‥
あまりにも強大な敵を前にして、なす術なくお酒に溺れる汪淼たち。
彼らを蝗害(こうがい:イナゴの大量発生)に苦しむ故郷に連れ出し、虫ケラのたくましさを見せる史强。
史强と汪淼たちの決意と闘志を感じさせるラストもすごく良かった(全然ハッピーエンドじゃないけれど)。
‥続きがモーレツに見たくなり、リタイア中だった第二部「黒暗森林」を読み始めました。
ところで、三体星人が地球を認識したのは、葉文潔が紅岸基地から三体星人に向けて送った2回目のメッセージのせいでした。
葉文潔の人類に対する大きな怒りと絶望感は、文化大革命での過酷な体験によるもの。
夫や子供という存在を得ても彼女の怒りは解けなかったんですね。
一体どれほど大きな傷を心に負ったのか‥フィクションとは言え、文化大革命が及ぼした負の影響について改めて考えてしまいました。
ドラマでは葉文潔の心情をほとんど描いていないのですが、老年期を演じた陈瑾さんの抑えた演技がとても胸に刺さりました。
原作に対する強いリスペクトを感じるドラマ「三体」。
第二部「黒暗森林」もかなり先になると思いますが見ることができそうですね。
今からとても楽しみです。