ラブレター
タカは三才である。
幼稚園の年少である。
つまり未成年である。
そのタカが同じクラスの可愛い女の子からラブレターをもらった。
中身がすごい。
まだお互いに文字は書けないので、お姉ちゃんが代わりに書いたラブレターだ。
タカくんが好きだよ!
タカくんと結婚したい!
大人でも顔を赤らめるほどストレートなプロポーズである。
タカはお手紙をもらったと喜んで妻に渡したが、ハヤには見せたがらなかった。
その後、ハヤはこっそりその手紙を読んで、結婚したいって書いてる、と笑っていたそうだ。
そんなハヤを見て妻は冷たく言った。
「ハヤは一回もラブレターはもらわなかったよね…」
・・・・
「ハヤでもモテててたから、年少のときはモテるもんだしね」
タカ、ハヤ、気にしなくていいんだぞ。
パパは未だに一度もラブレターなんてもらったことなどないのだから。
ハードボイルドにラブレターはいらないのさ・・・
虫
夜、ハヤが虫を捕まえたと私に右手を差し出した。
私「風呂上がりに虫なんか捕まえるなよ」
と言って見ると、小さな掌には蚊でもない糸のように細く小さな虫が載っていた。
つぶれてはいないが動かないようなので死んでるのだろう。
よくこんな小さな虫を捕まえられたものだと感心したものの
私「ティッシュで包んで捨てなさい」
と指示した。
ハヤはティッシュを手に取ったものの、どうやって虫を捕まえたのかを説明しようとする。
私「早く捨てなさい」
しかし、時すでに遅く、ハヤの掌から虫は消えていた。
そこへ死ぬほど虫が嫌いな妻が風呂から出てきた。
ハヤに手洗いに行かせてるのを見て察したらしく、
不機嫌な顔で床掃除を始めた。
眠くてたまらないハヤは何も気にせず布団に入った。
一寸の虫にも五分の魂というが、
我が家に現われた時点で虫には未来はないのだ。
気を付けろ!
ラフェスタを探せ!
我が家では昨年末に車を買い替えた。
妻の要望を満たす両側スライドドアで大きくないミニバン、そのニーズにぴったり当てはまったのが日産のラフェスタだった。
ミニバン市場は飽和しつつあることもあって、広々ルーフの個性をもつラフェスタはいまいち売れてないようだ。
実際乗ってみると、小回りは利くし、トルクもあり、しかも静か、かなりいい。
ルーフのおかげで中も明るく、解放感はオープンカー並みだ。
しかし商用向きでないのもあってほとんど見かけず、
一日一台見ればラッキーなのだ。
だからドライブに出るたび、
私たち家族は、ラフェスタが走っていないか探すのである。
「あ、白のラフェスタ!」
という具合に…。
ドライブ時の家族の合い言葉は、
ラフェスタを探せ!
なのだ。
オセロを買った
休みの日の朝、ハヤと二人でチラシ広告を見ていたら、近所のスーパーでオセロが1000円で売られていた。
よく見れば逆転リバーシという商品名でいわゆる商標が違うものだった。
リバーシ自体は古くからあったのだが、オセロが一世風靡をしたので、ここではオセロと呼ぶことにする。
オセロは子供でも理解しやすい単純で奥深いゲーム。
ハヤは学校で遊んで興味をもったらしい。
1000円は確かに安い、
買うべきと判断して朝早くからスーパーへ足を運んだのだった。
ハヤにはオセロを買ってあげたが、
タカが引き下がるわけもなく、
マジレンジャーのブルー(マジブルー)の人形を手に取ったまま離さなかった。
オセロより200円安いだけだが、
捨てられる確率は
200倍を超えるだろうよ…。
バーミヤン
夏祭りの夜、何げに外食がしたくなって近所のバーミヤンに家族で出かけた。
寝起きのタカは事情が飲み込めないまま連れていかれたようなものだった。
あまりに中華風な味は子供の口には合わないので、
炒飯や餃子、焼売などの食べやすいものを注文した。
ドリンクバーで好きなジュースを飲めるのが子供たちには好評だ。
ハヤは最近よく食べるようになった。
炒飯や餃子を満足そうに食べている。
一方のタカは、
白ごはんばかりを食べている。
おかずは一切食べずに白ごはんばかりである。
そしてオレンジジュースを飲んでいる。
大人一膳分ある白ごはんを食べきって、
「もうお腹いっぱいや~」
オレンジジュースと白ごはん。
説明できない味覚だ…
バーミヤンの立場がないだろ、タカ…
