【最高のプレゼント】
※この物語は現代版であり、主人公は「艶が」の主人公とは違い、少しやさぐれ&ツンデレ入ってますそして、物語中に出て来る旦那は、一応翔太くんのつもりで書いたのですが、書き進めるうちに艶が以外の別キャラのような感じになっちゃったので、名前は「翔太」ですが、全くのオリジナルとして見て貰えたらと思います【最高のプレゼント】「明日はイヴか…」部室の壁に掛かっているカレンダーを見て溜息をついた。毎年、この時期になると本当に貰って嬉しいプレゼントって何なのだろう?と、自問してしまう。子供の頃は毎年、ドキドキしていたクリスマス…(今年も呆気なく過ぎるんだろうな…)次々と着替えを済ませ、部室を後にする部員たちに労いの言葉を掛けながら見送った後、ふと翔太がまだ戻って来ていないことに気づいた。(まだ、服があるってことは…)タオルを持って体育館へ向かうと、バスケットボール入れを横に、フリースローの練習をしている翔太の姿を見つけた。(まだやってる。ほんと、バスケばかだなぁ…)そんな私に気付いた翔太が、ボールをつきながらゆっくりとこちらへ歩み寄って来る。私は、いつものようにボールを受け取り、代わりにタオルを手渡した。「お疲れさま」「さんきゅ」「…まだ続けるの?」「ああ、もう少しだけ。今、すっごくいい状態なんだ」ゴールを見つめながら言う翔太の横顔は、すごく自信に満ちているように見える。そんな翔太を応援したいと思う反面、もう一つの想いが邪魔をする時がある。お疲れ。と、だけ言って私からボールを奪うようにすると翔太はゴール前へと戻って行った。(…先に帰れる訳ないじゃん)それから、一時間後。二人で部室に戻り、素早く着替える翔太に背を向け帰り支度を整え始める。沈黙を避けたくて、何故か思い出した友達との会話をそのまま話してみた。「昼休みに話してたんだけど」「おう」「セ○レって、どう思う?」「ぶーッ…お前、いきなり何言ってんだ!」ただならぬ雰囲気を感じて振り返ると、水を飲んでいたのかペットボトル片手にこちらを見ている翔太の驚愕した視線と目が合う。「水、飲んでたんだ…ごめん」「ごめんじゃないだろ!あーあー、どうすんだよここ…」「ほんとは興味ある癖に…」「まぁ、少しはな…って、アホかお前」脱ぎ終わっていたジャージのズボンで濡れた部分を拭きながら、自らノリツッコミして再び私を見つめるその瞳は、少し訝しげに顰めれる。(誰のせいだと思ってるんだか…)同じ大学に通うようになって、約8カ月が過ぎようとしていた。高校3年の時に知り合い、既にバスケ部に所属していた翔太のプレーに魅せられた私は、マネージャーとして見守り続けるうちに彼のことを好きになり、いつかこの気持ちを伝えたいと思いながらも、何となくその時からの付き合い方が抜け切れなくて…未だに、片思いを続けている。「…誰だか知らないけど、経験者がいるのか?」「うん。正確にはその子の友達の話なんだけど…」翔太の問いかけに即答すると、みるみる顔を曇らせる翔太から視線を逸らした。本当は、口走っていること全てが翔太を困らせているだけだってことくらい分かってる。それでも、やっぱり素直になれずにいた。「個人的には否定しないし、お互いが納得してんならいいと思うけどさ。それよりも、その何でも思ったことを口にするの何とかならないか?」「しょうがないでしょ、性格なんだから…」(あー、もう。いっつもこう…)「行くね…」「ちょ、待てよ」翔太の首に掛かっていたタオルを剥ぎ取り、その場を去ろうとしてすぐに引き戻された。次いで、振り返りタオルの端を掴んでいる翔太の大きな手を見やる。「あのさ、明日なんだけど…」「…………」「誰かと予定あったりする?」「…無いけど。なんで?」目を逸らしたままぶっきらぼうに答えると不意にタオルを引かれ、ほんの少し前のめりになって態勢を崩した次の瞬間、近づいた翔太の端整な顔を見上げた。「ちょ、危ないでしょ…」「俺と過ごさないか?」「え…」思いもよらない言葉を聞いて動揺を隠せずにいる私に、翔太は照れ笑いを浮かべながら言う。「その前に、言わないといけないことがあるんだけどな…」(それって…)「俺と…付き合って欲しい」「…っ……」「マジで」やっと言えた。と、伏し目がちに言う翔太に私は視線を上げることが出来ずにいた。俯く私の顔を覗き込む翔太の優しい瞳と目が合い、それと同時によりタオルを引き寄せられてその距離が縮まって。抱き寄せられていることに気付いた。「だ、誰か来ちゃうってば…」「もう誰も来ないって」「来たらどうすんの?!」そんなことが言いたい訳じゃなかった。本当は嬉しすぎて。「で、返事は…」耳元で優しい声がすると同時に、熱を帯びたままの指先が私の肩と腰に添えられる。私は、翔太の胸に顔を埋めながら小さく頷いた。それから、私達は二手に分かれてクリスマスツリーを探した。価値観が一緒だったのもあって、LINEで見つけたツリーの写真を確認し合う中、初めてのクリスマスを盛り上げてくれる理想のツリーに巡り会えたのだった。 クリスマスイヴ当日。ディナーはささやかに、オムライスとジンジャーエール。クリスマスくらい、何か豪華な料理に挑戦しようとしていたのだけれど、オムライスが食べたいという翔太のリクエストに答えることにしたのだ。美味しそうに食べてくれて、あっという間に綺麗になっていくお皿を見るのも嬉しくて。しばらくして、買ってきたロールケーキを頬張っていった。「…もう食えない」「私もお腹いっぱい…」お互いに微笑み合うと、その後もテレビを観ながら話したり、何故か子供の頃のクリスマスの思い出を語り合ったりしていた。けれど、楽しい時間はあっという間に過ぎ去るもので時刻は既に23時を回っていることに気付いた。(帰りたくないな…)鮮やかに点滅するツリーを見ながらそんなふうに思っていた。その時、テレビが消えパチッと鈍い音がすると同時に部屋の電気が消えた。そんな中、ツリーだけが柔らかな光に包まれ始める。「うわぁ…」「こっちのほうが綺麗だよな」「…うん。でも、」再び、隣に腰を下ろす翔太を見やり、躊躇っていた手を伸ばした。「そろそろ帰らないと…終電も間に合わなくなる」「帰るつもりだったのか?」「え?」薄暗くてあまり分からないけれど、その瞳は真っ直ぐ私を見つめている。やがて、お互いにゆっくりと距離を埋めてゆき、鼻先を掠めながらぎこちなく唇を重ねた。とろけるようなキスを受けとめ、自分を見失いそうになっていることに羞恥心を感じながらも、漏れ出る声を抑えきれずにいると、「おま…」(ん…?)翔太の吐息が私の前髪をふわりと揺らした。「…その声、俺以外には聞かせるなよ」「な、何言ってんの…当たり前でしょ…」ふくれっ面を返すも、すぐに翔太の笑顔につられて笑ってしまう。「泊まってくだろ?」「…いいの?」「最初からそのつもりだった。いや、お前を抱きしめたいと思ってた…」はぐらかしてばかりでごめん。と、言って力強く抱きしめてくれる。その手の平から伝わる優しい温もりが、私の心を癒し始めた。「ずっと、待ってた…」素直な想いを口にしたのはこれが初めてだった。どこかで、翔太も私のことを想ってくれているのではないか、とか勝手に考えながらも不安は尽きなかったから。でも今は、はっきりと言える。「…大好き」誘われるままその胸に頬を寄せ、今度は躊躇わずに翔太の背中を強く抱きしめた。大好きな人との時間がこんなに楽しいものだったなんて知らなかったし、温もりを分け合うことでこんなにも穏やかな気持ちになれるとは思ってもみなかった。「翔太」絨毯に背を預ける私の目前、こちらを見下ろす翔太の頬に優しく触れた。「ありがと…」「俺のほうこそ」それからは、欲するがまま。翔太に身を預け、絡め取られる指先や、時折聴こえる吐息から想いの深さを感じ合うだけ。今日だけで、どれだけの「好き」が生まれただろう。「好き」と、言える人がいる。「好き」と、言ってくれる人がいる。それが、サンタクロースからの最高のプレゼントなのかもしれない…そう、思った。゚・:,。゚・:,。★Merry Christmas.★゚・:,。゚・:,。【END】~あとがき~今回もお粗末さまでしたクリスマスまでに間に合わない…と、思ったのですがッやっぱり間に合わなかった(笑)一日遅れではありますけど…アップしてみましたどっちかっていうと、艶がの誰でもない…別のキャラみたいな…オリジナルな感じになっちゃいましたよね??(;´▽`A``きっと、二人はこの後…近所のコンビニとかへ行って足りないものを揃えたりしたんでしょうなw話は変わって…お正月を迎える準備はどないですか??うちは、とりあえず終わりました!毎年、この時期はほんまに大変ですが…終わるとすっきりしますなッあー、それにしても…優しい温もりが欲しいなぁ。俊太郎さまのような人に甘えたい(笑)( ̄▽+ ̄*)