[ハワイ] 小さな島のBBQで黙って頷いたこと | 婆様のハワイ日記

婆様のハワイ日記

ハワイの片隅で生きるアメリカ人爺夫と日本人婆妻の老夫婦デコボコ日記です。

アロハ



まるで俺、モンスターみたいじゃないか!


と、何やら携帯を見ながら、


一見強面の、


そのひげ面から白い歯を覗かせて、


豪快に笑う、


W氏こと、ヤツ(笑)


どれどれと、見せてもらうと、


そこには爺と、


たまたま出会った爺の自転車仲間と、


3人で撮った写真が写っている。


その中でも一際デカく目立つ、ヤツ。


確かに巨人、モンスターだ(笑)


何かの話の流れから、


てっきり50代だと思っていたヤツは、


な、なんと40代半ばだと判明し、


びっくり仰天。


まじで....老けている(笑)


熊のような大男。


これだからアメリカ人の年は分からない。


そんなヤツとの共同生活も、


1週間を過ぎた。


そりゃやっぱり他人。


息子のような年だけれど、


それでも一応、男。気は使う。


特にトイレ。


小さな平屋にある1つのトイレ。


なかなかヤツがいると「大」はしにくい(笑)


なのでどうしても便秘気味になる。



愛する奥さんと子供達に、


嬉しそうに毎日毎日電話しているヤツ。


自分の子供達は最高に可愛くて、


ワイフのことも愛しているんだ!!と、


思ってはいても、


我々日本人にはなかなか口に出来ない、


そんなことを、


さすがアメリカ人だ、


嬉しそうに平気で何度も口にする。


そして、会いたいよ、アイラブユー♡と、


電話を切る前に必ず言う、ヤツ。


ある夜、日本酒を飲みながら聞いてみる。


そんなに愛する家族と、


2週間も離れてしまうのに。


どうして一人でここに来たのかと。




しばらく考えた後、


ポツリポツリと話し始めたヤツ。


今年に入ってから、


特に仕事のストレスがたまって、


もう限界だったこと、


ずっと何年も長い休みを取ってなくて、


どこかに行ってリセットしたかったこと、


家族とこんなに長い間離れるのは、


これが初めてだけれど、


でも、ここに来て本当によかった...


ハワイでの自分達のアパートの横には、


大きな道とスーパーがあって、


車の騒音、人々の声、


トラックの荷物の出し入れ、


ポリースや救急車のサイレンが、


毎日毎日永遠に続く。


もう本当にうるさくて....


でも、ここは穏やかでこんなに静かで、


本当に癒やされるんだ...


自分でも驚くほどね、


俺は、この小さな島が、


本当に本当に大好きになんだよ。


いつも冗談言ってガハガハ笑っている、


ヤツが急にしんみりと言う。


そんなヤツの横顔を、


爺は黙って見ている...



そうか....みんな色々あるんだな。





残りの草刈りを、


今度は爺が老体に鞭を打ち、


率先して行う。


昨日一日でヤツと2人で長い時間をかけて、


きれいにした。




夜は、


島の満天の星を眺めながら、


また、3人でBBQ。






今回は島の、


6時で閉まる小さなスーパーで


手にいれた焼き鳥を焼いてみる。


美味しい。


静かな島の隅っこに、


3人の笑い声が響く。


あーあ、ハワイに帰ったらまた、


働かないとね~なんて言うと、


その話はしないでくれと、


ヤツは苦笑いする。



でも、ハワイに帰ったらさ、


きっとこの光景を、


3人でしたBBQを、満天の星を、


ウグイスの鳴き声を...


きっときっと、


思い出すよね....


と言うと、爺とヤツは黙って頷く。


そんな静かな島の夜は更けていく。



そうだよね、、


って遠い空の向こうの、


ダイヤモンドヘッドに向かって、


問うてみるけれど、


遠すぎて返事はまだ、ない...


続く。